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体が熱い。

「うっ!ゴホッゴホッ!うぅ・・・。はぁ・・。うっ!ゴホッゴホッ!はあはあ、、。」


体が熱い。全身がムズムズする。あの人に触ってほしい。めちゃくちゃにされたい。

あの人に愛されたい。次第にまともな考えができなくなってくる。

さっきまでは視界がはっきりしていたはずなのにいまはぼやけて目の前にいる人の顔も見えない。

目の前に愛しい人がいるというのに。はぁ、はぁ、呼吸すらも難しくなってきている。


私がこんな状況になる5分前。


私はエリナ。エリナ・イリザード。公爵家の次女。ついさっき婚約破棄されちゃいました。

この国での婚約破棄はあまりよくないとされているんだけど、婚約破棄された相手が

この国の第一王子だから、みんな何も言えなくて、、、。

この国が誰よりも好きだから、公爵家の令嬢に生まれたことはすごいラッキーだと思ったし、

王子の婚約者っていう立場になれるよう報われるまで努力してきた。


やっぱり貴族っていうのは腹黒くて、常にニセモノの笑みを張り付けなければいけなかった。

そのことに気付いたのはわずか2歳で、そう育ってきたために周りからのあだ名は

「ご令嬢様」という嫌味たっぷりなものだった。生まれる前から決まっていた婚約に3歳くらいまではうまくいっていたものの、王子は、冷たくあまりにも大人びていた私に興味をなくし、


15歳、本来ならば私の成人を祝う場だったはずが婚約破棄されるためにあった場のようになった。

そして王子に付きまとっている令嬢が気持ち悪い笑みを浮かべていったのだ。


「残念ですこと。」


許せない。人生で初めてそう思った。その場にいたくなくなって、この世から消え去りたくなって、

思いっきり会場を抜け出した。

何もかも壊してやりたくて、一番大好きだった花に囲まれた庭に来た。


護身用のナイフを無意識に取り出す。ナイフに目からあふれた涙がこぼれて反射した。

怖い、やっぱり死ぬのは怖い。でも王子の婚約者じゃない、この国を1番愛せる立場にいられない。そんな私はいらない。誰よりも努力したのに。お忍びで行った街を案内してくれた少女の笑顔を思い出す。一度も見たことがなかった無邪気な笑みに、この国と民を愛したいと思った。


だというのに。死にたい。やっぱり死にたい。ナイフを握りしめる手に力を籠める。

頑張って首に持っていく。自分の首に自分でナイフを突きつける。

先端が当たって少し血が出る。痛い。手が震えてうまく刺さらない。


「おいっ!!!」


慌てて振り返ったからナイフがさっきより深く刺さる。


「うっ!」


「何してるんだよ!」


涙でよく見えない。やっと見えたと思うとそこにいたのは


婚約破棄されたはずの王子、ユノリ・クロノルンだった。


うん。やっぱ死のう。かえって冷静になれた。

再び自分の首にナイフを突きつける。まだ傷口が痛んで顔がゆがむ。


「だからなにしてんだよ!?」


うるさいなぁこの王子。


「見ればわかるでしょう。」


「いやそうだけど、なんでそんなことしてんだよって聞いてんだよ!」


この王子、、、よくもまあ原因の一つであるあなたがそんなことを言えますね・・・。

婚約破棄したのはほかの誰でもないあなたでしょう!?


「殿下がいうことではございません」


「っ!!と、とりあえずそのナイフを捨てろ。」


この王子・・・。とことん私の人生の邪魔をするんですね。

とりあえず従っておこうか。


「で?なんでそんなことしたんだ。まさか婚約破棄されたからとか?」


「・・・。」


「もういいや。この紅茶を飲め。」


「殿下が入れたんでしょうか。」


「ああ。」


信用できないなと思いながらも口にする。


「・・・。」甘い。甘すぎる。なん何だコレは。

それに砂糖を入れてもこんな味にはならない。不思議な味。

と思っていたのも束の間で、10秒くらいたつと


むせかえるようなあつさが全身から生まれる。


「うっ!ゴホッゴホッ!うぅ・・・。はぁ・・。うっ!ゴホッゴホッ!はあはあ、、。」


やっぱりか、怪しいとは思ってたけど、、、。でもなぜか憎いはずの王子が世界一いとおしく見えてくる。


「はぁ、はぁ、はぁ。」


くそっ!書物で読んだことあったけど、惚れ薬や媚薬は、味はうっすら甘いだけというのが

特徴だったはず。分量間違えただろ~!

というか、この薬を解くには、記憶があやふやな中、一生懸命思い出す。

そうだ、そうだった・・・。媚薬は時間で切れるけど、惚れ薬は、

その時飲んだ分量の倍以上の量を飲んでその日のうちに性行為をするだったはず。しないと効果は一生続くって書いてあった。ばかばかしくなって、

注意事項には、惚れ薬と媚薬を一緒に飲むな。これ絶対とかいてあったけど、

気持ち悪くて、盆を勢いよく閉じて地面に投げつけたんだった。

続きは読んでないもちろん。

あ、なんだっけ、思い出さないといけないような気がするんだけど


だんだん視界が暗くなっていく。もういいや。


バタッ。


「え?おい!エリ!エリィ!!!」



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