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Singalio Rou' Se lef  作者: 篠崎彩人
最終章「雪降る野原に、愛を繋いで」

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47/53

本編/第四幕「A Boy and His Shining Knife」

 青い空。白さは皆目見られない。先ほどまでのそれは、何処かへ溶け込んで行ってしまった。お前はまた、私に嘘をついていたんだな……。空も、太陽も見上げたくない。もう私に、それらを見上げる意味はない。もう私に、それらに対する思いもない。それら自体の価値もない。そう、そして私自身、生きていこうとする所に、その価値はない。

 聞こえるような気がするのは、弱まることもなく、強いこともなく、一定の速度で歩を進めて来た、私の跫音だろうか。耳から入り、頭の中で、かき回すように激しく加速し、聞こえるような音の波が、世界へ広がって行く。意識は薄れない。私の心象は、停滞している。

 振り返ると呼べるのだろうか。私の時間は、いまだ存続しているのだろうか。それを立証するのではない。そのつもりはない。ただ、自らの自由意志として、最後に残された生命の余韻として、今この場で、この心、この思いのままに、歩んできたその足跡を、今一度遡り続けてみたい。大河に授かりし命を、蒼き流れの懐に抱かれる中で、再び原初に還そうとする、小さく巨大な水魚のように、もしくは、この上もなく瞬ける白い光の中で、一つの黒点が、回り続けるその周回の最後に、立派で美しい明かりをほうっと灯すように、何処までも深く、何よりも透明で、白い微かな勇気の証を、この人生の確かな終止符としたい。

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