3話:神々の復讐
扉が開くと同時に、カイの目の前に広がったのは、想像を絶する光景だった。
無限に広がるかのような空間。
その中を、データの流れが星屑のように飛び交っている。
そして、その中心には──
「エンキ……」
カイは思わず、その名を口にした。エンキ。
かつて人類に技術を与えたとされる神。
その存在が、今、カイの目の前に現れていたのだ。
エンキの姿は、人間のようでありながら、どこか人間離れしていた。
その全身から放たれる光は、まるで星々の輝きのようだった。
「よく来たな、人間よ」
エンキの声は、この空間全体に響き渡るかのようだった。
「お前たちの文明は、我々が創り上げたものだ。だが、その力に溺れた今、お前たちは滅びる運命にある」
カイは、エンキの言葉に反論しようとしたが、言葉が出てこない。
確かに人類は与えられた力を乱用し、世界を破壊寸前まで追い込んでいた。
「しかし……」
カイは、やっとの思いで言葉を絞り出した。
「それでも、俺たちには未来がある。俺たちの手で、新しい世界を作り出せる」
エンキは、冷ややかな目でカイを見つめた。
「その決意、見せてみるがいい」
突如、空間が揺れ動く。カイの周りに、無数のホログラムが浮かび上がった。
それは、人類の歴史そのものだった。
栄光の瞬間も、残虐な戦争の記録も、すべてがそこにあった。
「これが、お前たち人類の真の姿だ」
エンキの声が響く。
「この愚かさを、お前はどう正当化する?」
カイは、目の前に広がる光景に圧倒されながらも、決意を固めた。
震える手でコンソールを操作し、最終プログラムを入力し始める。
その時、突如として空間が赤く染まった。警報が鳴り響く。
「最終防衛システム、起動」
冷たい機械音と共に、圧倒的な火力を持つドローンが次々と現れる。
カイは、入力を続けながら、それらの攻撃をかわそうとする。
銃撃音が響き渡る。カイの体に、幾つもの傷が付く。
しかし、彼は止まらない。
「人類には……まだ、希望がある!」
カイの叫びと共に、最後のキーが押された。