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いざよい  作者: そらのさんぽし
1/3

その1 清元のこと

【今夜、仕事早く上がれそうだから、飲みに行かない?】

決意を胸にLINEを送った。

【いいよ。私も定時いけそうだし】

【じゃあ、いつもの店でいい?】

【いいよぅ。誘ったの清元きよもとくんだから…奢り?】

【マジか。財布に相談してみます。泣】

【冗談だよ。後でね。】


金曜日の深夜

幼馴染の秋季あきとほろ酔いで店を出た。

9月も中旬になり、夜風は少し冷たくなってきだしていた。

火照った頬には心地良い。

「いやー。今日のオススメの胡麻鯖、美味かったなぁ」

「そうだねぇ。旬のお魚はやっぱりいいねぇ。お酒にも合う。ちょっと飲みすぎたかもなぁ」

他愛ない話をしながら、空を見上げた。

丸くて綺麗な月が目に飛び込んできた。

「今日って、十五夜?」

「惜しい!昨日が十五夜。昨日は雨だったからねぇ。空気が澄んでるせいか、今日はいちだんと綺麗だねぇ」

月を見上げる秋季の横顔は薄らと頬が赤くなって、いつもより魅力的に見えた。

今夜こそ、幼馴染からの脱却を!

心に秘めて俺は、飲みに誘っているのだが、なかなか勇気が出ずにいた。

今の関係を気に入っているし、この関係が崩れてしまうなら、このままがいいかも…という気持ちにいつも負けては、ヘタレな自分に呆れて、もう1度勇気を振り絞ってLINEする。

いつまで経っても前に進めない自分が情けない。

そんなことを考えながら、会社の愚痴や今見てるドラマの話など、他愛ない会話を続けている。

一歩一歩お互いの家に近づきながら。

迫るタイムリミットにまた負けそうになる。

また、今度もあるさ…と弱気なオレが囁いてくる。

ふと見ると、別れ道で秋季が立ち止まった。

「ねぇ、今日はこっちから帰らない?」

遠回りの道を指さして、こっちを向いた。

君がオレを見てる。

「月が綺麗だから、遠回りして帰ろうよ。」

あぁ、そうか

そういうことか…

幼馴染だもんな…わかってんのかな…

チャンスくれるのかな…

「おぉ、いいよ。行こうか。」

十五夜の過ぎたほんの少し月の欠けた夜

いざ!今宵こそ!!

進む道を決めてオレは歩きだした。

さて、「清元のこと」はここまでです。

十六夜とネットで調べて、関連ワードなどや、中秋の名月が近いので、それららから名前をとっています。

一応、「秋季のこと」につなげる予定なので、気長に待って頂ければ幸いです。

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