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第二幕「神なき世界」
そんな日々の中で、私とアイカの心の支えはやはりお互いの温もりと歌声だった。遠い日の私と彼女との思い出だった。しかし、そればかりを懐古していれば精神の健康が保てるというほど、現実は生易しいものではない。
次第次第に、アイカの精神が薄弱していくのを感じる。私とてそれに違いないが、ただ彼女に於いてはより一層深刻なようだ。精神の他にも、その不調に起因して肉体の疲労もまた増長している。睡眠も、今までらしくは旨く取れない。光と闇とが入れ替わり立ち替わりしてくれないのでは、精神がえも言われぬ不安に襲われる。食料らしき物も、近頃に於いては何一つ取れていない。ただ一つ、アイカにだけは、こうした苦悶は味わせまい、特として不自由なく、元気快活に生きていてもらえればと、いつでも願っていたというのに……。
歌を歌うにも、肉体がいうことを聞かない。歌を歌わなければ、精神が衰弱していく。この板挟みの中で、藁にも縋る思いで、二人はお互いに依存し合いながら、ぎりぎりの命を保ち続けている。我々のここから後の行く末に、幸多からん未来の光がいまだ遺されていることを、強く所望し祈り込むばかりだ。




