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目覚め

悪夢のような、それでもって暖かな夢を見たような、


そんなごちゃ混ぜの気分で目を覚ますと、


お腹のあたりにずしりという重さを感じて


そこに目をやると綺麗な金色の髪が見えて、


思わず笑みが溢れた


「ごほごほっ…あぁ、風邪ひいたかぁ」


流石にまだ肌寒い季節に冷たい水の中に入ったら風邪引くわなぁ…


というか、


「死ねると思ったのになぁ…」


「お嬢様!!」


急に大声出さないでほしいんだけど…


あぁ、びっくりした。


「なんだ、起きてたの?」


「起きてたのじゃないです!!なんで!あんなこと!」


こんなに焦ってるヨハン、久しぶりに見たかも


ちょっと前に脱走計画がバレた時の顔だ


「あんなことって?」


「なんで!噴水の中に!いたんですか!!」


…どうでもいい


「そんなことはどうでもいいわ。それより、私が倒れてから何日経ったの?」


長く眠っていたのだろうか、


体がうまく動かせず、起き上がれる気がしない。


「一週間です。起こさせていただきますね」


「あぁ…」


ゆっくりと体を起こしてくれたけど、


一週間でこれだけ動かなくなるのだろうか


「ちなみにですがお嬢様、最近ご飯食べてましたか?」


私の上半身を起こし、クッションを挟み終わったヨハンが呆れたように質問を投げかけてきた。


「…そういえばここってどこ?」


私が嫌いな消毒液の匂いがしない。


でも妙に落ち着く。


私の部屋でもないし、


うちの屋敷の一室でもない。


「はぁ…今更ですかそれ、てか質問の答えになってないし、俺の自室ですよ。お嬢様の部屋は狭すぎるし」


あぁ…そういうことか。


「じゃあいいか…」


「…まぁ。そうですね。」


「ふぅ…てかなんでヨハンの部屋うちの部屋と同じ匂いなの?」


「それはお嬢様がいるからに決まってるじゃないですか」


「イケメンかよ」


「イケメンってなんですか、とりあえずご飯、最近食べてましたか?」


「ご飯…ねぇ。…食べたっけ?」


「…やっぱり、食堂行きます?それとも俺が作りましょうか?」


「ヨハンが作って」


別にお腹空いてないんだけどなぁ


「わかりました。何がいいですか?」


「なんでもいい」


「一応目覚めたので回復魔法かけときますけど…無理しないでくださいね」


「はーい」


ヨハンの回復魔法のタイプは聖魔法だから、


病気の治療を得意とするため、


怪我の治療はあまり得意としない。


ヨハンの場合怪我そのものを治療するのではなくて、


地震の治癒能力を上げるもの。


だからこそ回復魔法が効かないと言われている風邪などの症状を和らげることもできるが、


私みたいに回復力があまり高くない人には効きにくい


「それはお嬢様がご飯食べないし睡眠も取らないせいだと思いますけどね」


「あら、声に出ていたかしら」


「顔に書いていました。じゃあ作ってくるので、おとなしくしといてください」


…子供じゃないんだから


ヨハンの部屋は多分中級貴族が使うレベルの部屋


狭すぎず、広すぎない。


まぁこの部屋にはキッチンがついてないみたいだったから


おそらく厨房を借りにいったんだろう


「…だる。…ケホ。やっぱ風邪ひいたかな」


ゆっくり起き上がると少しふらついたがもう動かせないということでもなかったから、


ゲホゲホと咳をしながらソファーに寝転がった


「あぁ…もう…眠れそう…」


「寝るなよ」


「へっ!?」


急に頭上からヨハンの声ではない低い声が聞こえて慌てて飛び起きた


「…殿下?」

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