137 小話 草粥
せっかく5人が揃っているので、と思って本日用意したのは、
大きな鍋いっぱいの……。
「えっと、サキさん。これは……」
黄野くんに問われたので答えねばなるまい。
「米を水から煮て、そこらへんの草をぶちこんでみた!」
「俺たち、埼玉県民じゃないんだけど!?」
よいツッコミをありがとう。
「大丈夫、ちゃんとキララに食べられるかどうかは確認したから」
ちゃんと食べられる草だけを厳選している。
私がホトケノザだと思っている紫の花のやつは食べられない、という知識はあった。食べられるのは確か黄色い可愛い花のやつだ。
ナズナはわかる。ぺんぺん草だ。あれは馴染み深い。けど花が咲いているのはとうが立っていて食用には向かない。ロゼット状のやつを見つけないと。花がないと見分けはちょっとコツがいる。七草の一つであるスズシロこと大根みたいな葉っぱを探すのだ。だけど大根みたいな葉っぱの草って、多いよね。
ゴギョウはふわふわの白い毛がふさふさなので見分けやすい。蕾のところとかあれだ。ヒラタグモの巣みたいだよね。窓のサッシの溝とかによくあるふわふわの白いやつ。ゴギョウは花が咲くと黄色いからより見つけやすい。
ハコベもわかる。よく見ると白い花はとても可愛いやつ。百均で買ったスマホ用のクリップ状のマクロレンズで拡大して写真を撮るととても可憐だ。ただ、これはまずいからあまり入れない。おすすめしない。だって味がほんと草っぽいのだ。鳥さんは大好きなんだけどねぇ。
適当に採集した食べられそうな草と、大根とカブをゆでて刻んで、水から炊いた米に混ぜた。
つまりこれは、草粥である。七つはそろえられなかったけど。
「こういうのはゲン担ぎというか、気持ちだから」
ずいっとお椀に入れた緑が交じるおかゆを差し出す。トッピングに炒った松の実も入れてみた。
うちのおばあちゃんは七草を叩きながら鳥の歌を歌っていた気がするが、私にまでは伝わっていない。あの呪術的な風景、面白かったので教えてもらえば良かった。
おかゆをみんなで食べる。熱々なので、ゆっくりと冷ましながら食べた草粥は一応食べられる味になっている。腹の底を温めてくれる熱。煮とろけた米は柔らかく、少しだけ入れた塩が米の甘さをひきたてる。
赤木くんと青井くんが無言でかきこんだお椀をそっと出してくれたので、おかわりを入れる。いっぱい作ってしまったので食べてほしい。
猫舌っぽい緑川くんは慎重に少しずつ食べているようだ。松の実を食べているのだろうか、咀嚼回数が多い。口の端がゆるんでいる。ほんと好物っぽいね。
桃瀬さんが粥を味わってくしゃりと笑う。
「あんまり好きじゃなかったのに、おいしい……」
そうだね。あまりこう若い子向きのものではない。草だから、どうしても草っぽいしね。主にハコベのせいだけど。なんだか知らないけど、風習だから一応食べるけど、ってものだよね。
でもハコベは一番薬効的にはいけてる子なんだけどね。とにかく草っぽい。だから効くんだろうけど。
「しかし、サキさん、作りすぎじゃ?」
大鍋いっぱい作ってしまったのでまだまだある草粥を見て黄野くんが言う。
大人数分のお粥って作り慣れてないから量がわからなかったのだ。お粥って想定より増えるし!
邪気払いと無病息災。祈りは力にきっとなる。
一年、この子達が無事で過ごせますように。
余った草粥は責任を取って私が片付けようと思っていたのだけど、みんな頑張って食べてくれた。ミミとキララにも手伝ってもらった。
そして、たまたまルーナを連れてやってきたジュドさんが気に入って残りをすごい勢いで食べてくれた。この見た目のものをためらいなく口にしてくれたことに少し驚いた。初見、勇気いるよね。
ルーナも少し食べてくれた。「あちゅ!」って言ってたのが可愛かった。
そこらへんの草、けっこう食べられる。そこそこ美味しく栄養たっぷり。良いものだ。
1月7日に間に合わなかったやつです。
家庭内の事情でバタバタしており、不定期更新が続く見込みです。
お待たせして申し訳ありませんが、本年もマイペースに続けていければと思います。
どうぞよろしくお願いします。
m(_ _)m




