表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で一日千円分だけ自分が買ったことがあるものを出せる能力でなんとか生き抜きます  作者: 相内 友
第五章 畑仕事も準備が大切

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/131

33 ある日の森の中

 「それは一体どういう?」

 聞くと、指名依頼にすると指名依頼料が必要になるし依頼達成までに時間がかかるので、

 指名まではしなくてもいいけれど、もしその人が来たのに気づけたら声がけをしてほしいという依頼があるそうだ。


 まあ、言われてみればそんなこともあるよね。

 スーパーで買い物をしていて、レジ打ちなんて誰でもいいのだけど、もしいるならあの人の列に並ぶ、みたいな店員さん、いる。


 あれ? 思えばジルじいさんもそんな依頼を出してくれていたのだろうか。


 思い返すが、さりげなく薦めてくれた記憶はあるけれど、マチルダさんにこういう言われ方をした記憶はない。

 いろいろなパターンがあるのだろう。

 臨機応変に対応しないといけないだろう冒険者ギルドの受付、かなり大変そうなお仕事だ。尊敬してしまう。


「こちらの薬草採集依頼です」

 ふむふむ。

 ほぼ常時依頼のようなもので、形としては誰が受けても良い依頼として出されたものだ。


 どうも、以前納品した時の品質が良かったので気に入ってくれたらしい。

 それでマチルダさんにできたらあの冒険者に、とお願いがあったっぽい。

 こういうのちょっとうれしい。

 ちょっと考えていたこともあるし、

 納期も問題なくクリアできそうなので受けさせてもらった。





 出発前に腹ごしらえをしておこう。

 いちご大福を食べているし、そこまでお腹はへっていないので軽くいこう。

 さっと食べられるやつ。

 ストレージに入って考える。


 ここはうどんが良いのではないか。

 器とコップを用意してから、はな◯うどんのかけ(小)を検索する。

 記憶が確かならば、昔は、ああやっぱり100円でしたよね。

 意味わからないお値段だ。購入っと。


 器にほかほかのおうどんが出現。無料の揚げ玉がたっぷり乗っている。

 この揚げ玉、店で天ぷらをあげた時のやつで、たまにちょっと具材の端っこみたいなのがある時がある。それを狙って入れた時のやつのようだ。

 コップにお水、割箸も出現してくれたのですぐに食べられる。


 もちもちした麺とお出汁が効いたおつゆ美味しい。揚げ玉いっぱい入れているのでふやけてきた揚げ玉が麺に絡む感じがとても良い。

 美味い。とまらない。うどん好き。


 美味しいものを食べるの幸せだ。温かいものは良いねぇ。

 ちょっとまったりしてしまった。







 ということで森です。森の中です。

 千円リピートで防虫スプレーを買って塗ってから来ている。

 基本、虫嫌いだし、いろいろ怖いから。

 こどものころは平気で掴んでいた虫が苦手になったのはいつからだろう。

 ただ、植物を育てていると嫌いとか苦手とか言ってられないのだけれど。


 防虫スプレー、スプレー缶方式の方がスプレーするのに楽だけど捨てる時のことを考えるとプシュプシュ手で押すやつの方が好き。逆さ対応だし。

 この防虫スプレー、ニャマゾンのセールで267円で買えたことがあるのだ。

 この価格、かなりな最安値で、もっと買いだめておけばよかったと思ったから覚えていた。


 個人的には最強のスプレーだと思っている。

 いや、もっと強力な、パッケージももっと強そうなディード濃度が最高でリッチなやつがあるのは知っているのだけど、あれはちょっと普段遣いするにはためらう。お値段もちょっとリッチだし。


 今回の依頼の薬草は葉っぱのギザギザが特徴的で、裏に白い毛が生えている、匂いも独特なやつだ。ヨギモギなんとかと言うらしい。

 言われてみれば以前けっこう採って納品したこと、ある。


 なんだかヨモギに名前も形も似ているので個人的には見分けやすい。

 匂いも似ている。正直、正式名称をちゃんと覚えていない。


 似た草があるので、混ざって納品されることが多いってマチルダさんが言っていた気がする。


 見慣れると別物なんだけど、植物の見分けってできない人はまったくできないよね。

 花も、蕾と咲き終わってしぼんだ花の見分けができないらしい。

 あんなに違うのに……


 花殻摘みをお願いしたら花殻が残っていて蕾は取られていてびっくりしたこと、ある。


 んふふふー、ふふふーんと鼻歌を歌いながら手を動かす。

 柔らかい先の方だけ摘み取っていると辺りには薬草の匂いが漂う。

 好きな匂いだ。春を感じる。あっちに白い花も咲いている。ほんと春だ。

 無心に摘んでいるとけっこうすぐに袋一杯になるのだけど、これ系茹でると一気にかさが減るからたくさんあればあるほどいいんじゃないかと思う。


 そう、この薬草、育てられないかな、と思うのだ。

 採集依頼が出るということは、育てられないか育てにくいか、育てても薬効が落ちるか、多分理由があるのだとは思う。


 でも、育てられて納品できたら楽だよね。


 考えたのだけど、頼んである、畑1枚の三分の一くらいの荒起しで使えるようになる予定の面積。それでもけっこう広い。約100坪って、えっと25メートルプールくらいだったっけ?


 千円リピートで種を出して植えようと思っていたのだけど、肥料とか他のものへの出費も考えると、千円リピートで出した種だけだと畑を持て余す気がする。


 後は、こっちの野菜の種を手に入れるか、元手がタダの物を植えてみるか、となるわけで。


 この薬草がダメでも、他の薬草を育てることができるかもしれない。

 とりあえず、納品分とは分けて、自分の実験用として根ごと、土ごと採集しておきたいと思う。




 薬草を採取し終えて、さてとそろそろ帰ろうかとした時だった。



 ガサガサと揺れた藪から、茶色い塊が現れた。



 さっきふんふんと歌っていた歌が脳内に流れる。ぴったりだけどそんなぴったり賞はいらない。

 耳飾りを落とした記憶はないです!



 ええと、その……

 死んだふりって有効でしたっけ?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
>死んだふりって有効でしたっけ? 駄目です(ばっさり
クマかぁ・・・昔、雪山登山の下山中に運悪く遭遇して崖に誘導してから とっさに図書館のビデオコーナーで観て覚えた古武術の投げ技を 4足歩行動物にも有効な投げ技に改良して50m崖下へ 破傷風菌が怖いからか…
>>こどものころは平気で掴んでいた虫が苦手になったのはいつからだろう。 たぶん噛まれて痛い思いをしたり、刺されて腫れて苦しんだりと嫌な経験を積み重ねた結果ではないでしょうか? あと知識も増えますしね。…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ