第五話 エドワード王の恋
冒険続きの少しの休息。
三人はアルフレッド城の一室でくつろいでいた。
エールがフィッシュに聞く。
エドワード様の能力は何かと。
フィッシュは少し考えてから答える。
チップス「それって最強じゃん」
エール「つまりエドワード様はモテないってことですか?
アーサー城の王の書斎で三人はくつろいでいた。
すでに三人にはそれぞれお気に入りの場所がある。
チップスは食堂。「尽きない酒樽」にエールが何種類もあるからだ。
エールは闘技場。広々として、島にきた騎士団長のレオナルドと勝負をできるからだ。
そして、フィッシュは図書室。「世界中の知識を本にする精霊」のおかげで読み切れない程だ。
「フィッシュ」
「はい?」
「レオナルドから聞いたんですが、エドワード様はやればできる人だって。でも彼の能力を使いこなせてないだけだと。一体どんな能力何です?」
フィッシュは少し考えた。
「では、説明しますね」といった。
チップスは長くなったときようにクッションを手元に置いた。
フィッシュは見逃さなかった。
「彼の能力は、愛されれば愛されるほど最強になり、憎まれれば憎まれるほど最弱になるという能力です。」
「は? 最強じゃん」チップスがいう。
「エドワード様はつまりモテないから最弱なのですね」失礼極まりないことをエールはいった。
「ですから、エドワード様には家族の愛以外にも支えとなる方を見つけては、とお仕えしていたときに助言しました」
「しかし、僕がモテないの知ってるでしょ? と受け入れてくださいませんでした」
「もったいないな~、普通の顔じゃん。ひとりでいいんだよそいうのは」チップスはいう。
「エドワード様は長年片思いをされている方がおります」フィッシュがいう。
「誰です? たしか王族同士の婚姻以外もフィッシュの時代にできるようになったのでは?」エールが聞く。
「はい、家柄もよく容姿に知性にも恵まれた方なだけに気おくれなさっているのです」
「よーし! 俺たちでエドワード様の恋実らせようぜ!」チップスがいう。
「暇だし、いいですね」エールがいう。
「では、いきましょう」フッシュがいう。
エドワードはぐったりしていた。
「今日も私はクマの置物状態だったな」ふがいなさに泣きそうになる。
彼は一冊の本を手にする。
「もう一度会いたいな。彼女も独身だし」
「そうだぞ! エドワード様! 今からグレースに告白しに行こうぜ」チップスが勢いよくドアを開ける。
「グレースの居場所はわかってますよ。さあ、いきましょう」エドワードを担いでエールが城を出る。
「では、しばらくお借りしますよ」フィッシュがいう。
「な、貴様はチャールズ!」ジェイコブがいう。
城から歩いて三十分くらいの所に彼女はいた。
「本の城」と呼ばれる学者のたまり場だった。
文字が読めなくても開いて触れれば精霊が読み上げてくれるのでパン屋のおかみさん、近所の子ども、靴屋のおやっさん、王立魔法学校の生徒など色々な層の人がそこにはいた。
彼女はある一冊の本を手にして懐かしんでいた。
美しい女性と獣の姿に変えられた王子の恋。
冒険小説よりも恋愛小説が好きなあの人は今は王。
宰相からの扱いと町で聞く評価は散々。
傍にいれば支えられるのに、そんなことをグレースは考えていた。
バタバタと足音が聞こえる。
「本の城では静かにしてください!」という司書の声も聞こえる。
「グレース様久しぶりですね? また一段と美しくなりましたね」
「その声は、チャールズ様?」
フィッシュの後ろからエドワードが現れる。
グレースは懐かしさとあふれ出る思いに涙がこぼれる。
あわてるエドワードにこういうときは抱きしめるんだよとチップスがいう。
エドワードはそっと抱きしめる。
「思っていることも伝えるんんですよ、エドワード様」エールがいう。
「ずっと、君のことを思っていた」
「どんなにつらい時も君と読んだあの本を手に取って乗り越えようとした、だめだったけどね」
「私は君を思わなかったことはない、もしよければ王妃の席が空いている」
「その、えっと、君さえよかったらその席に座らないかい?」
「はい、喜んで」グレースがいう。
「やったー!」チップスが空気をぶち壊す。
せっかく静かに見ていたのに! とその場にいた女性たちに言われると謝るチップス。
「では、私たちはこれで」フィッシュがいう。
それから数日後。新聞にエドワード様ご結婚とのっていた。
「結婚式は明日だって」チップスがいう。
「フィッシュ」エールがいう。
「エドワード様の能力を説明するときにこうなるように企んでいたんですか?」
「ロマンチックな発想ですね。チップス、私たちにも招待状が届いてますよ!」フィッシュがいう。
冒険続きの少しの休息に書きました。
久しぶりのラブコメです。
楽しんでいただけたでしょうか?
読んでくれてありがとうございます。
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