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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

見つけたごっこしよう

作者: 里予田 華子

自分でも途中で何書いてるのか分からなくなったけど、とりあえずあげときます。

 「見つけたごっこしよう!」

 それが俺の幼馴染の口癖のようなものだった。口癖と言うか、俺に会ったら必ず言ってくる、挨拶なのかもしれない。


 幼馴染は、金髪碧眼の見た目だけはどこかの王女かと思うほど美しい。可愛いじゃなくて、美しいだ。あの子を見た者たちはすべてを惑わすような魅惑的な美しさを褒めはやすが、中には、幼いながらに完成された美しさに恐ろしいと怖がるものいた。でも、見た目は美しいだけど、中身は年相応に純粋で可愛いのだ。


  そんな幼馴染には、好きな遊びがある。『見つけたごっこ』だ。『見つけたごっこ』は幼馴染が決めたお題のようなものをそのまんま見つける遊びだ。


 

 俺は、そんな幼馴染が大好きだ。だから内心ではごっこ遊びなんてモンしたくないけど、可愛くおねだりされたら断れない。 

 

「見つけたごっこしよう!」


「いいよ。で、今日は何を見つけるんだ?」

 幼馴染は、頬に手を当て首を少しかしげる。かしげた際に金髪がサラリと流れ落ち、光を反射してきらきらしてる。

「ん〜とねぇ、今日は〜、幸せを見つけに行くよ!」


「またか?この間も探しただろう?」


「だって、綺麗なお花よりも、美味しいご飯よりも、可愛い動物よりも、幸せを見つけたほうが楽しいでしょ。そーれーにー、タクスの元気がない時は幸せを見せたら元気になるもん!」


 これだから、幼馴染には敵わない。俺よりも先に、俺が落ち込んでいたりすることに気づくのだ。 



「見つけたよ、見つけたよ!幸せがあるよ!」

幼馴染が指を指した先には、なんだか既視感のある後景が広がっていた。そうだ!今日は、俺を可愛がってくれた近所の姉ちゃんと兄ちゃんの結婚式だった。忘れてた。この頃何かと用事を忘れたり、ものを何処に置いたのか忘れたりするのだ。


 あと、違和感も感じる。さっきみたいに、知らないことを見たことあると思っていたり、昨日まであったものがなくなっていたりして、自分の中にぽっかり穴があいている気分になる。 


 

 「どーしたのー?タスク〜?楽しくなかった?」

幼馴染が俺の表情が曇ったのを見てそう問いかけてくる。蒼い瞳には、心配と悲しみの色が浮かんでおり、俺は慌てて言葉「大丈夫」だと言葉を返す。

 言葉を聞いた幼馴染は遊びを再開したが、瞳にはありありと不審がみえている。そして、小さな声で何かぼそっと言った。

「ん?なんか言ったか?」


「何も言ってないよ。それよりー、来てほしいところがあるんだ〜。」







 着いたところは、森の中にある古ぼけた祠だ。小さい時、探検をしていたら見つけのだ。古びた御札を幼馴染が剥ぎ取ってしまって、誰かに怒られやしないか、と怖がってしまったのを今でも覚えている。


 …小さい時?今の俺は何歳なんだ?小さい時と言っても俺の今の()()()は6歳ほどだ。そう、()()()だけは6歳だ。何なんだ?よくわからない、まるでモヤに覆われているようだ。

「見つけたよ、見つけたよ!幸せと不幸があるよ!」

いきなり、後ろに振り返り、俺と顔を合わせた幼馴染は、いつもの可愛らしい笑みではなく、ゾッとする不敵な笑みを浮かべていた。思わず後ずさるがその分だけ幼馴染が近づく。


「どーしたのー?タスクー。ほら見て、幸せと不幸があるよ。」

いつもどおりの口調で話しているがそれが逆にゾッとする。指を差す先には、蜘蛛の巣に絡まっている蝶とそれを食べている蜘蛛がいる。


 は?これの何処が幸せなんだ?いや、幼馴染は幸せと()()を見つけた、と言ってた。食べられる蝶と食べている蜘蛛をニコニコしながら見続けている幼馴染は、本当に俺の知っている大好きな幼馴染なのか?


「正真正銘、君の知っている幼馴染だよー。今まで見えてなかっただけで、タスクの幼馴染は人間じゃない化け物だっただけだよ〜」

ニコッと普段のような無邪気な笑みを浮かべながら言う。頭がズキズキと痛む。答えがすぐそこまできてるのに、でてこない。頭を抑え、うずくまるとでてこなかった答えを幼馴染が完璧な正しい答えを話し出す。


「まあ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()だけどね。ほら、よーく思い出してみてなの。御札を剥がした6歳以前に幼馴染はいたの?それはもちろんいなかったはずなのね。だって、私がでてこれたのは君が御札を剥がしたからだものね。」

幼馴染の口調が変わる。


「嘘…だ…」

 口ではそう言うが、頭の中ではもうすべてわかっている。御札を剥がしたのは俺で、それ以前にはこんな化け物はいなかった。ああ、どうして忘れていたんだろう。俺は今66歳だ。記憶が戻るのと一緒に、体は年老いていく。そう言えば結婚式をしていた彼らは兄ちゃんの浮気で姉ちゃんが弱って風邪をこじらせ死んでしまったんだ。


「ね、幸せだった?人生で一番楽しかった時に戻れて幸せだったのね?本当のタスクはヨボヨボのおじーちゃん。腰も曲がって、目もぼやけるおじーちゃん。あっははははははは!!笑っちゃうのね。『みんなを幸せにしたい、自分のせいで不幸にしてしまったから』そう言ってたのよね。なのになんにもできてない!仮初の幸せに囚われて時が進まなくなっちゃったじゃない。ほんとーに、タスクって最高なのね。だから私はやり直させてあげたのよね。ほんとーは危なかったのに。心の弱いタスク、死ぬ前にやっとのことで私に逆らえるタスクじゃ幸せからでられないのね。でもだんだん気づいてきてたからもう終わり、じゃーねタスク、()()()一番良かったよ。次も期待してるね。もう一度最初から、楽しみましょ…」

  

 いつの間にか俺のすぐそばにいた幼馴染は俺の頭に手を置き……、



 

 私は、タスクの頭を卵を潰すようにしていとも簡単にぐちゃぐちゃにした。

これでタスクで楽しむのは30…9回目だわ。そんなにやってたのね。少し驚いたわ。同じ人間では、10回ほどまでしか戻せなかったのに。今回のやり直しでタスクはもう終わりなのね。殺す前に、次の話をしたけどあれは嘘なのよね。タスクの負の感情を増幅させる餌よね。だって、これ以上ののやり直しはタスクの魂を壊すだけだもの。


 魂が壊れたら輪廻の輪に戻れない。それは困るのよね。タスクの魂は前回…私に反抗したのは初めてだった…で限界だったのよね。それを私の力と、タスクの思いがむりやりあと一回分伸ばしたのね。だから今回は、バレるのが早かったのね。でも早くてよかったのね。魂壊して神様にバレたらまた封印されるかもだし。


 …そうなのです!私が封印されていたのは、人で遊んでたら魂を壊しすぎたからなのです!大昔、そーやって殺してたら(あそんでたら)神様が激おこしちゃって、戦ったんだけど負けちゃって封印されちゃったのよね。さすが神様だよ。手も足も出なかったよね。


 この封印がまた厄介で、中のもの、つまり私の力を使って封印してたから、私は弱ってくばっかで何もできなかったの。やばい、消えちゃうかも!って焦ってたらちょうどタスクが剥がしてくれたのよね。


 はあー、それにしてもタスクは面白かったのよ。時に囚われて、やり直してる記憶をなくす人間なんて初めてだもの。今までは、戻したら私に復讐しようとしたり(もちろん、やり返した)、心が壊れて使えなくなっていたりしてたから。封印が解かれてすぐは、力が戻ってなかったから、近くにいたタスクに取り憑いたんだけど、心の弱さに驚いてこれじゃあすぐに終わっちゃう、回復するまで保たない、って思ってたんだよね。


 それがほんとーに、誤算だったのね。心が弱すぎて逆に`楽しい時に居たい、という思いに囚われて時が止まるなんて。





 

 `楽しい`という思いがある場所には、`悲しい`という思いも同じだけ存在してるのよね。幸せが沢山あれば、そこには同じく沢山の不幸があるのね。私はそんな悲しい、憎い、なんていう負の感情を食べていきてるのよね。私は特に不幸の味が好きなの。

 でも不幸を食べすぎると、食べられた人間の感覚がおかしくなる―不幸を不幸と思わなくなる―から、つまりは死んじゃうのね。だから不幸の中でも美味しい不幸を見つけたら不幸の原因の幸せな人間に取り憑いて、何回も時を戻すのよね。戻してる間は実体化するけど取り憑いている人間には私のことは親しい人間に見えるそうね。タスクの場合は、幼馴染に見えてたみたい。


 パチっと指を鳴らすとタスクの体は真っ赤な焰に包まれる。これはプレゼントなのね。タスクの周りの不幸はとっても美味しかったし、沢山食べれたから今度のタスク―もうタスクではない別物だけど―には本当に幸せになって欲しいんだよね。だから私みたいなのに憑かれないように加護を与えたのね。

 


 今まで加護を与える(こんなこと)したことなかったけど、案外気分が良くなるね。今度からやっちゃおうかな?あっ!加護を与えるのに一番大切なことを忘れてた。


「私は負を司る神、ネーガフィッフ。汝に私の加護を与えよう。私以外の神を、悪しきものを近づけぬような加護を我が子に与える。」


 そして私の本当の姿、藤色の髪に真っ赤な目をした姿に変わって、タスクの灰を拾うのね。仮初の姿じゃ私の本当の力が出せなくてうまくいかないかもしれないからね。灰に息を吹きかけ飛ばすと、きらきら光って消えていったのね。 










 私は負の神、ネーガフィッフなのね。だから負が、特に不幸が大好きなのね!

 次はどの人間にしようか?神様に怒られないようにしながら、私は負を探し食べ続けるのね。ねぇ、私と一緒に



「(不幸を)見つけたごっこをしよう!」




  

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