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君は無敵の姫君  作者: violet
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反逆者

戦闘が始まり、残酷と思われるシーンが出てきます。

裏切り者を、情報を売る内通者から、戦闘になるにつけ謀反、反逆と変わっております。

何処に内通者がいるかはわからない。ジルベールはイースしか進軍中近寄らせなかった。

第3部隊だけなのか?

第3部隊のどの程度の兵士が謀反に加担しているのか?


前日まで南方部隊副官だったイースが、北方部隊に居ることは多くの憶測を呼んだ。正式発表をする時間的余裕もなかったし、手続きもしていない。

多くの兵士にお飾りの将軍として、王弟がなったと思われている為、イースが北方部隊将軍職の実務をすると思われていた。

ジルベールもイースもそれを訂正しなかった、反逆者達の油断を誘う為である。


「殿下、ずっと神経が張りつめばなしです。お身体が持ちません。」

イースが、茶をだすと、ジルベールは、困ったような、笑ったような表情をした。

「大丈夫だ。」


「私は、王弟ということで、地位はあるが要職に就くこともなく、王の補佐を納得してきたつもりたった。」

やがて一代限りの公爵として、王族を降りたであろう。代々の王族がそうしてきたように。

「だが、この任務は私でなければ出来ない。必要とされる事が嬉しいのだ。

慣れてなくて悪いな、心配をかける。」

「今夜は、僕が番をしますから安心してお休みください。

明日は最前線に着きます、直ぐに動きが有るかもしれません。」

「ああ、そうだな。イースも休めよ。

旨い茶だった。」

ジルベールはそう言って、カップをトレーに戻した。


心配された進軍中の襲撃はなく、それは前線基地に着いた夜の事だった。

北方部隊、南方部隊がそれぞれに陣形を取り、後方中央に天幕を張った将軍の指揮部が置かれた。






ゴロン、剣を持った手首が転がり落ちた。

将軍の天幕に飛び込んできた男を、イースが瞬時に斬り捨てたのだ。


「うあああああああ!」

手首を斬り落とされた兵士が傷口を押さえて転げまわる、傷口からは血が吹き出ている。

イースは兵士に目をくれる事もなく、さらに襲ってくる別の兵士に剣を向ける。

これが初陣とは思えない剣さばきのジルベールも、兵士の返り血で真っ赤になっている。

ジルベールが腹に剣を突き刺した兵士の後ろから別の兵士が飛び出してきた。イースが駆け寄り、兵士の後ろから叩き斬る。

「殿下!」

「大丈夫だ!」

イースをチラッと横目で見たジルベールが声をあげた。


「第3部隊に逆心あり!殿下を守れ!!」

イースが叫ぶ。


将軍の天幕は護衛と称した第3部隊に完全に包囲されていたが、その外からは天幕の異変に他部隊が気づいた。


「第3部隊反逆!!」

イースの声が響く。

軍の隙を狙って王弟の首を取り、混乱に乗じて国境を越えるはずだった第3部隊は、ジルベールとイースの抵抗で時間をとった為に、他部隊に気づかれてしまった。

南方部隊将軍に伝令が走り、後方で起こっている事を多くの者が気づいた。




「北方部隊陣に騒乱あり!」

伝令がレイクリフの天幕に転がり込んできた。

「あわてるな!陣を崩すな!

俺が北方部隊の指揮もとる!

この期に乗じてウォール王国軍が進軍してくる、迎え討て!」

オルグ達の蜂起は、ウォール王国軍の開戦合図だろう、ということは容易に予想できた。

ジルベールとの打ち合わせ通りに、北方部隊の指揮権をとり、ウォール王国軍に対面するが、ジルベールを助けにいく余力までない。計画段階からジルベールとイースで反逆者を討つ予定であった。


「全軍、前進!!」

国境の土煙を見て、レイクリフが叫ぶ。

ウォール王国軍が国境を越えたのだ。

兵士も軍馬も地響きを立てて、突入が始まった。男達の怒声や罵声、一瞬でそこは戦場になった。

「俺に続け!

ガクール!ダイムラー!」

レイクリフが部下の名を呼んで、軍馬を国境に向ける。





「王弟殿下を守れ!

第2、第4、第5はワーグナー将軍の指示の元、敵軍に向かえ!」

聞こえるのは第1部隊長アッシェンブルグの声。

同じ国軍同志が入り乱れての戦闘が始まっていた、第1部隊の加勢がきたことで、状況が急転する。

100名を超える第3部隊は鎮圧された、ほとんどの者が息をしていない。


「アッシェンブルグ、生き残りの反逆者を見張る数名を残して、進むぞ!

戦闘が始まっている!

私に続け!!」

ジルベールが軍馬に飛び乗ると前線に向かって駆けだした、横をイースの軍馬が伴走する。

既に二人とも、頭から血を被ったような状態で、美しい顔が鬼気迫る様相は、戦鬼や鬼神を思わさせた。


ケガを負った兵士達を医療部隊に向かわせたアッシェンブルグは、近くの兵士達に大ケガをしているが、生き残った第3部隊兵士達を見張るよう指示し、他の兵士を引き連れ、ジルベールの後を追った。

北方部隊将軍の天幕は大破され、何十もの死体と、おびただしい血が流れ、身体の部分や武具が散らばる惨状となっていた。




「止まれ!

銃の射程距離にはいる、こちらに引き付けるのだ。」

レイクリフの大声に、前線部隊が下がり、銃部隊が敵部隊の突入を待つ。

ウォール王国軍も同じ銃なら射程距離も同じ。こちらが突入すると見せかけて、相手を引き込み銃で撃つ。

「撃て!!」

銃部隊指揮官の声と同時に銃声が響く。

ドーン!!大砲が発射され、相手国兵士が吹き飛ぶ。

「今だ!進め!!」

兵士達の走る足で地響きが起こる。



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