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覚悟と決別

私はそのまま人形のように笑みを貼り付けて試験を終えた。


幸い、あの拒絶は思っていたほど声が出ていなかったようで私とヒロインちゃん、そしてヨハンにしか聞こえていなかったようだ。


学力テストはよくわからなくなてしまった感情をコントロールすることができなくて大失敗。


誤爆して試験会場を半壊させてしまった。


ほんと、私って使えない…


私はトラウマのせいか人を信じることがうまくできなくなっていて、


信用した人間に依存してしまう。


そういった性格の持ち主だ。


まだヨハンへの依存度hそんなに高くない。


今のうちに離れておかないと私は多分…


一生ヨハンと離れられなくなってしまうだろう。


だから…


今日はお父様に、直談判をしに行くことにした。


コンコンコン


「入りなさい」


「失礼します」


重厚感のある重い扉を開けると執務席にはずっぷりと太った男性が座っていた。


この男性が今世の私の父、ビスケット・F・クラリネット・カノン


クラリネットは爵位を持ってるものだけが名乗ることを許されている名前で、


そのことからこの男性が公爵家の当主だということが推測されるだろう。


弟は四月に生まれたため、


三月生まれの私はぶっちゃけこの家では冷遇されている。


だって公爵令嬢に護衛権従者が一人っておかしいでしょ?


普通は護衛が3人以上はいるものだから。


「要件はなんだ、ミルフィーユ。私はお前と違って忙しいんだ、早くしなさい」


…この高圧的に喋られる感じ、いつまで経っても慣れないと思ったらトラウマのせいかと今更ながら他人事のように考える。


「すみませんお父様。私の護衛のヨハンのとこですが…別の人にしていただけませんか?」


「いいぞ、あいつはお前が拾ってきたもんだしな。解雇してくれても構わない。そろそろ新しい従者兼護衛を入れようと思っていたんだ、」


「…そうですか」


…私には相談もなしに、ね。


「ついでに紹介しておこう、きなさい」


「はい」


女の声…だな


「っ…」


そういうことか


ヒロインちゃんは私の従者になることで一年早く入学ができる。


だからあの場にいたんだ。


自らの主人となるものにタメ口で反発するっていうことは常識がないのかな…?


でも主人公ちゃん貧民だから貴族街には入れないはず…


「…もしかして」


そういえば最後の方に判明する没落した男爵家の末裔だったみたいな記載もあったから貴族街に…


確かに、そういった設定がなかったらお城に入ることは極めて困難。


奴隷になるしか方法はないがそんなこと乙女ゲームの世界ではありえない。


今の段階はそれが判明してないから病気の母親と貧しい暮らしをしているはず…


なぜ?


「マドレーヌ・ハノンです、よろしくお願いします、ミルフィーユお嬢様」


「よろしくね、ひとつ、教えてあげるわ、平民が貴族に苗字を名乗ることは不敬罪に当たるのよ?もし、どこかの子息だったとしても高位の家に従者として働きに出るのであれば主人の前で苗字を名乗ることは禁句…わかっったかしら?」


「いや、でもっ」


「ここではあなたはただのマドレーヌ、わかったわね?」


「…はい」


「では、失礼します」


一人で部屋から出て扉を閉める。


と同時に足の力が抜けてヘナヘナと座り込んでしまった。


「…はあっはあっ…一回死んでもトラウマって残るもんねぇ」


目が開けていられない。


そのまま私は扉にもたれかかるようにして意識を失った

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