100 100話記念小話 百均で売ってるものって実はすごい
私は百均が好きだ。百円というお安さでいろいろな便利グッズが買えるのが楽しくてたまらない。
ただ、なんていうか便利グッズってわくわくしながら買うけれど使ってみるとちょっと期待外れだったりするよね。
何通りにも使える! ってなっていて、それは素敵! って買ったものの、どの機能もいまいちだったりする。でもまあそれはワクワクした気持ちを買ったと思えば悔しくなんて、ちょっとしかない……
そんな私が百均でよく買っている物がある。
これらがこの異世界でどう判定されるのか、そこをちょっと確認しておきたく思う。ちょうどルーナが遊びに来てくれていたので、ジュドさんとルーナに相談を持ちかけてみた。
今日もルーナはとてもかわいくワンピースの裾がひらひらしているし、撫でた銀の髪の毛はサラサラでいつまでも触っていたい柔らかさだ。
「むやみやたらと町で出して良いものかどうかを判定すればいいんだな?」
話が早いジュドさんが緑の目を細めて了承してくれた。
「ですです」
「がんばる!」
「よろしく。ルーナ」
違和感があったら教えてね。
「わらわの判定では不満があると?」
「いやいや、キララにも見てもらっているけど、キララの場合食べ物、特にお菓子は全部『大丈夫じゃ!』って言うよね……」
「言ってるね」
ミミも同意してくれる。そういうミミの判定もちょっとこう偏りがある気がするんだよね。アイス系は全部可だよね。
「じゃあまずお菓子から」
確認したいのは基本消耗品なので、10円分ずつ出せばいいだろう。
皿に出現したのはごくごく当たり前のクラッカー。つまみやすい小さいクラッカーでシンプルに円形、模様が一応入っているけれど笑顔みたいな感じで素朴なクラッカーだ。
昔はこれ140gくらい入っていたよね。
「これは問題ないだろう」
つまんだジュドさんの判定だ。味的にもそこまで特異なものはないよね。素朴な美味しさで私は大好きだ。
ルーナもキララもミミも頷いているので全員一致で可のようだ。
140gくらい入っているものといえば、ハードビスケットだよね。今は減ったけどそれでも125gくらい入っているお得なやつ。
シンプルなハードビスケットを出してみる。以前は悩んでフィンガービスケットにしたけど、ハードビスケットが許されるのかどうか確認したい。
「うわっ! かわいい!」
ルーナが目を輝かせた。丸いビスケットの表面には模様が入れられていて穴が規則的に空いており、文字も入っている。この模様の判定やいかに!?
「これも型抜き、か? 模様が緻密すぎるが……」
ジュドさんが長考に入った。
「美味しいから大丈夫じゃ!」
やはりキララの判定はゆるい。
「形と焼色がそろいすぎてていっぱいあるとちょっとびっくりするね」
あー、なるほど。同じ模様なのは型があるからとして、この大きさで焼色が均一すぎるのが不自然に見えるのか。
いやでも多分マーサさんなら均一に焼ける気がする。
ということで、ハードビスケットは一応可となった。
ただし、高級品扱いで。ここまで手が込んだものは日常的にほいほい食べるものではないというのがジュドさん判定だ。なるほど。
「ええっと、飴はいいよね?」
なるたけシンプルな飴、百均で量が多くて美味しくてよく買っているのはべっこうあめとかにっきあめとかかなぁ。
にっきは好き嫌いがありそうだから、べっこうあめで。
出してみると透明な包装ごと出てくる。
「これは……」
あ、はい。透明プラ包装は不可だ。包装を開けて綺麗なべっこう色の飴を渡す。
形は均一なんだけど、大容量ゆえに割れていたり欠けていたりするものあるし、なんていうかハードビスケットよりちょっと雑な感じなんだよね。
「甘い」
「おいしいー」
「可じゃ!」
「うまいな」
ジュドさんいわく、ちょっと色が綺麗すぎるのが気になるらしいけど可をいただけた。
黒飴の方が無難っぽいね。
やっぱり包装がやっかいだ。透明じゃなければまだ錬金素材とか魔物素材とか異国の素材とか言い逃れようがある気がする。でも透明じゃない飴の包装はカラフル過ぎてそれはそれで問題ありそうよなぁ。
うーん、色付きのプラスチック系統一回見てもらう?
でもプラスチックを使ったものってどこかに透明あるいは半透明が使われている事が多いし、色が派手なものが多い。白いプラスチック製品?
「洗濯ピンチはどう、かな?」
試しに出してみた洗濯バサミは基本は白で金属が少しだけ使われている。
「すごく白い。そして軽い。いろいろ挟めるのは便利だが……」
やはりプラスチックはチートだよねぇ。水を通さずこの軽さと頑丈さ。便利すぎる素材だ。そして驚きの白さ、なのか。やはり色付きでもプラスチックは基本不可か。
「お口をパクパクするのかわいい」
そう笑うルーナの方が可愛いと思う。
「何を挟むのじゃ?」
「洗濯って言ってたから洗濯物?」
洗濯バサミの使い道、言われてみれば洗濯物以外にも日常でちょこちょこ使うなぁ。
「洗濯ものを干したりお菓子の袋を閉じるのに使う道具だね」
「けっこう痛いね」
ミミ、指を挟むのはやめよう。
あ、全部金属で挟むもので、リピート購入しているものがあった。
「じゃあ目玉クリップとダブルクリップ、ついでにゼムクリップはどや!」
ゼムクリップの使い方がわかりにくそうなので、こんな感じに使うんだと実演する。書類整理に便利だよねクリップ系統。全部金属で出来ていてプラスチックは使ってない。
でっかい目玉クリップやダブルクリップなら洗濯バサミの代わりにもなるし。
まあ、洗濯バサミも昔の全部アルミのやつとか、木で出来たやつならいけるのだろうけれど、どっちも買った記憶がない。
「材質に違和感はない。ただ、これは多分別の意味で問題になりそうだな」
「えっと、それはどういう?」
「書類が多いギルド関係で需要が大きいだろう」
ああ、そっち関係を心配しないといけないのか。でもクリップ系統は見たら機構がわかるから真似しやすいし、便利なものが広がるのはいいことじゃないかな。
材質的な問題がないならマチルダさんあたりに貢ぐのもいいかもしれない。
「その顔はわかってないな」
特許を出しておけと言われたけれど、これの特許と言われても……
「わかった。こっそり使う」
ため息をつかれたけど、なんでかな。
その後はもうぐだぐだになった。
なんでもかんでも特許案件になるっぽい。細かい作業が得意な、ジルじいあたりが隠れ蓑になってくれないかなぁ。利権が絡むと面倒そうだよねぇ。
百均で売られているものって特許技術の塊なんだなぁ。すごいね。
いつも読んでいただきありがとうございます。
いつの間にか100話です。
読んでいただいている皆様のおかげで書き続けられています。
本当にありがとうございます。
誤字脱字報告、いつも本当にありがとうございます。助かっています。
これからもどうかよろしくお願いします。