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連行

カスタムに出てから数日、特に変わったこともなく半日出社して、夕方から配信を始める生活をしていたある日。朝一で社長の緒方さんに呼ばれて社長室に行くと見たことのない人がいた。

「来たね、矢崎君。この子が君の後任の近藤君だ。引継ぎが終わり次第正式にプロとして契約になるからよろしく。」

「近藤です。」

「とりあえず、引継ぎの資料渡すから、それ見てわからないところあったら連絡してくれれば暇なときに返すから。とりあえず今日は配信の予定もないから1日どっかに居るから。」

「わかりました。・・・それにしても、本当に8toさんって働いてたんですね。」

「とはいっても、俺の場合暇そうにしてたらプロ連中に連行される毎日だったけどな。それじゃあ、指定の場所に行くよ。」

「わかりました。」

 その後、事前に用意していた引継ぎの資料を渡してしばらく様子を見て問題なさそうだったので休憩スペースへ行こうとすると、アリーナ部門のテスに声をかけられた。どうやらこれから配信者も交えてフルパでランクを回そうとしていたらしいが、そのうちの一人がこれなくなったらしく代役を頼みに来たようだ。事情が事情なので、代わりに参加することにした。


「そういえば、もう一人って誰なの?」

「小百合って人だね。ランクはマスターでキャリーでもいいからハイエストに行ってみたいんだってさ。」

「了解。って通話にもういるじゃん。」

「本当だ。俺らと違って早いね。」

とりあえず通話に参加した。

「どもー、初めまして8toです。」

「あ、初めまして。波場小百合といいます。」

「よろしく。今配信つけてるから待ってね。」

「ああ、そっか。8toストリーマーだもんな。フツーにカスタムで暴れてたから忘れてた。そういえば、小百合さんって8toのことどのぐらい知ってる?」

「元々ほかのゲームでプロで凄くFPS上手いとは聞いたことがあります。」

 俺ってそんなに知名度あったっけ?と思いながらもとりあえず聞いておこう。

「まあ、それだけ分かってれば大丈夫。8toがふざけない限りふつーにやればこのランク帯でも勝てるから。」

「え~、今の俺よりテスのほうが強いでしょ。・・・まっ、そんなことは置いておいて。波場さんって得意な武器何ですか?」

と露骨に話を逸らす。

「普段はAR使ってますね。」

「となると、俺はSR持とうかな。どうせテスはSGメインでしょ。」

「だな。いや~8toのSRとか久しぶりに見るな。ここ最近俺とかとやるとARとかばっかだったから。」

そうだったか?まあ、最近はそうだったかもな。でもおれのSRってそんな強くはないと思うんだけどな。

「8toさんって何が一番得意なんですか?」

「プロ時代はARがメインで時々SR持ってた感じだな。」

「それで、近距離戦で8toの近くに寄ったら秒で溶かされたからついたあだ名が『魔王』ってわけ。」

「いや、それ周りが言ってただけで、俺は自分から名乗ってはない。」

「でも、近接戦負けなしは事実だろ。」

「負けなしとは言えないかな。ハイエストのトップ連中には普通に負けるよ。マスターの上位勢にはさすがに負けないけどさ。」

「いや、私からすればハイエストどころかマスターでも格上なんですけど。」

その後テスがなんか言い出したのでここぞとばかりに通話をミュートしてリスナーさんに質問をした。

「今ミュートにしてるんだけどさ、小百合さんって何してる人なの?俺今日助っ人だからなんも知らないんだけど」


[個人V]

[よくアリーナやってる人]

[そういえば、今日早いね]

[まだ午前中だけど、仕事中じゃないの?]

[ゲームと雑談中心で時々歌枠もやってるね]


「ゲームと雑談中心ね。FPS以外もやるのかな?」


[RPGも]

[幅広くやってるイメージ]


「なるほどね、ありがとね。」

そうリスナーに言った後、ミュートを解除し適度に話に加わっりながらアリ様ーナを開き射撃訓練場でエイム調整をする。

「そういえば、一回普通のマッチ行くのか?俺なんも知らされてないんだけど。」

「一応一回通常のマッチに行って、小百合さんの様子を見てランクに行こうかと思ってる。俺と8toとってなるとハイエストかマスターあたりのマッチになるからさ。」

「なるほどな。まあ、無理そうならそれ相応のムーブ考えるよ。最悪俺がSRで削ってけばいいし。」

「なんか、お二人に迷惑をかけて申し訳ないです。」

「ん?別に気にしなくていいよ。初めはそんなもんだって。このゲーム特にマスターから一気に入るの難しくなるし、ムーブも変わってくるから、慣れるまではダウンとかしても気にせずプレーして。」

「そうそう。大体、適正ランクより高いところでやってるんだし、ダウンした後とかに相手だったり、俺らの動きをゆっくり見れるんだし、いい機会だから気になることあったら聞いてくれれば、どっちかが答えるよ。」

「・・・なんか、こう言うと失礼ですけど。私の思ってたお二人のイメージってもっと、こう、冷え切ってるような感じだったんですけど、こうして話すと普通に優しい方達なんですね。」

「いや、どんなイメージだよ。」

ほんと、どんな風に思われてるんだが。確かにレインやKazuとやってるときはそう見えるかもだけど。

「いや、俺はともかく、8toはそこまで優しくないって。まだ素の反応じゃないから優しいだけだよ。素ならもっとそっけないぞ。・・ああ後。こいつ彼女いるからその多少は辺は許してやって。」

「あれ、テスに言ったことあったっけ?」

「いや、Kazuから聞いた。ついでに相手のことも知ってる。まあ、納得する組み合わせではあるけどさ。」

とそんなことを言い出す。そしてふとコメントを見ると、

[リア充か]

[納得の相手?]

[となると業界の人か?]

「へ~、8toさんってお付き合いしている方がいるんですね。ちなみに、お相手のほうは聞いてもいいんですか?」

「悪いけど今は言えないかな。相手のこともあるし。」

「そうだね。さすがの俺でも言えないかな。」

「ふーん、相手のことを言わないあたり業界の人ですかね?」

・・・この子なかなか鋭いな。この話続けてたらいつかぼろが出かねないな。

「あっ、あいつ倒せばチャンピオンじゃね?」

「え?そんなに減ってたんですか!」

「俺と8toは話しながらもちょこちょこ敵倒してたし。」

「うそ、全然気づかなかった。」

「俺ら以前にこのランク帯になると減りが早くなるからね。今の時間はあんまりいないけど、夜になるとチーターとかもうじゃうじゃいるし。」

「・・・なんか、私の思ってたハイエスト帯と違いますね。もっと実力者ばかりが集まってるところかと持ってました。」

「今となってはどのランクもそんなもんだよ。DDosとかくらったときの絶望感やばいからね。まだホーミングとかウォールハックぐらいなら勝てる時もあるけど、あれだけは無理だね。」

「俺もあれには勝てないわ。そもそもラグ過ぎて試合になんなくなるから。」

「噂には聞いてましたけど、そこまでやばいんですね。こういうゲームお2人ともうまいのに、そこまで言うなんて。」

マジであれだけはどうしようもない。けどそのせいでポイントガッツリ減るからマジで萎えるんだよな。


 そんな感じで数時間アリーナをやり、小百合さんのやめるタイミングで解散になった。にしても、地味にプロ以外とやるの初だったな。まあ、特に問題もなく終わったので良しとしよう。

 そして後日、今日の切り抜きが投稿され、コラボの依頼が大量に届いたのは意外だった。別に俺、凄い事やってないけどな。


切り抜き

~~~~

「・・・ああ、後こいつ彼女いるからその辺は許してやって。」

パンッ←ヘッショ

「あれ、テスに言ったことあったっけ?」

パンッ←ヘッショ

~~~

[いや、この人強すぎ]

[話しながら2連ヘッショ・・・]

[これが魔王か・・・]

[いや、チーター?]

[そういいやG&A プロだもんな]

[しかも一番人口多い時のな]

[にしても、平然としすぎだって]

Kazu[これでこそ8toだ!!]

[なんかいるってww]


 とそのコメント欄は大盛り上がりだった。

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