終幕「天使」
わたしのからだが、こおりついていく。ごちごち、かくじつに、しずかにこおりついていく。わたしのこころをとじこめていく。すべてのきもちをとめてしまおうとしている。きおくがおわっていく。せかいがとじられようとしている。わたしとよべるわたしがすべてきえてゆく。
あるいてきたみちをふりかえってきた。とてもながくて、とてもおもいでぶかい、すべてをおもいだすことなどとてもできないわたしのみち。わたしがいきてきたきせき。それは、このばでようやくねしずまろうとしているのだ。
いまになってすこし、わたしのいきたみちをりかいできるようになってきた。わたしはずっとこどくだとおもっていた。だから、アイカをこどくにしてはいけない、ひたすらあいさなくてはいけないとおもっていた。だが、わたしははじめから、うえもだえなげきいたみをかんじなみだをちをながしながらもとめてきたあいにつつまれていたらしいじじつを、いまもってしった。いっしょだったんだ。はじめから、ずっといっしょだったんだね……。
……おとが、かぜの、わたしをつつむおと、が、がさがさ、した、ききなれない、ものに、かわっていく。……じめん、が、わたし、の、からだに、せつごうする。……そらのいろ、が、しろく、なめらかなもの、に、へんようする。……わたしが、いなくなって、いくからだと、はっきり、とわかる。
こわい、よ……。さみしい、よ………。だれ、も、そば、に、いて、くれない、よ……。ぼく、ひとり、は、いやだ、もう、ひとり、は、いやだ、だって、とても、とても、あれ、は、いたい、きぶん、だから……。
で、でも、ぼく、は、ひとり、でも、いき、て、い、く。な、ぜ、って、アイカ、と、やく、そ、く、したん、だ、いえ、なか、った、け、ど、ひ、とり、でも、いき、て、いく、よ、って、あの、ひと、に、だっ、て、や、くそ、く、した、ん……ダ、ぼく……いき、て、いく、ヨって……。
アイカ…アイ…カ…ア…イ…カ…あ……か…あ………い…………か。あ…あ……り………が…と…………う。さ……よ………な…………ら……………。す…す……き………だ…………て…す…な……お………に……い…え………な………く………て……ご……………
Finale of the Song for the Rose and the Leaf




