表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Singalio Rou' Se lef  作者: 篠崎彩人
最終章「雪降る野原に、愛を繋いで」

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/53

最後の物語「雪降る野原に、愛を繋いで」/第四幕「刃物」

 少年と、刃物。

 少年は、起き上がった時、その手に持っていた金属を少しずつ少しずつ、研ぎ澄ましていきました。なぜ、その金属を握っていたのか、なぜ、削っては削っては涙がはらはらと零れ落ちるのか、少年は全然わからないまま、金属を削り続けました。

 少年は、空を見上げてみます。しかしそこには、あるべき何らかの色はなく、その代わり、まっ白な空気だけが、少年を囲んでいました。見ると目が沁みました。だから少年はひたすらうつむいて、一心に金属を削り続けました。

 夜が来ることがありました。本当はいつも来るものだったのですが、少年は、それを知りませんでした。いつであろうと、何処であろうと、少年は金属を研ぎ続けました。

 一度、少年は金属で手を切りました。舌で、その傷をなめました。

 その金属で、少年は生きていくことを学びました。その金属で、少年は生きていく力を得ました。そしてその金属が、少年に大切なことを教えました。

 もう少年に金属はいりません。なぜなら、それは刃物だから。もう、痛いということは、十分すぎるほど学んできました。もう、あんな思いはしなくても、もう平気なんです。大きくなった少年に、もう金属はいりません。なぜなら、それが刃物だから。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ