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 深夜。

 ゲルニカは一人、どこかの部屋で羊皮紙を手に読んでいた。

 すると、音もなく背後に立つ一人の女。


「これはこれは、『女教皇(ハイプリエステス)』」

「……『死神(デス)』、それともゲルニカ? それともラムエルテ?」


 ゲルニカの後ろにいたのは、マドカだった。

 壁に寄りかかり、どこか退屈そうにゲルニカの背中を見ている。

 隙だらけに見え、まるで隙が無い。


「ゲルニカは学園教師の名、ラムエルテは暗殺者の名……どうぞ、お好きな方で」

「ふん、いくつも偽名持ってるくせに」

「ところで、何か? この部屋は私の隠れ家の中でも、特に見つからない場所だったのですが」


 振り返り、ニコニコするゲルニカ。

 マドカは、一枚の羊皮紙をゲルニカに渡す。


「『世界(ザワールド)』からの指令よ。『風魔七忍(ふうましちにん)』を語る謎のアサシン教団を探して始末しろとのこと……」

「ほほう、興味深い……『世界(ザワールド)』はどこまで知っているのですか?」

「……何を?」

「あなたもですよ、マドカ」


 いつの間にか、ゲルニカはマドカの背後にいた。

 ありえない。何故なら、まだ目の前に(・・・・・・)ゲルニカはいる(・・・・・・・)

 マドカは動揺を見せず、肩に置かれた手を払う。


「どういう意味?」

「ハンゾウ。あの愚かなる師が残した弟子……」

「……あの人に弟子がいるとでも? 弟子はあなたたち、旅団最初の七忍でしょう?」

「そうですね。ですが私はどうも引っかかる……あのハンゾウが、病に侵されたからと言って、捨て駒の称号である『(ストレングス)』如きに追い詰められるでしょうか? 特に、あのパワーズは私の弟子でも出来損ないだった」

「…………」

「私はね、パワーズと相打ち、あなたがとどめを刺したというのも疑っているんです……ねえ、マドカ。私はね、あなたが、師であり父であるハンゾウを殺したとは思えないんです」

「…………はっ」


 マドカは、ゲルニカを見て笑った。


「空想が趣味なので。だからなに?」

「フフ……まあ、はっきりさせますよ。私の勘ですが……風魔七忍は、子供です」

「…………」

「少なくとも二人。そのうち、一人は女子……」

「……それで?」

「今回、動くのは私だけですか?」

「さあね。他の連中は知らないわ」

「まあいいでしょう。生徒の中……新入生の中に二人いると仮定し、面白い実験をしようと思います」

「実験?」


 マドカが訝しむと、ゲルニカは嬉しそうにほほ笑んだ。


「『魔術師(マジシャン)』……私の弟子の一人が、面白い手駒を育てていまして。それを使い、実験をしてみようと思います」


 ◇◇◇◇◇◇


 シャドウは、ヒナタから全てを聞いた。


「やっぱり、あいつが」

「はい……正直、私では勝てません。近づくことすら困難かと。ですが、正体はバレていません……私が『女』ということは知られてしまいましたが」

「だ、大丈夫なの?」

「……はい」


 ルクレはヒナタを心配している。まだ新入りだが、仲間意識は芽生えていた。

 シャドウは、息を整える。


「……よし。目標はゲルニカだ。ここからは俺の仕事だな」

「シャドウ様……どうか、お気を付けて」

「ああ。ヒナタ、お前はもう関わるな。いち生徒として過ごすように」

「はい。ルクレ様、どうかご協力を」

「う、うん……わたし、何をすればいいの?」

「私のご友人としてお過ごしください。あくまで、一般生徒として振舞うように」

「……わ、わかった!! できること、精一杯やるよ!!」


 ルクレはヒナタの手を掴みウンウン頷く。

 シャドウは話題を変えた。


「ところで、明日って何かあったっけ……授業抜け出して暗殺とかはしたくないな」

「明日は……身体測定と体力測定がありますね」

「……そんなの意味あるのか?」

「心技体。魔法を使うのに身体は重要ですからね」

「男女に分かれてやるんだっけ……うう、運動苦手だしやだなあ」

「とりあえず、今日はもう休むか……」


 こうして、最初の暗殺目標をゲルニカに設定。

 シャドウの『暗殺者(アサシン)』としての仕事が始まった。

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