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Singalio Rou' Se lef  作者: 篠崎彩人
最終章「雪降る野原に、愛を繋いで」

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第五幕「青空」

□眩しいほどの快晴

 俺は時々思うんだ。なあ、お前はどうして、ここにいるんだよってさ。

 地上って呼ばれてる場所を歩き回っても見たけれど、もうどこにも俺がいていいみたいな場所はなかったよ。 あくまで俺の場合だぜ? それだけの話だけどさ。 でもよ、笑っちまうよな。じゃあ何が悲しくてこんなとこにいなくちゃいけないんだよ。お前がここにいてくれって言ったから? こうまでされて、それでもここにいるのが立派だって、言われたんだっけ? 冗談じゃねえよ。なあおい、冗談じゃねえんだよ。俺は、俺は絶対に、そんなことのためにここにいるんじゃねえんだよ! 違うんだよ! 絶対違うんだよ。ホントに、ホントに、違うのに、なんで、何でだってこんなとこに、こんなとこに……。


□気怠い曇り空

 ……お前、俺のことを見てるかい……? 見えるかい? 俺がどんなねじ曲がった顔してるか、見えるかい? 俺が空気を震わせてるのが、わかるかい? ——ああ、お前はいつもこれを奴らの言葉で "聞こえる" って言ってたっけ……——それとも、もう見えちゃいないのかい? お前のさっきまでの小さな目ン玉は、もう、ダメになっちまったかい?……それも仕方ないさ、たぶん、そうなっちまうのが流れだって、そういうことなんだろうさ。


□終末の明るき夜

 ……もうダメだな。なんて言うんだろうな、その "しおどき" ってのが近いみたいだよ、へヘッ。でもよ、俺もお前もよ、良くやったんだと思うよ。だってよ、こんなにお互い、押し潰しそうになってんのに、それでも何とかそいつら——イノチ?——を、繋いできたんじゃないのかい? そうだろ? だったら、それでいいんだよ。 たぶん俺たち、——ああ、最後に "俺たち" って、呼ぶことができたな——が、やってきたことは、誰かさんが見て、誰かさんが知って、……それで、それできっと、ずっと消えずに、残って行くに、決まってるぜ……。


□青く、ただそれだけの光

 ………… "死" ? 死ってのは、こんなに青くて眩しくて、力強いものなのかなあ……。どう思うよ? もうそんなこと、考える時間も、力もお互いありゃしないか。でもよ、言わせてもらえるかな? もしもお前さえ、構わないならさ。結論からいって、俺はここにいて良かったんだなって、思えるようになったよ。死んだからって、きっと何も変わりゃしないんだ。ただ、減るかもしれないものがあるだけでさ。でも、結局はどこかでまた生まれるものがあるわけだろ? ——そう、奴らに言わせりゃ "リンネ" ってとこだ——そうゆう時にさ、俺たちは……何か、残すことはできるのかなあ? 本当に、何か見てくれるやつはいるのかなあ? 見てくれないようだったら、もしもそんな皮肉なリンネが続くようだったら、俺たち、いや、きっともっと無数にいるはずの俺たちと同類の奴らは、それで、終わりになっちまうのかな。ただ見守ってるだけなのかな? ……きっとそんなことないよな。でもよ。悔しいよな。俺たち、何もできなかったな。見てるだけでさ、破壊されていくのを見ながら、ただ存在しているだけ

でさ。でも……俺はこう思ったんだ。存在しただけでもさ、こうやって結局は破滅させちゃったけどさ、ちょっとした短い間でも、こうやって奴らを繋ぎ止めてきたってのは、きっと良かったんだよってさ。へへっ、柄にもねえよな。じゃあな、ありがとよ。最後にわかりあえた、それだけは嬉しかったぜ。

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