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「**なんて、**なんて、死んじゃえばいいんだよ!!」


デジャブ


そう、感じた


「な…んで、そんなこと…」


頭の中は冷静なはずなのに、


口から溢れるのは戸惑った声。


私はどうやら、この子に依存してしまっていたらしい。


最近は悪口を言われたり、


物を隠されたり、


しまいには殴られかけたというのに、


つくづく私はめんどくさい性格をしている。


「**がいなければ、はやたの一番は私だったのに!!」


…あぁ、またか。


また、そんな理由で裏切られるのか。


また、そんな理由で、いじめられていたのか…


どうでもいいじゃないか、そんなこと。


男なんてどうでもいいじゃないか。


…もう、いいか。


人と関わることをやめてしまえばいい


「…私は神田はやたのことを好きじゃないし、どうでもいい」


パシンッ


「そういう態度が気に入らないって言ってるの!!」


あぁ、だから人を信用するのは嫌なんだ…


「…ごめん」


すっと冷め切った感覚を覚えながらも、


確実に口からは謝罪の言葉が出ていて、


そのことを自覚した途端、


目の前がぐるんと切り替わった。


「何をしている!!」


退屈そうに乳母と遊んでいた弟を連れ出し、


庭でチャンバラをしていたところにお父様が現れ、


開口一番に怒鳴られた。


「申し訳ありません」


「嫡男のブリオッシュを邪魔するようなことをするな!」


やっぱり、いつも怒られるのは私だけ。


嫡男である弟は確実に怒られない。


「申し訳ありません」


「わかったならもういい。いくぞ」


「はっはい!!」


お父様が歩き出すと、


弟は後ろ髪が引かれたようにチラチラとこっちを見ながらもお父様についていった


このまま家にいては虐げられるだけだろう。


そう思い、初めて家を飛び出した。


家にいた格好のままだったから、


誘拐されるかもしれない。


そのことは重々承知の上で飛び出したし、


どうせ攫われてもお父様は身代金を一銭も払うことはないだろう。


そのまま殺してくれれば、


そんなことを考えながらも、


初めて屋敷の外に出た。


と言っても、貴族街から出られるわけでもないから、


王宮からどんどん遠ざかるように歩いていくと、


どんどん暗くて、細い道に入り込んでいってしまった。


「ケホケホ」


ん…?


なんか音が鳴ってる…?


音が鳴っている方角に進むと、


そこには私と変わらないぐらいの身長の男の子がいて、


薄汚れていて、貧弱で、


でもそんな様子が私と重なって、


手を差し伸べることにした。


「ねぇ、君」


「…」


声をかけると、怯えたようにこっちを見てくる少年


「お母さんは?」


「…っ。いない」


「そっか、…じゃあ、うち、くる?」


「え?」


「じゃあ決定!!私迷子だから大通りまで案内してよ!」


どこからか温もりを感じ、


ふわりと目の前が白くなっていった。

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