自分だけの交換日記
技術の発展で、ロボットが人間の仕事をするようになった。そのほうが正確だし、何より、人同士の責任の押し付け合いにならない。機械が機械を作り、その生産ラインごと、スクラップ。それが今の責任の取り方だ。
人間は人間相手に無理して喋らなくても良くなり、医療の発展で、なかなか死ぬことも無くなった。整形技術は内臓まで行き、年齢という概念は無くなってきている。みんな好きな容姿で、好きな格好をして暮らしていた。
でも、そこまで技術発展したとしても、なかなか発展しない分野もある。それがA I恋人だ。ここに、開発者の苦悩を残したい。
開発1日目。
人間が苦手な自分は、恋人なんかできたことがない。機械をいじっていたほうが、性に合っているし、今の時代褒められる。そんな中でも、1人寂しい時はあるもので。なら、自分の理想の恋人を作ればいいじゃないかと思い立ち、ここに開発日記をつけることにした。
開発2日目。
容姿はどんな風がいいかな?スタイルと声も大事。2日目は、外見のことで終わってしまったが、明るそうな未来に鼻の下が伸びた。
開発3日目。
大体の案は固まり、いよいよ本番。回路を組んで、プログラミング。この時代のプログラミングは全て、機械が行ってくれるため、自分はこうしたいと依頼すれば時自動で作ってくれる。いい時代になったものだ。
開発4日目。
試作品1号ができた。世話焼きの優しい彼女。なかなかいいと思う。それはそうで、自分の好みを詰め合わせたものだから、納得しないほうがおかしい。いよいよ起動となったが、機械的な声で、理想とかけ離れていた。まあ、これでうまく行ったら誰かがもうすでに作っているだろうし、落ち込むことはない。
そこから、約10日微調整に微調整を重ねた。
開発15日目。
試作品2号が完成。前回とは声の質がかなり改善されて、人となんら遜色のないものに。いよいよ起動。最初は寂しさを埋めるために抱きしめてもらうことにした。そこから自分の記憶はない。
目覚めたのは、病院の一室。どうやら、力の調整ミスで、肋骨を折られたらしい。肺にも刺さって、激痛だった。これは自分のミス。彼女に罪はない。だから、スクラップにはさせなかった。徐々にだが彼女に対して愛情が芽生えてきたかもしれない。
開発再開16日目。
力を極力抑える。平均的な女性の力と筋肉量を調べて、それに
近づけるように設計し直した。あと、2号機には人間特有の温かさと柔らかさがなかった。それもデータを集めて、設計。
開発17日目。
3号機ができた。見た目や肌感は人間そのもの。力の調整も完璧で、問題なし。受け答えもちゃんとしてくれるし、最初の設計通り世話焼きでいい子みたいだ。完璧だ。色々失敗はあったけど、完成した。
そこから彼女との生活が始まった。本当に数日はとても良かった。いわゆる理想的な生活があったから。色々なデータを入れたので、完璧だった。でも、それじゃあ物足りなくなってきたのが1ヶ月後。何がいけないのか自分でもわからなかった。完璧に自分の好みに合わせた性格と容姿。人肌も温もりも感じる。でも、なんか足りない。そこからは作業が難航した。色々なことを試したが、どれも違う。人間にあって、彼女にないもの。多分、それは人間の汚い部分かもしれない。機械は自分の思い通りにできてしまう。だからこそ、そういう部分は削ってしまう。でも、そこがあるからこそ、強い感情は生まれるのかもしれない。嫉妬も束縛もこまめな連絡も、全ては愛情の裏返し。それが、機械にはない。こういう負の感情は行きすぎると大変危険だ。だから、A I恋人はできないのかもしれない。
開発23日目。
机で寝落ちしてしまっていた自分の肩にブランケットがかかっていた。この開発日記を開いておいてあってそこには、『お疲れ様』と一言。
『自分だけの交換日記』
石猫様リクエストありがとうございました。
SFということで、AI恋人に焦点をあてました。
皆さんはどう思いますか?
自分はやっぱり人間がいいです。
リクエストお待ちしてます。
なんでも構わないので、Twitterもしくは近況報告、感想等に送ってください。