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君は無敵の姫君  作者: violet
23/31

祝勝会

「マギー、綺麗だ。」

ヤツは同じ事を繰り返している。

レイクリフは儀礼仕様の軍服だ、肩章、飾緒、勲章が筋肉質な体格に映えている。

マーガレットは、薄いピンクで胸元を同色の花で飾ったドレスである。腕にはレイクリフから贈られたブレスレット。ネックレスとイヤリングも新たにレイクリフから贈られたものだ。



今夜は王宮で祝勝会である。

ジルベールとレイクリフは英雄として叙勲がある。

誰もが、この栄誉としてジルベールは一代限りの爵位ではなく、永代の公爵として王家を離れると思っている。


今夜だけは、王よりも、ジルベールとレイクリフが後に入場する、会場中の拍手で二人は迎えられた。

マーガレットは父や兄と一緒に王家近くにいた。

そして、王より叙勲が始まる。

武勲をたてた兵士が次々と叙勲され、イースも叙勲された。最後がジルベールとレイクリフである。

この国で最高栄誉の勲章が二人に授けられ、王が栄誉を讃える。

全ての人々が、勝利という余韻に浸っていた。

この場にいる軍人以外は戦場を知らず、ただ勝利を祝い、アルビリア王国の領土が増えた事を喜んでいる者がほとんどだった。


ドーーーーンッ!!!


祝勝会の直ぐ近くから爆弾の音がした。

何処に隠れていたのか、沢山の男達が広間に駆け込んできた。

彼らが何者かはわからないが、手に剣を持っていることから、ウォール王国軍で敗戦を認めない者達か、アルビリア王国の反対勢力かと思われるが、確認する間などない。


ジルベールもレイクリフも飾りで着けていた剣を手に取る。

叙勲の為に武官達はいたが、圧倒的に乱入者達の方が多い。警備兵達は、爆発した方向に行っていて隙が出来ていた。

元々、戦に疲れた兵達に休みを与えているため、最低の人員で警備していたのだ。

戦争が終わって、安心があったのかもしれない。


「何処にこの数の人間が隠れていたのか!?」

王宮内部に手引きして、匿っていた人間がまだいると、思わざるを得ない。

逃げ惑う人々の悲鳴、剣の打ち合う音、続く爆発の音、血を流して倒れる人間、広間は争乱の中にあった。


ギリアンもいつの間にか乱入者の剣を奪い取り戦っている。

祝勝会には沢山の貴族女性がいる、ジルベールもギリアンも彼女達を守りながら戦わねばならない。

一方の乱入者達は、女性にも剣を向けているから、尚更である。

レイクリフとイースが王と王太子を守りながら戦っている時だ、マーガレットは何かが動いたのを感じた時には王妃の方へ駆け出していた。


「王妃様!」

マーガレットが叫びながら、腕のブレスレットで落ちてくる剣を受け止めた。そのまま、王妃の背後から王妃に剣を振り下ろした人物を蹴りにかかる。

ダン!!

人々が蹴り飛ばされた、手に剣を持つ侍女を見た。

それは、王妃付きの侍女で、侯爵令嬢であった。

「返して!あの人を返して!!」

マーガレットの蹴りで大きなダメージを受けているであろう侍女は、ヨロヨロと立ち上がり剣を振り上げた。

「あの人のいない世界などいらない!この国も全て無くなってしまえ!!」

叫ぶ侍女と同時にレイクリフが叫んだ。

「マギー!!」

レイクリフが投げてきた剣でマーガレットは、侍女が振り下ろした剣を弾き飛ばした。


マーガレットが王妃を背中に庇った時に、侍女の剣を拾った男性が駆けてきたと思うと、侍女を切り捨てた。

それは、スレッダ侯爵、侍女の父親であった。

「侯爵、王妃様をお願いします。」

言うが早いか、マーガレットは剣を手に、乱入者達に向かって行った。

「姫!」

ジルベールが叫ぶ声が聞こえたが、すでにマーガレットは乱入者に斬りかかっていた。



乱入者達は制圧された、(わず)かに息のある者もいるが、長い命でないだろう。

彼ら自身も、捨て身であったのだろう。王家の人間を道連れにすることが目的であったのかもしれない。


戦争は沢山の遺恨を産み出し、沢山の命を奪い、それでも終わらない。勝敗はついても、心についた傷は簡単には消せない。


「娘には、北方第3部隊に恋人がいたのですが、男爵家の3男だったので私は結婚を許さなかったのです。」

スレッダ侯爵は、息絶えている娘の遺体を抱いて涙を流していた。


ここまで、人は人を好きになるのか、マーガレットは侍女を見下ろしながら、バカな事と思えなかった。

侍女の死に顔は微笑んでいたのだ、恋人が迎えにきたのかもしれない。

その行いは許されるものではないが・・・・


「マギー。」

レイクリフがマーガレットから剣を取り上げた。

いつの間にか横に来ているのに気が付かなかった程、侍女を見ていたのだ。

「貴方と夜会に来るとこんなのばかりね。」

「まったくだ。」



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