表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/6

1.むかしむかし

 むかしむかし、あるところに、お菓子でできた家がありました。


 町の人たちは、みんなそれを不思議に思いましたが、しかし中に入ってみようとは思いませんでした。


 その家には、小さな、さみしがりやの女の子が住んでいました。


 女の子はたくさんのお菓子はにかこまれてすごし、毎日わたがしのベッドで眠りました。 そんな毎日をすごしているものですから、女の子からは、いつも甘いにおいがただよっていました。


 女の子には夢がありました。


 いつか、このいえのそとのひとにあいたいな。

 不思議なちからのせいで、女の子は家から出ることができなかったのです。


 だから、女の子はいつも、家に入ってきてくれる人を待っていました。


 ある日、ある男の子が、そのお菓子の家のドアを開きました。

 外の人に会えて、女の子はよろこびました。そして男の子の方は、一目見てその女の子を好きになりました。


 二人はいっしょにくらすことになりました。とても幸せにくらしていました。


 家の中にあるたくさんのお菓子は、甘いだけではなく、とても元気になるものでした。ですから、二人はお菓子だけ食べていても、まったくびょうきになることはありませんでした。


 しかし、ある日、男の子はたおれてしまいました。


「どうしたの?」女の子は言いました。

「からだにちからが入らないんだ」男の子は答えました。


 女の子はたくさんのお菓子を持ってきて、男の子に食べさせました。でも、男の子はいっこうに良くなりません。


 男の子は、

「ありがとう、君に会えて幸せだった」と言うと、眠ってしまいました。もう二度と、目をさますことはありませんでした。


 女の子はかなしみました。

 どうして。さみしいよ。やっとあえたのに。


 男の子のからだのまわりに、お花のかわりにたくさんのお菓子をおいてあげました。


 その日、女の子はずうっと泣いていました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ