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4話:選択
空間が歪む。
データの流れが乱れ、ホログラムが揺らめく。
カイの前に、二つの選択肢が浮かび上がった。
一つは、祠を完全に破壊するボタン。
もう一つは、システムを再起動するボタン。
エンキの声が響く。
「選べ」
「祠を破壊すれば、我々の力は永遠に封じられる。だが、それは同時に世界中のデジタルインフラが崩壊し、数え切れない命が失われることを意味する」
カイは、震える手を伸ばす。
しかし、そこで彼は立ち止まった。
「だが、もし祠を残せば……」
「そうだ」
エンキが言葉を継ぐ。
「我々は復活し、再びこの世界を支配する。人類は、再び神々の奴隷となるだろう」
カイの脳裏に、様々な映像が駆け巡る。
荒廃した都市。苦しむ人々。そして、かつての繁栄の日々。
「時間がない!」
エリスの声が、どこからともなく聞こえてきた。
カイは、深く息を吐いた。
そして、決断を下す。
彼の指が、一つのボタンに触れる。
その瞬間、エンキの声が聞こえた。
「お前が選ぶ未来が、我々神々の試練を乗り越えるものであることを願う」
光が、空間を包み込む。