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【書籍販売中】異世界、一日千円で生き抜きます (旧題:異世界で一日千円分だけ自分が買ったことがあるものを出せる能力でなんとか生き抜きます)  作者: 相内 友
第十章 勇者、来襲!

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144 番外編 本が読みたいお風呂入りたい 下

 無事教えてもらった桶屋(クーパー)で湯船を発注し、届けてもらったものを見る。

 注文品なので私の思うように作ってもらえた。


 お湯の節約のために私が座って入れるくらいの大きさで、中の板のなめらかさにこだわった。ささくれがあったら痛いから。木のささくれが刺さると本当に痛い。昔ざっくり刺さった手のひらの痛みを思い出して顔をしかめてしまう。

 人間の皮膚ってどうしてこんなに弱いのだろう。ささくれが刺さるのも痛いし、あれだ、紙に負けるってどうなの。紙で切った傷、とても痛い。


 しかも最初は切ったかもと思ったけど切れてなかった、良かった! と思わせておいて後からやっぱり切れてました……ってなるのやめてほしい。

 特にお湯に浸かると指の皮膚ってふやけるから、より弱くなる気がする。すべすべ大切。


 排水のために、樽にあるあの注ぎ口を打ち込む穴を少し大きめにしてつけてもらった。お湯を貯める時はコルクを打ち込んでおけば漏れないようにできる。


 形は頑張って説明してドラム缶に近い形にしてもらった。全く同じにはできないらしい。傾斜がないとタガがはめられないのだそうだ。


 ミミに頼んで土で覆いと床を作ってもらったところに湯船を置く。排水の溝と穴が合うように調整して、横に踏み台を置く。これで準備は完了。


「いでよ! お湯!」

 テンション高く、千円リピートでお湯を入れる。

 たっぷりと出した41度のお湯が湯船を満たす。


『41度でお風呂お湯を張ります。お風呂の栓を確かめてください』

 脳内であの音声が聞こえた。

『お風呂がわきました。一時間保温します』

 ってのも追加で。いい声だよね。あの声。


 しかし、残念ながら追い焚き機能はないので、すぐに入らねばならぬ。


 念願のお風呂だ。


 いそいそと入ろうとするが、想像していたより高いので、入るのが少し怖い。

 しかし待ち焦がれていた風呂だ。えいやっと気合を入れて入った。


 じょぼん。


 とても温かい。

 蕩けるような幸福に包まれた。


 ああああぁ。気持ちいい。お湯が身体に熱をくれる。ほどけるようにこわばっていた力が抜ける。


 ほんとは足を伸ばせたらもっと気持ちいいのだろうけれど、これでも十分すぎるほどにほっとする。お湯の力はすごい。


 あああ。と声にならない鳴き声を上げながら目をつぶった。疲労が湯に溶けていく。悪いものは全部お湯に溶けてなくなるのだ。深く息を吸い。吐く。気持ち良い!!


 ほっかほかに温まった身体を洗って、新しく出した湯をかぶる。職人さんがおまけでつけてくれた小さい手桶は、とても精度が良くて使いやすい。

 本当に腕の良い職人さんなんだな、と思った。


 私が上機嫌で出て来たのを見て、キララが言う。

「そんなに気持ちの良いものなのか?」

「とても!」


 全力で肯定する。お風呂は良いものだ。たまに入るのが面倒でたまらなくなることもあるけど、入ってしまえばとても良いものなのだ。


「キララも入ってみたら?」

 やってみて、お湯の使用量は思っていたほどではなかったので千円リピートには余裕がある。


 興味深そうなキララに場所を譲り、入り方をレクチャーする。まあレクチャーといっても肩まで浸かったほうがいいよ。とか、のぼせたら身体に悪いからあまり長くはやめといてね。とかそんな感じだ。


 次はミミも入るかね?

 そう聞くと、

『あの桶に入りたい!』

 と返ってきた。


 なるほど、トカゲ姿なら小さい桶で十分か。


 いいなぁ。エコで。それに想像したらすごく可愛いし。小さな手ぬぐいを作ったら頭に載せてみてくれるかな。


 思いついたらやらねばならない。手ぬぐいの端っこを少し切ってミニ手ぬぐいを作っていたら、キララがお風呂から上がったようだ。


 ふらつくキララがこっちに来た。


 注意したのに、キララは真っ赤に熟れたトマトのようになってしまっていた。


 慌てて、冷たいお水を飲ませる。ちょっと横になろうね。

「気持ちよかったのに気持ち悪いのじゃ……」

 元気がないキララに、うちわであおいで風を送る。


 もっと冷やしたほうがいいかな。イエスポネックス飲む?

 調子が悪い時に液肥はやめたほうがいいだろうか。調子が悪い時にステーキを食べても消化できなかったりするからね。


 ビニール袋を出して、中に氷を少し出す。水を注げば簡易的な氷嚢が完成だ。

 ほてるキララの額に氷嚢を載せる。


「冷たくて気持ち良い。んん。わらわは水浴びの方が好きじゃ……」

 まあ、改めて考えてみれば、本性が植物だったらそうだろうね。夏にホースに熱湯が溜まっている状態で水やりすると枯らしちゃうこともある。

 植物、寒くても耐える力がすごいから。熱い方が苦手だったりはあるのだろう。


 って、ミミズもあまり熱いのは良くなさそうだね。

 トカゲにしても変温動物だし、お湯はどうなんだろう?


「ミミはどうする? やめとく?」

「はいる!」

 入るのか。じゃあちょっと水を足してぬるめにして、時間も少しにしよう。


 作った手ぬぐいを頭に載せて桶のお風呂に入ったミミはすごく可愛かった。



 こうして、念願のお風呂を手に入れたわけだけど、残念ながらキララはお風呂は苦手となってしまった。最初の体験が悪いとどうしても、ね。

 ちなみに、ジュドさんもお風呂は苦手らしい。なるほどなるほど。

 

 ミミは気に入ってくれたようで、たまに桶風呂をねだられるようになった。


 うん、お風呂の良さが布教できて、お風呂仲間ができて嬉しい。

 お風呂上がりに飲みたいから、今度良い牛乳を探してこよう。


 良いバターも欲しいね。バターの仕入先も教えてもらえば良かった!


思えば今日は2月22日ですね。

本当はジュド話を書くべきだったのでは!?

と今、思い至りました(遅い)

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書影が公開されました。
2026年2月25日発売です。
可愛い表紙にしていただけたので、
見ていただけたら嬉しいです。

画像をクリックすると、
MF文庫J様公式ページにアクセスできます。

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― 新着の感想 ―
タガで締める構造の木桶だとドラム缶みたいな円筒に出来ないのが一寸残念ですね。
人の皮膚は弱いですが、特に手指は「感じる」力も強いので、それこそ「精度の高い手桶」を生むベースでもありますからねえ。指先など以外は服着てもろて。
本が読みたいのならば作れば良いじゃない
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