61 梅仕事 上 梅酒づくりに必要なもの
花香実にたわわに実った梅の実。
たくさんなっているので、これをなんとかしたいと思う。
聖樹の実って食べていいのか?
という疑問はあるけれど、これを腐らせたりするのはもったいない。
自家消費なら良いのではないか。多分、きっと。
一応キララに、
「食べていい?」
と聞いてみたら、
「もちろんじゃ!」
と返ってきたので食べていいらしい。
とりあえず青いうちに収穫したものは梅酒と梅ジュースにしたい。とてもしたい。
梅ジュース大好きなのだ。
漬けた後の実で梅ジャムも作りたい。
完熟まで置いておいて、それで梅干しも漬けたいよね。
赤紫蘇の種は買ったことがある。
完熟梅の梅ジュースは濁っちゃうけどそれはそれで甘くておいしいし、梅ジャムもこれまた良い。
梅の実の収穫、青梅は木についたままもぎるのかなぁ。
いつも時期になるともらっていたので自分で採ったことがない。
そう思っていたら、
「どれだけいるのじゃ?」
とキララに聞かれた。
とりあえず、
「このかご一杯くらい、かな」
と答えると、キララが腕をひらりと一振り。
綺麗な青梅がかご一杯収穫された。
「すごい!」
めちゃくちゃ助かる。魔法のようだ! って多分魔法だね。
「わらわはすごいのじゃ! もっと採るのじゃ!」
と言ってくれたけど、とりあえずこれだけあったら今日は十分かな。
小屋に転がってた未使用っぽい甕を除菌もできる食器用洗剤でよく洗ってから消毒用アルコールを千円リピートでふわっとまんべんなくかける。とりあえず梅酒用一個と梅ジュース用一個の計二個。
今度ゴードンさんのところで容器を見てこないと、だな。
お砂糖とホワイトリカーっぽいお酒も探したい。お砂糖は多分錬金ギルドだけどお酒はどこだろう? 酒場かな? アルコール度数が高いやつは錬金ギルドに置いてある可能性もあるね。
梅のへたを取るのはミミとキララにも手伝ってもらった。
細かい手作業が必要な時はミミも人化して手伝ってくれる。
「ミミ、キララ、ここ、この割れ目の筋とヘタの間に竹串を入れてくいっと」
「こう?」
そうそう上手。てこの原理でね。一回で無理なら反対側からも。梅の実を傷つけないようにそっとね。
「取れたー」
ポロっときれいに取れている。上手だ。
三人で竹串を手にほじほじすればあっという間だ。
このヘタを取るか取らないかは、人によって違う。私は取りたい派だ。
綺麗に水で洗って、水けを拭きとっていく。傷がないかも確認だけど、キララが採ってくれたものは、傷もなければ虫食いもないすばらしい青梅だ。
っと、ここで問題が発生。ホワイトリカーって高い、な。
1.8リットルくらい欲しいのだけどそれだけで最安値の履歴を探しても927円だった。多分これでもめちゃくちゃ安い時の履歴だ。
氷砂糖も欲しいから千円リピートの予算をオーバーしてしまう……
氷砂糖も近年は1㎏で軽く400円を超える。300円台だと安いなって思う。
ただ、これについては検索してみるとずっと前に買った外れ値な購入履歴が見つかった。
氷砂糖1㎏149円。
そういえば、ホームセンターのワゴンセールで見つけてびっくりしてあるだけ買い占めたことがあった。
税込み表示のお店なので税込みでこのお値段。氷砂糖って賞味期限もないのにどうして?
って思った。氷砂糖は梅仕事の時だけ仕入れて、ガラス瓶やホワイトリカーと共に並べている感じだったので、時期が終わって邪魔になったのだろうか。
その後さりげなくチェックしていたけれど、あんなに安いのはその時だけだった。
梅酒は漬けたい。とても漬けたい。ヘタもとってしまったし今日漬けたい。
仕方ない。買い物に行こう。
荷物持ちとしてミミもキララも付いてきてくれるらしい。
そんなにいっぱい買う気は、買う気はないんだけど、あの梅の実多分全部で10㎏以上採れそう。30㎏はないと思うけど。採れた梅の実と同量の砂糖とお酒の量と容器を考えると……
街に入る時のチェックをどうしたら?
と思っていたらキララが認識阻害魔法を自分とミミにかけてあっさり通った。
それでいいのか、この街の警備……
いや、私は助かるけど。
多分、聖樹の特殊技能なんだろう。
エルフの里が惑わしの森の中にあるのは定番だ。
まず、錬金ギルドに行って聞いてみると、お砂糖は売っているけれどけっこう高い。高いけど買えないほどではない。そして見せてもらったけどちょっと茶色い。色ついちゃうね。まあ黒糖梅酒とかもあるし。
アルコールは度数別にいろいろあった。錬金術の基材として使うようで、蒸留を繰り返したクセがないアルコールらしい。
35度から40度くらいのものが欲しいというと、一升瓶くらいの陶器の容器に入ったやつを出してくれた。
ついでなので容器もあるか聞いてみたら、ガラス製品はあるにはあるけどお高かった。
普段使いだと陶器製の容器が一般的っぽい。
面白いのが容器と共に見せられた蓋で、ふにふにしたシリコンみたいなやつをカパッとはめる。
「この蓋は?」
と聞いてみると、
「スライムが出すぷるぷる物質を加工しておりまして、気密性が高く洗えば繰り返し使えます」
とのこと。おお、スライムさんが活躍している。
安いのは蝋引きの布を使った蓋なんだけど、ちょっとお高くてもスライム蓋の方が人気があるらしい。
だよね、私もスライム蓋が良い!
うーん、何をどれだけ買うか悩む。悩んでしまう。とりあえず、今日採った梅を漬けられるくらいは買うか。私が悩んでいる間、ミミとキララはおとなしく錬金ギルドを見学してくれている。天秤とか錬金釜などの道具から、ポーションや塗り薬だろうこまごまとしたものが並んでいるので見ていて楽しいらしい。
職員さんから錬金ギルドではギルド会員以外の人が買い物をする際には身分証の提示と署名が必要だと言われた。錬金ギルド会員でも身分証は提示するし買ったものを記録するんだって。会員割引があるらしい。
冒険者ギルド証を見せて、出された台帳に名前を書いた。
それを見た職員さんが、
「サキ様、ですか? もしかして最近、ヨギモギサシモ・アルテミシア・モチグーサの納品依頼を受けられた?」
と言った。
あ、あのヨモギ、そんな名前だったね……
そう思いながらうなずく。
「少々お待ちください」
そう言った職員さんが奥に行ってしばらくしたら、なんだかちょっと魔法使いっぽい、なんていうか良いものを着ている人が出てきた。ローブ? 外套? なんて言えばいいのかわからないけど裾の長いかっこよい上着を着ている!
立派な恰好だけど、威圧感はなく、人が良さそうなほやっとした顔をしている。あっ、寝癖だ。
「副ギルド長のハーカセです。サキさん、先日は良いヨギモギサシモをありがとう。助かっています」
もしかしなくても、多分この人が指名依頼じゃないけど指名依頼っぽいものを出してくれた人、なのだろう。
以下お知らせがあります。
少し長いですが読んでいただけますと嬉しいです。
いつも読んでいただきありがとうございます。
少し前に読者様から、感想欄に関して不快に思っている、という主旨のご相談を受けました。
それからずっとどうすべきか考えていたのですが、私といたしましては感想欄は皆様に気持ちよく使っていただきたいと思っています。
なので、大変申し訳ありませんが、小説家になろう様の感想投稿のガイドラインに加え、以下の独自ルールを設けたいと思います。
独自ルールは、
『他の読者様が読んだ時に、不快な思いをする可能性が高い投稿をしないこと』
です。
このルールを守れていない投稿は警告なしに削除させていただくことがあります。
ご承知おきください。
※削除するかどうか私が迷ったものについては友人に不快に思うかどうかの助言を求め「これはちょっと……あれだね……」と言われたものは削除させていただきます。
『他の読者様が読んだ時に、不快な思いをする可能性が高い投稿』というのが、わかりにくいと思いますが、よく言われる「その言葉を上司の娘さんにそのまま言えるか」を考えていただけると良いかと思います。
上司の娘さんだと少しかなりハードルが高い気がしますので、「異性の友人に言えるか」とか「近所のコンビニの店員さんにこの書き込みを自分がしたことを知られても大丈夫か」とか、ご自身で「他の読者様」の基準となる人を想定してください。
特に、
・下ネタや残酷な表現や現実世界でやるとかなり危ないことの詳細を含んだ投稿
・他の作者様や作品や商品等をけなす、下に置く方向性の投稿
・他の読者様に議論を持ち掛けたり、意見をする投稿
・作品とは無関係な長文の自分語りが主な投稿
には注意していただきたいと思っています。
小説家になろう様公式の感想投稿時のガイドラインは以下となりますので、あわせてご確認ください。
https://syosetu.com/helpcenter/helppage/helppageid/106
よろしくお願いします。
作品を楽しんで書いていただいている感想はいつもとても嬉しく読ませていただいています。本当にありがとうございます。
ただ、感想返信につきましては、すべてに、というのは残念ながら時間的に難しくなってまいりました。
今までできるだけお返事させていただいていましたが、
本当に申し訳ありませんが、今後、基本的に感想返信はないもの、としてお考え下さい。
でも、私がしたい時にはさせていただきます。
矛盾していますし、わがままですがそういうことでよろしくお願いします。
※この独自ルールは5月1日より適用します。
活動報告にもこのルールを書いておきます。