暖かな空間
「…そんなことがあったのだな」
「まぁ今ではどうとも思ってないですけどねぇ…これおいしーねヨハン」
「お嬢様が好きな品種のお米を手に入れましたので」
「あら、そうなの?それは嬉しいわね…あ、でも、ヨハンのご飯をいつまでも食べてるわけにはいかないわね」
「…そろそろ意地張るの、やめたら?」
「ムゥ…」
シュゼは心を見透かしすぎてきてほんと嫌い…
「どういうことだ?」
「殿下は知らなくていいです」
「拗ねんなって笑ヨハン従者クビになってるんですよ」
「…あぁ、だから表情が死んでたのか」
何納得してんだよばか殿下
「それぜってぇ声に出していうなよ」
「はーい」
…心読みすぎ…
「じゃあ今ミルフィーユに仕えているのはマドレーヌだけか?前々から思っていたが少なすぎないか?」
「え、マドレーヌ私の侍女じゃないですけど」
「そう…なのか?」
「そうですね、」
「じゃあ今従者いないのか?」
「そうですねぇ…」
別に気にしてることでもないからと淡々と答えているとなぜか目の前の3人の表情が凍ってきて、
「どうしたんですか?そんな顔して。…ふぅ、久しぶりにこんなに食べたわぁ…」
「…至急ハノン家の従者派遣するか…」
「いやそこは婚約者としてうちから…」
「…あ、いいですよ、ヨハンに復帰してもらいますし、」
「…それが一番お前にはいいんだろな、一応皇太子の婚約者だからな?確実に相応しい量の従者に達してないからな?」
「…相応しい量ってどのくらいですか?」
「…少なくても3人だな、妹にはその倍ぐらいいるが」
思わず殿下に尋ねると思わぬ答えが返ってきて、
驚愕するのと同時に、
ヨハンだけでよかったと心底思った。
周りに人がいるのはあまり好きじゃないし、
心を許してない人が周りにいるだけで疲弊する。
…そう思ったら、殿下に対して拒絶反応でてないな…
教室で見せてた殿下は苦手だけど、この空間の中にいる殿下は昔の殿下に戻ったようで、
なんとなくだけど安心する雰囲気に身を委ねてるとふわふわした眠気が襲ってきた。
「お嬢様、そのまま寝ていただいても結構ですよ、お運びしますので」
「…ん」
ふわぁぁぁぁぁ
…寝よう
シュゼの肩に頭を委ねて、
ゆっくりと瞼を閉じた。




