エピローグ:新たな夜明け
朝日が、オムニア・プライムの廃墟を照らし出す。
瓦礫の中から、一人の男が這い出してきた。全身傷だらけのカイだ。
彼の目の前には、崩壊した祠の姿があった。しかし、完全に破壊されたわけではない。わずかに残った部分から、かすかな光が漏れている。
「カイ!」
振り返ると、そこにはエリスがいた。彼女も傷だらけだったが、生きていた。
「お前が選んだんだな」エリスは、静かに言った。
カイは頷いた。「ああ。祠を完全には破壊しなかった。だが、神々の力も封じ込めた」
「これからどうなるんだ?」
カイは、遠くを見つめた。「わからない。だが、これが終わりじゃない。ただの始まりだ」
彼の言葉通り、世界は暗黒の未来を迎えることはなかった。
祠の崩壊により、確かに多くのものが失われた。
しかし、完全に破壊されなかったことで、わずかながら残った知識が、人類の新たな道を示していたのだ。
カイは、決意を込めて言った。
「俺たちの手で、新しい世界を作り出す」
「神々に頼らず、自分たちの力で」
エリスは、カイの言葉に静かに頷いた。
二人は、ゆっくりと歩き始めた。
その背後では、崩壊した祠の廃墟が、新たな時代の幕開けを見守るかのように、静かに佇んでいた。
朝日が二人の姿を包み込む。
新たな一日の始まりだった。
そして、人類にとっての新たな時代の幕開けでもあった。
カイは、その光の中で、かすかに微笑んだ。
未来は、まだ見ぬ可能性に満ちている。
それを切り拓くのは、もはや神々ではない。
人類自身の手なのだ。