4.いたくしないで
町の人たちは、お菓子の家をこわがるあまり、おそろしいまほうつかいにそうだんしました。
「あの家のあくまを、たおしてくれ!」
「ああ、まかせてくれ」
まほうつかいは、片手につえ、片手にナイフを持って、お菓子の家まで歩いていきます。
女の子は、めざめてもまだ、かなしみにくれていました。
どうして、みんなわたしのそばにいてくれないの?
どうして、みんなとおくにいってしまうの?
やがて、まほうつかいはお菓子の家のドアを開きました。女の子は、すぐにその人が、きけんな人だと感じました。
まほうつかいは、女の子を好きになりませんでした。
「お前があくまだな。しかたないが、しんでもらうぞ」
まほうつかいが呪文をとなえると、ナイフから赤いひかりがかがやきはじめました。
まほうつかいが近づいてきます。
こわいよ。
こわいよ。
まほうつかいが近づいてきます。
やめて。
わたしに、いたくしないで。
まほうつかいが近づいてきます。
いやだ。
いやだ。
まほうつかいがナイフをふり上げました。
いやだ。
いやだ。
いやだ。
いやだ。
まほうつかいが、ナイフをふりおろします。
いやだ!
わたしにちかづかないで!
女の子が、叫びました。
「ちかづかないで!!」