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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

不平等だよな

作者: 花屋

ひっそりと、どこかの企画に参加(*`ω´)

テーマは《テラー》。恐怖という解釈で書いてみました。

語り手が不平等を吐露する話。

 八月某日

 都内中層住宅地

 夜



 不平等だよな

 同級生はヘリで通学していたのに

 我が家には背伸びして購入した高級車が一台


 不平等だよな

 手塩にかけて育てた娘も

 頂点には至らず精々上の中どまり


 不平等だよな

 《世界で一番幸せにする》なんて告白

 デンマーク国旗(タンブネロ)の前では少しも用を成さない


 不平等だよな

 我が家は十七階

 お前の同僚の家族は二十階



 一服



 溜め息



 ーー不平等だよな

 お前は数十年続く執拗な陣痛を知らない

 私は全身が粉々に砕け散りそうな激痛を分娩台で捻り出した


 お前には私を窒息死させる握力と体重がある

 私はお前を精神的苦痛で屈服させ発狂させ舌を噛み切らせる術しか知らない


 お前は光彩目を奪う外食ばかり胃に流し込む

 私は栄養価の揃う自炊料理ばかり三角コーナーに流し込む


 お前には妻と娘と愛人が一人

 私には夫と娘だけ



 ーーなあ

 不平等だよな


 言わせんなよ

 証拠は上がってんだよ

 誰だよこの女


 なあ



 煮えるような熱帯夜の、闇鍋の底のような暗いリビング。

 一人の風采の上がらない男が、妻と写真とアロマキャンドルと離婚届の前で土下座をし、

 血だらけの顔で、謝罪の言葉を絶叫していた。





自己満足(*`ω´)

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