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強すぎる超能力者たちの非常識な日常  作者: 娘を持つ大人
4/4

4 自意識過剰だった

ショートカット可愛い


「あっはっは!騙される方が悪いのよ!そのチンケな脳みそのおかげで私の役に立てたことこそが幸福でしょ?それ以上望むのは罪だわ〜?ははっ、弱いやつは使われるだけ使われて捨てられる。この世界の常識がま〜だ理解出来ていないなんて、頭の中はお花畑か三途の川なのかしらぁ?」


 ここは現代世界。

 今は黒ドレスを着た美しい女性がその顔を悪く歪め、地べたに大の字で拘束されている男の眉間にハイヒールをコツコツと当てているところ。

 簡単に言えば、胡散臭い儲け話につられ、バカな計画のバカな構成員としてバカ正直に働いてしまったわけだ。騙されたってことだ。


 美しい顔を醜悪に変えて恍惚とするその女はたった今、全能感を感じていることだろう。自分こそが何者よりも上に立つ人間だと信じて疑っていない。

 きっと彼女は今の自分なら『三人の化け物』であっても仕留められる。そんな夢を語るだろう。


 まぁ、所詮そんなものは夢でしかないのだが・・・・・・


「弱いやつは使われるだけ使われて捨てられる、か。自分が歯車の一部ではないとでも思い上がっているのか?」


 そんな夢の中の登場人物。彼女が仕留められると語る化物の一人。オリジン。情報王、絶対王、絶望王。彼を呼ぶ名は腐るほどあるが、皆共通して言うのは「見境がない、容赦がない、躊躇いがない」ことだ。それが女子供であっても、正義の味方であっても、オリジンの邪魔者は排除される。例外なく。残念ながらそれが、この世界のルールと言ってもおかしくはない。

 この世界では、強き者こそが中心なのだから。


――パンッ!


 乾いた銃声が響き、能力を発動させるまもなく女は散った。その女がどのような能力者なのかは関係ない。オリジンにとっては、必要のない情報だ。

 基本、世界は彼の思い描くシナリオ通りに動いていく。イレギュラーは発生の都度彼が消しているので、当然といえば当然なのだが。


 しかし、何事にも例外がある。


 時折、オリジンの考えを外れた存在が現れるのだ。あまりにも定められた普通とかけ離れた存在。リセットやキングとは別の意味で厄介な頭のおかしな人間だ。

 たとえば――


「そこまでだ!追い詰めたぞ、マーガレット!!貴様の悪行もここまでだ。大人しく投降しろ!」


 こんな感じで、オリジンを別の人間と勘違いする正義気取りのボンボンとか。


(・・・私もなかなか有名になってきたと思っていたのだがな。自意識過剰だったか?)


 少しだけショックを受けた。

 さて、ではどうするか。いつまでも無口のままではいられないだろう。いつもならばリセットやキングが何もせずとも話を進めてくれるのだが、こんな日に限ってヤツらはいない。


「黙っていても何もわからないぞ!はやく投降するんだ!」


 投降って、どうやるの?

 オリジンが勝負に負ける方法としては、降参の一択しかないのだが、彼は最強の一人として、今まで殺してきたもののためにも降参はできない。

 実質詰みだ。


 さて、どうすればこの頭の悪いお子様を回避出来るだろうか。自称三人の中では一番マトモなオリジンは解決策を考える。しかし、その考えている時の表情は能面そのものなので、普通に威圧的だったりする。


「どうしたマーガレット!怖気付いたか!」


 いや、足を震わせて言うセリフではない。


 平穏育ちのボンボンに求めるのも酷な話か。早々に諦めをつけ、オリジンは迎撃することを決めた。

 愛銃を構え、引き金に手をかける。駆け出し能力者如きがオリジンの速さについていけるわけもなく、乾いた音が鳴る。・・・はずだった。


「はーいストップだマーガレット」


 突然オリジンの懐に現れたスーツの女がオリジンの腹を蹴飛ばした。頑丈すぎるオリジンの体は吹き飛んでいき、建物の壁を幾つも突き破っていく。

 スーツを着た女はボンボンが無事であることを確認すると、安堵のため息を漏らした。


「勝手に動くな光輝。敵相手に一対一で戦ってやる必要はない。他の奴らを待て」

「せ、先生・・・」


 安心したのか、足の震えが止まったボンボン。

 心強い味方がいることで、心に余裕がもてたのだろう。


 しかし、状況は最悪である。彼女が蹴り飛ばしたのは、マーガレットではなく、オリジン。最強の一人だ。

 オリジンは吹き飛んだ先、瓦礫の下からムクリと何事も無かったように立ち上がった。だが、その目は先程よりも深く、冷たい。


 キレてる?いや、ブチギレてる。


「・・・・・・スーツが汚れた・・・!!!」


 誰にも聞こえない小さな声だったが、その音は建物全体を揺らすほど怒りに満ち満ちていた。

 常識から離れた化物ほど、その沸点は謎だ。


「・・・光輝、来るぞ」

「はい」


 遅い。

 その会話が無駄だ。


 ほら、そんな事してるから

「は・・・!?」

 足を二つも失ってしまったではないか。


 足を失い、バランスを崩した女教師が前に倒れると、慌ててボンボンがそれを支える。


「私は、マーガレットではない」


 名前を間違えられていることも多少根に持っている。

 凄まじいオーラを纏った化物が一歩、また一歩と近寄ってくる。その形相は絶望の化身に相応しいものだった。


 スナイパーライフルを構える。

 全てを知る男はどのタイミングでどの角度で撃てば当たるかを知っている。照準を合わせる必要なんてない。適当に振って撃つべき時に引き金を引くだけ。


「死ね」

「いや、死なさん」


 銃声が鳴った一瞬あと、一人の男が女とボンボンを守るように立った。

 オリジンの強化された弾丸を手の甲で弾いてみせた。


 こんなことが出来るのは一人しかいない。


「邪魔をするな、リセット」


 海パンの男。

 最強の肉体を持つ化け物の一人。リセット。


「邪魔はする。こいつらは今失うわけにはいかねェんでわ」

「は?私と敵対する気か?」

「そうは言ってねェよ。おまえがここで退けばそれで終わる」

「おわらないから私は引き金を引いた」

「どーせまたくだらねェことでキレてんだろ?」

「くだらなくなどない。私のこのスーツはあの子達が作ってくれたものだ。人間如きが触れていいものでは無い」

「こいつとその子たちが関係してんだよ。だから退け」


 唯一、三人の化物が保護している子供たち。

 その子供たちに彼らが関わっていることなど誰も知らないだろう。そして、三人の化物がその子共たちをどれだけ可愛がっているか、知るものもいない。

 the親バカな彼らは子どもたちから貰ったものはどこまでも大切に使う。このスーツも同様だ。


「・・・・・・そういうことか」


 調べた。

 オリジンはその背後について知った。


 だが、女を許すことはできない。


「なら男は帰れ。女は私が殺す」

「ダメだ」

「なぜだ。所詮教師。いくらでも替えがきくだろう?」


 人とは替えがきくから多く存在しているのではないのか?

 頭のネジを外して売却しているのでは?と、思ってしまうほどに狂った考え方だ。


「感情の問題だッつうの。お前の知りえない領域だ」

「・・・あの子らにとって大切なんだな?」

「あァ。俺達みてェな化物にしたくねェなら尚更な」


 銃を消した。

 オリジンは侮蔑を込めた視線を叩きつけ、背を向けた。やり場のない怒り。それを発散するべく、彼は異空間へと向かっていった。


 嵐は去った。

 と言っても、バカな男が嵐の中に裸で飛び込んでいっただけで、嵐自体は悪くないのだが。


「良かったな」

「・・・リト、君は一体なにものなんだ?」


 危機が去ったため、糸が切れた用に眠ってしまった女教師を抱き抱えるボンボンがリセットに向けてそう問うた。

 なにもかもこのボンボンのせいなのだが・・・主人公のようなこの男はそれを自覚しない、認めないだろう。


「俺はリセット。最強の一人だ」

「は?」

「んで、お前がマーガレットだと勘違いして襲ったアイツはオリジン。俺よりも厄介な化物だ」

「・・・・・・マーガレットじゃないのか・・・」

「てか、おめェ俺のこともオリジンのことも知らねェのな。常識が足りてねェよ」


 なに?死ぬの?てか、下手したら死ぬよ?

 無知とは時に人を殺す。というか、化物を怒らせるのだ。


「今日のがキングじャァなくてよかったなァ。オリジンよりも沸点が低きィからお前今頃串刺しだぜェ?」


 血の気が引いた。

 まさか指名手配犯を追いかけていると勘違いして化物を相手にしていたとは。


 ん?待てよ、それならば・・・


「リト、それではマーガレットはどこに?」


 小さな足跡も見逃さずに追いかけてきた。確実に追い詰めたのだ。ここにいないのはおかしい。オリジンがマーガレットを語っていた訳では無いのか?


「いやあそこに転がってんだろ。あの女だよ」


 黒のドレスを着たハイヒールの美しい女。眉間を貫かれ、無様に転がっている。


「え?あれは被害女性では・・・?」

「なわけねェだろ。頭沸いてんのか」

「一体誰が・・・」

「オリジンに決まってンだろ。お前の頭ン中はカニ味噌か」


 バカすぎる。

 バカすぎるぞヒーロー。


 もう少しよく周りを見ようぜ、ヒーロー。もう少し周りを見ることを覚えれば、今ぐったりしてる女教師も救えるんじゃなかろうか?


「そ、そうだ!先生を早く病院に・・・って、あれ?足が戻ってる・・・」

「貸ひとつ、だそうだ」

「え?」

「オリジンの力だ。俺に他人を回復する術はねェからな。間違いねェ」

「いい人・・・なのか?」

「敵対しなければ、な。金輪際無謀な挑戦はやめろよ」


 無謀というか・・・自殺行為。


「はァ・・・ッたく。なぜこんなことになるかねェ・・・俺は単に授業参観に来ただけのはずなのに・・・」

「授業参観?リトは生徒じゃないのか?」

「ぶちのめすぞガキ。こんな化物が学生なわけねェだろ、マジで頭沸いてのか」

「す、すみません・・・じ、じゃぁ誰の保護者なんだ?・・・ですか?」

「百合と花音だ。俺ら三人の娘みてェなもンだな。最近気になる男ができたとか何とかとな言ってたからな。クソ野郎だったらこの世から消してやろうと思ってな」


 可愛い可愛い百合と花音。

 三人のお父さんは彼女たちに近寄る虫でも現れたら問答無用で殺し尽くすだろう。


「百合と花音!?ま、まさかそんな身近な人の保護者だったとは・・・」


 そして残念なことに、このボンボンこそがその気になる男なのだが・・・リセットはそれを知らない。命拾いしたね、ヒーロー!

 けど、知られたら黙ってないだろうね!


「ンじゃ、俺は帰ッから後始末よろしく」


 愛すべき娘に会うために、リセットはその場から消えた。


 残されたボンボンは女教師を抱え、救助を待ち続けた。


頭の中が三途の川ってどういう意味ですかね

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