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14 廃坑山で爆発しよう

 ジュドさんが連れてきてくれたのは廃坑山だった。

 すり鉢状に階段のように真ん中が凹んでいる。

 アリジゴクの巣みたいだ。


 ここは以前は露天掘りの鉄鉱山だったのだが、産出量の減少により廃坑になったそうだ。

 人気(ひとけ)はないし辺りに燃えるものはない。


「ありがとう。ここならうってつけだ」


「ああ、近くにロックタートルがいないか確認してくる」

 ジュドさんが付近を警戒しに行ってくれる。

 ロックタートルは岩場によく出る魔物らしい。

 いれば討伐していくのだろう。


 試したかったことを一つずつ確認していく。


 1円分の水道水を買ってどこまで離れた場所に出せるかを試す。

 3回くらいやって、徐々に距離を伸ばしても問題なく出るのに驚く。

 えっと、これ、もしかして視線が通ってれば出せるの?


 ガスもとりあえず1円分出してみる。くんとかいでみるとガス臭い。確かに出ている。

 これも離れた場所に出すことが可能だった。

 火を付けてみたいけれど、これどうやったら離れた場所に火を付けれるのだろうか。

 マッチに火を付けて投げるにしても飛距離が出ないだろう。


 って電気を買えばいける?

 1円分の電気で火ってつくのかな。とりあえずやってみよう。


 離れた場所にガスを買って、そこに電気も買ってみるが、何も起こらない。電気を検索するのに時間が開きすぎてガスが拡散したのだろうか。

 購入履歴の上の方にガスと電気が表示された状態になったので、2回目に挑戦。今度はガスを多めに5円分で。

 これも失敗。さすがに開けた場所だともうちょっとガス濃度が高くないと無理なのだろう。


 次に、昨日スパイスを撒いた時に思いついたことを試す。

 小麦粉もふりまけるなら、あれが出来るのではないかと思うのだ。

 そう、粉塵爆発。

 薄力粉1kg98円で買ったことがあるので、10円分くらいを撒いてからそこに電気を買ってみた。


 ぼふん!


 おおおっ、爆発した。激しい炎が一瞬で巻き起こった。離れていたはずなのに熱風がここまでやってきた。

 10円分でこれってことは1000円分ばらまけばそこそこの爆発が起きるのではないか。でもどのくらいの爆発が起きるかよくわからない。


 爆発音が聞こえたからか、ジュドさんが戻ってきた。

「今のはサキがやったのか?」

「ああ、やはり出すものによっては爆発するようだ」

「一体何を出しているんだ」

「小麦粉を」

「小麦粉!?」

「可燃性の粉末をばらまくと爆発することがある。それを再現してみた。ただ、爆発規模を制御できそうにない」

「そんなことがあるのか」

「ああ、他のものも出してみる」


 次に灯油を出してみたが、灯油は爆発しなかった。というか火がつかない。


 ガソリンは爆発まではいかないが、3回目くらいで火がついてよく燃えている。


 火種があるところなら、と思いガスを出してみると、激しく燃焼して爆発した。


 再度小麦粉を撒いても爆発。


 小麦粉のように細かく霧吹きのようになった灯油をイメージして出すと、爆発的燃焼が起こった。


 ガソリンを同じく霧吹きイメージで出すと爆発!


 ベンジンも爆発した。ベンジンはそのままでもすぐ火がついた。引火性高い。


 コツがわかってきた。細かく霧状にすると爆発する。けれど、火種がないと難しい。自分の近くでやると自爆技になる。


 これ、相手の魔物が火系で火種があれば爆発させることはできるだろうけれど、火系の魔物って火耐性持ちなのではなかろうか。


「爆発、しているな……」

 次々に爆破が起きるのでジュドさんが呆れているようだ。

「おかげでなんとなくコツがつかめてきた。が、自衛に使いたいんだが実用性はあまりなさそうだ」


 火種問題が解決しないと攻撃手段としては使い勝手が悪すぎる。

 相手に火をつけてから相手から距離をとってガスなりガソリンを買って爆破とか難しいと思う。

 うまくいくにしても周りの延焼が怖い。


 もっと簡単で効果的な攻撃手段が欲しい。なにかいい方法はないだろうか。


「自衛か。一つ聞きたいんだが、そのスキルは細かいものを遠隔で出せるんだな?」

 ジュドさんに問われる。


「ああ、出せる」

「なら単純に顔のあたりに出せば目潰しとして有効ではないか?」


 おおおお!

 その発想はなかった。自衛として逃げる時間を稼ぐという目的ならとても良いアイディアだ。

 目に入ると痛いもの。タバスコかな。安くいくなら塩コショウでもいけそう?


 思わず感謝を込めてジュドさんを見つめる。

「いや、俺で試そうとするはやめてくれ」

 顔をしかめられたけど、そんな実験しようなんて思ってないよ?


 そういえば、塩素系洗剤とか酸性洗剤も痛そう。


「初心者でも倒せそうな魔物か動物で練習がしたいんだが、この辺りにいるか?」

 できれば体験しておきたい。

「動物は爆発音で逃げただろう。魔物は、そうだな。縄張りだと思っていれば攻撃されたと思ってあんな風にやってくるだろう」

 指さされた方向を見ると、でっかい亀が見えた。


 あれがロックタートル!?

 想像よりでっかい。ゴツゴツとした甲羅を背負っていてとてもお強そうである。

 的としてはでかいが、亀の頭部は身体にくらべて小さく、眼はもっと小さい。


 いやいやジュドさんや、あれはどう見ても初心者向けじゃないでしょう!?

誤字報告ありがとうございました。助かります!

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― 新着の感想 ―
「視線が通る」ってよく聞きますけど具体的にはどれくらいの距離なんでしょうね? 「肉眼で見える」って意味なら1万光年先の光だって見えますし「形として認識できる」という意味なら10km先の島の形だって認識…
ロックタートルの登場ですか ロックだぜ!!
1000日分ガソリンを貯めて魔王城をふっとばそう!
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