135 小話 栗きんとん
せっかくサツマイモが豊作で、鉄栗で作った甘露煮があるのである。
作るべきはあれでしょう。
栗だけの栗きんとんじゃない、サツマイモを使った栗きんとん!
あれから、クチナシの実はばっちり採集済みだ。
サツマイモとクチナシの実と砂糖と栗の甘露煮。
材料は揃っている。
サツマイモを輪切りにするのはミミがやってくれた。サツマイモ結構硬いので輪切りに力が必要だから助かる。
サツマイモの皮を厚く剥いて水にさらす。もったいないから後で皮も刻んできんぴらにしよう。
「キララ、クチナシの実を砕いてー」
「承知」
乾燥させておいたクチナシの実を布に包んで金槌で上から叩いてもらう。
うでまくりしたキララが丹念に潰してくれた。そこまで粉々にしなくても、良かったのだけど、まあ良いだろう。きっと良く色が出る。
こんなオレンジというか茶色い実からあの鮮やかな黄色い色素が出るのおもしろいと思う。
しばらく水にさらしたサツマイモをコトコトと煮ていく。クチナシの実のお陰で黄色い汁を吸ってサツマイモがより濃い黄色に煮えていく。
じっくり竹串がすっと刺さるくらいになったら。次は……。
「本当は裏ごしなんだけど、やる気はない!」
「前も言ってたね……」
ミミがあきれたように言う。
私は裏ごしが面倒なので、潰せばいいじゃん派だ。そりゃ裏ごしした方が口当たりが良くておいしいけれど、そのまま潰しただけでも十分だと思う。スジなんて皮を厚めに剥いておけばそんなに出ない。
「潰せばそれで良い!」
すりこぎ棒でひたすら潰せばなんとかなる。そう、この鍋のまま潰す。煮汁は全部捨てずにちょっと残しておく方が良い。サツマイモによるけど。
適当な料理が大好きだ。できるだけ頑張って潰す潰す。疲れたらミミとキララに代わってもらう。
「力がいるのう」
キララは端っこから丁寧に潰してくれるので滑らかになって良い。
「中はまだ白かったよね」
ミミは観察しつつ色の混ざり具合で潰しきれてないところを探して潰してくれているようだ。
潰し終えたら、鉄栗の甘露煮の汁も適当に入れて、あとは砂糖も適当に入れる!
いやだって、サツマイモの甘さによって入れる砂糖の量って変わるし……。
そして、弱火にかけてひたすら練る。
固そうだったら甘露煮の汁とか煮汁とか適当に足して混ぜる。冷めると固くなるからやわやわ位が良い。
「こんなもんかな」
少しスプーンですくったものをミミとキララに差し出す。
味見をしてもらおう。
「甘いのう」
ぱくりとスプーンをくわえたキララ。給餌されているみたいで可愛いね。
細められたキララの目が美味しいと伝えてくれている。
「おいも美味しい」
ミミにも好評のようだ。おいもは美味しい!
自分でも味見してみたけれど、砂糖控えめでも十分に甘い。もうちょっと入れるつもりだったけど、このくらいで十分だね。十分になめらかで美味しい。味見が止まらない。栗きんとんって美味しすぎて食べ過ぎちゃうよね。
最後に甘露煮の栗も入れて完成。栗がゴロゴロだ。自作の甘露煮だからこそできるこの贅沢!
裏ごしさえあきらめれば、おせち料理のうちで簡単なのは栗きんとんではなかろうか。
甘いのでおかずとして認定してくれない人はいるだろうけれど、おやつとして考えれば最高に美味いし! 栗も美味いからもう最高だ。
黒豆も美味しいけど、炊くのに時間がかかるんだよねぇ……。
粗熱が取れたら、容器に詰めよう。
あ、皮でキンピラも作っちゃおう。味付けは適当だ! 砂糖と醤油とごま!
ジルじいさんに持っていったら、栗きんとんよりもおまけでつけたキンピラの方が気に入られた。
「甘辛くて歯ごたえがええ。もっとないんか?」
残りは自分で食べちゃおうと思っていたんだけど、追加要求されるくらいだった。
そんな時もある。
大根も本体より、葉っぱで作ったふりかけの方が好きな人、いるもんね……。
「黄色い! 可愛い!」
ルーナには見た目がまず気に入ってもらえた。もちろん味もほっぺたを押さえてにっこにこになるくらいに。
「まいど! 黄野デリバリー、ピックアップにまいりました!」
元気よく現れた黄野くんに栗きんとんを託す。その容器を捧げ持つように頭上に掲げた黃野くん。その後、大事そうにストレージに仕舞ってくれた。
みんなで食べてね。もうちょっといろいろ作りたかったのだけど。
もち米、見つけたいなぁ。
「けっこう甘くなっちゃったんだ」
「甘いの大歓迎!」
良かった。黄野くんははっきりとした味が好きそうだもんね。
「金運上昇」と「勝負運アップ」
縁起物の意味合いは勇者たちにもぴったりだろう。
黄色い縁起物を運んでくれる黄野くんは、笑顔で手を振りながら消えた。
ぎりぎり更新です。
今年はお世話になりました。
良いお年をお迎えください。
みなさまにとって良い年になりますように!
そして、どう考えても読んでいただくのは新年なので、
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
m(_ _)m




