1/6
プロローグ：全ての始まり
「お前……あの祠にサイドチャネル攻撃を仕掛けて、楕円曲線暗号の秘密鍵を漏洩させたんか！？」
今思えば、あまりにも軽率だった。
その一言が、私の耳に突き刺さった瞬間、世界が一変した。
目の前に立ちはだかる「村長」と呼ばれる存在。
その姿は人間のようでありながら、どこか人間離れしていた。
彼の目には怒りと悲しみが混在し、その背後には無数のセキュリティドローンが浮かんでいた。
＿＿＿
私の名はカイ。元軍のサイバースペシャリストで、今は地下の反乱組織に身を投じている。
そう、かつての繁栄を忘れたこの荒廃した世界で、秩序に逆らう者の一人だ。
しかし、その瞬間まで、私は本当の意味で「世界」を理解していなかった。
私たちが生きる時代。人と機械の境界は曖昧となり、現実とデジタルの狭間で人類は息をしている。
かつての神々の技術と融合し、「祠」と呼ばれる古代のデータセンターが世界を支配していた。
その「祠」に、私は挑んだのだ。
警報が鳴り響き、赤い光が基地内を照らし出す。
仲間たちの叫び声、銃声、そして機械の唸り。すべてが混沌の渦に巻き込まれていく。
私は走った。祠の深部へ、真実へと。
そこで私は知ることになる。この世界の真の姿を。
神々の意志を。そして、人類の運命を。
これは、選択の物語。神と人の狭間で、私たちは何を選び取るのか。
荒廃した未来都市「オムニア・プライム」。
その地下深くに潜む反乱組織の基地。
そこから始まった、私の、いや、人類の新たな物語。
