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【書籍販売中】異世界、一日千円で生き抜きます (旧題:異世界で一日千円分だけ自分が買ったことがあるものを出せる能力でなんとか生き抜きます)  作者: 相内 友
第十章 勇者、来襲!

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132 焚き火で焼くもの

 焼き芋、それは幸せの塊である。

 ほこほこと湯気を立てる黄金色の甘い甘いほくほくのお芋。


 大好きだ。


 こちらでは珍しいお野菜だったサツマイモは、ルーナが食べて気に入ったことにより畑で栽培することにした。そしてもちろん大豊作だった。


 ルーナとジュドさんも呼んで、芋掘り大会を開催して誰が一番大きな芋が掘れるかを競ったけれど、そんなの結果はわかりきっていた。


 ミミ、頑張りすぎるのは良くないと思う。ある意味、ミミにはかなりのハンデをつける必要があった……。指一本しか使っちゃ駄目、くらいしても良かった気がする。


 ミミは殿堂入り番外とし、芋掘り大会優勝者は飛び入り参加のカエンさんだった。優勝賞品としてたくさん掘れた芋を贈呈。私から見るとエルフにしか見えないので超絶美形エルフがでっかいサツマイモを誇らしげに持っている姿、ちょっと笑えた。


「もらっていくよ!」といい笑顔で持っていった芋は種芋として扱われるのだろうか。

 でも多分、ここらへんの気候だと花はあんまり咲かないんじゃないかなぁ。選抜はできても品種改良は難しいと思う。カエンさんならなんとかしてしまいそうではあるけれど。


 一応芋からの芽出しと苗取りの方法は伝えたけど、やってみたらわかるけど、苗を買ってきた方が絶対楽だったから一回しかやってないし、うろ覚えなのであまり自信はない。


 でもそうか。芋から苗を作れれば、作れる品種が増えるのか……。私が苗で買ったことがあるサツマイモ、昔買った紅あずまだから。最近人気の紅はるかは苗を買ったことがない。だって、サツマイモを植えるとイノシシが来るから……。



 そんなこんなでたくさんとれたサツマイモはしばらくおいておいた方が甘くなるからとミミが掘ってくれた小屋の地下倉庫に保存していた。


 多分そろそろ食べ頃だろう。


 焼き芋には思い出がある。誰にだってあるだろう。サツマイモを嫌いな人今まで見たこと、あっ、あった。

 ご年配の方は嫌いな人が多いんだよね。サツマイモとかかぼちゃ系。


 もうそんな、サツマイモがつらい記憶と結びついた人も少なくなりつつあるが、いろんな理由でサツマイモを嫌う人もいるだろう。


 あと、甘い野菜はおかずとして認めない勢力もいるな。

 かぼちゃの煮物とか大学芋はおかずじゃないらしい。甘い煮豆も多分駄目なんだろうね。

 美味しいのに!


 私はサツマイモが大好きだ。お味噌汁に入っているのも好きだし、大学芋も好きだし、芋けんぴも好きだし、そして焼き芋も大好き。


 焼き芋、多分かまどの熾火でもできるし、ラリーさんところのパン窯の予熱をお借りしたらめちゃくちゃ美味しくできるだろう。


 しかし、私はどうしても焚き火で焼き芋が作ってみたい。落ち葉で焼き芋、良いよね。ロマンだ。


 昔、小さい頃に友人の父に一斗缶で作ってもらった焼き芋、すっごい美味しかったのだ。あれ、確か落ち葉を集めてきてって頼まれて友人と集めた落ち葉で作っていた記憶。


 作ってもらったことはあるけれど、一斗缶で自分で焼き芋を作ったことはないので少し不安。


 しかし。私には頼れる仲間がいる。きっとなんとかなるはずだ。


「必要なものは落ち葉、いっぱい!」

「いっぱい!」

「できたら杉葉があると良かったはず」

 記憶では杉葉を多めに集めていた。

「油分があるからのう」

 多分、そうなのだろう。


「集めるのは茶色い枯れたやつね」

 茶色く枯れた杉葉はとても良く燃える。

「まかせて!」

 張り切ってくれたミミに頼んで落ち葉をたくさん集めてもらった。

 良い葉っぱがある場所はよく知ってるとのこと。落ち葉……。主食だったね。


 そういえば、油分がある木といえば松。 松脂、松明! 松ぼっくりも燃料に良いのだったっけ。

 松ぼっくりで炭を作るやつ、何かで見たなぁ。

「松ぼっくりもあったらでいいから拾ってきてほしいけどメインは落ち葉で」

「らじゃー」

 可愛く敬礼された。頼んだ!



「これくらいあればいい?」

 ミミがこんもり2つの大きな山ができるくらい落ち葉を集めてくれた。

「ミミ、あ、ありがとう」


 す、すごいね。

 まあ、余ったとしても腐葉土を作るのに使える、かな。杉葉は向いてなさそうだけど。

 そして、びっくりしたのが拾ってきてくれた松ぼっくり。でかすぎでは!?


 あまりのでかさに角度を変えてしげしげ眺めていたら松ぼっくりからポロリと茶色い粒が落ちた。


 これって⋯⋯。

 松の実!?

 でも白くない。茶色いし、なんか硬い。松ぼっくりを振ると落ちてくる。落ちずに挟まっているやつもあるな。指を差し入れて取ってみるけどけっこう硬い。取れない。


「どれ。こうかの」

 キララが覗き込んで、一つ頷く。すると、ぽろぽろとこぼれた実がキララの手のひらの上に集まった。

 その実を渡される。

「ありがと、キララ」

 食べられるかな。すごく興味深いけど後から考えよう。今は焼き芋だ。



「ミミ。焚き火するから少し穴も掘ってもらえるかな?」


 そのまま焚き火をして、風で火が飛んでしまうと危ないから囲いをするか少し穴を掘ってそこでやりたい。ミミがいるから掘る一択で良いだろう。

「いいよ。2つ掘る?」


 うーん。2つ穴を掘って繋げるといい感じに燃えるらしいけど、今回はそこまでは必要ない。

 それはまた今度やってみようね。興味はあるから。


「一個だけで。少し掘り下げてくれたらそれでいいよ」

 そう頼むと、あっという間にいい感じの焚き火穴を作ってくれた。


 サツマイモは、水で濡らしたキッチンペーパーでくるんでから更にそれをアルミホイルで包んで準備してある。


 さてと、穴に杉葉をたくさん入れてミミを見る。

「ミミ、お願い」

『まかされた!』

 ミミがぱかっと口を開いてちろりと出した舌のような細い炎を杉葉に吐いた。


 あっという間に杉葉が燃え上がる。パチパチと音を立てて大きくなる炎。炎に熱された空気がふわりと風を起こす。暖かい。


 火というのはどうしてこう、心を吸い込むのだろうか。ゆらぐ炎を見るのは楽しい。火を育てるのも楽しい。杉葉は勢いよく燃えるけれど、勢いが良すぎて燃え尽きるのも速い。


「追加じゃ」

 両手いっぱいに落ち葉を抱えたキララがバサリと穴に放り込む。


 よく乾いた落ち葉はよく燃える。メラメラと燃える火に三人でどんどん落ち葉を足していく。


 そうやって熾と灰を作るのだけど。


「えっ、これ、思ったより落ち葉が必要?」

 お風呂は焚いていたけれど、あれは木を使って焚いていたので、落ち葉とは全然、ほんと熾になる量が違う。

 落ち葉、かさはあるけど、なかなか、こう熱量が足らないというか。燃やすと減る!


 ミミがたくさん集めてくれたから、すごく助かった。多すぎだと思ったけど、これくらい必要かもしれない。何度かに分けて落ち葉を足していくと、いい感じに灰が溜まってきた。


「ここに芋を置いて、その上でしばらく焚き火をすればいける?」

 多分きっと。昔作ってもらった焼き芋は一斗缶の中が灰と熾でいっぱいになるようにしていた、はずだ。記憶が曖昧すぎるけど。


 そしてこんなに大量の落ち葉を集めた記憶はないので、友人父は多分落ち葉だけじゃない作り方をしていたのではないか疑惑が湧いてきた。いまさらそんな……。もう落ち葉だけで突き進むしか……。


 時間はどのくらいかかるのかなぁ。サツマイモを甘く美味しく食べるにはじっくり時間をかけたほうが良いのだっけか。


「せっかくの焚き火だし、マシュマロでも食べる?」

 マシュマロ、大きめ目のやつで100g入りのを100円で買ったことある。

「たべるー」


 うむ。焼きマシュマロは正義だ。串に刺したマシュマロを焼いて膨らませて食べる。

 匂いが、凶悪だ。マシュマロを焼くことであま~い匂いが広がる。キャラメルのような香ばしくて、唾液が勝手に出てくる幸せの甘い匂い。たまらない。


 焼いて膨らんでとろけるマシュマロ。

 なんて美味しい。くるくると回転させて焼いたマシュマロは少し焦げてしまうがそれがまた良い。

「あちっ! 甘くてふわふわなのじゃ!」

 ごきげんなキララの楽しそうな声に、私も笑う。ミミも笑う。

 焚き火、楽しいね。





石油ストーブで焼いた焼き芋も好きです。

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書影が公開されました。
2026年2月25日発売です。
可愛い表紙にしていただけたので、
見ていただけたら嬉しいです。

画像をクリックすると、
MF文庫J様公式ページにアクセスできます。

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― 新着の感想 ―
焼き芋もヨキ(*´ω`*)干し芋も正義で大学芋も侮れません。
松の実、ふりかけに入ってたりするイメージですが、この世界のでっかいのだとまた食べ方変わりそうですね。カツオふりかけと合うなら、スライスして醤油やこの世界のソースでソテーにしたい。
アルミホイルとか無いんで芋を新聞紙と土(泥?)で包んで焚火に放り込んだ記憶。 調理時間が長いのが難だが、良い感じの蒸焼になる。 塩釜焼みたいのもイケるんじゃないかとか、話だけは出たんだがやったことは無…
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