第八幕「祝福」
え? こんなに素敵な世界があったんですか?
ああ、あれ! あのチカチカ光っている明かりの名前は何というのだろう? もっと近くに来てくれないかな、そしたらお話しできるのに。でも ……とっても遠いいや。
じゃあ、あれは? あそこでクルクル回っている綺麗な幾つかの丸いもの! ああ、いろんな、いろんな世界があったんですね! 誰かに聞かせてあげたいな、見せてあげたいな、誰か、どなたかここにいらっしゃらないんですか? あたし、一人なんですか?
どれか、一つでも良いから、あの素晴らしいもののそばに近づけないのかしら? あんなに綺麗なものが、あるのに、ただそれを見ているだけだなんて……。なんでかな? あたし、今まで一生懸命やってきただけなのに。まだ、一生懸命やらなくちゃダメなのかな?
ああ、そうだ! あたしは、いったいどんな形で、どんな色をしているのかしら! わあ! 見たい、早く見たいな。あの全ての綺麗なもののように、あたしも素晴らしい姿をしているかしら? もしそうだったら……あたし、それだけで十分!
……緑色してる。細長い。……これだけなの? もっと、素敵なものはないの? やっぱり、あたしはまだ一生懸命が足りなぃのね。もっと頑張ろう。もっと頑張って、もっと素敵な世界に近づけるようになろう、もっと素敵な自分になろう。
……あ。 今こうして、自分がいることがわかっているこの部分は何かしら。自分の嬉しさや、悔しさや、やる気が出たり入ったりしている、この不思議な部分は何? こんな、いろんな素敵なことを知ったり、ダメなことをわかったりしている、このいろいろなことが起きているところは、一体なんて名前? どんな色? どんな形? ああ、あたしに知ることはできないのかな? 見ちゃいけないってことなのかな? そんなの悔しいな。やだな。ねえ、誰か、誰だか教えてくれませんか。あたし、どんな姿をしているんですか?




