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地底の主との面会

今回のお話を読む前に...

前回。新月少年が目覚めた建物は地霊殿ではないと解釈しておいてください。

じゃないと...今回のお話なんかおかしくなっちゃいますので...!

前回のお話は後で修正してわかりやすくしたいと思うのでどうかご了承を...

それでは長々とお待たせして申し訳ありませんでした!

それではどうぞ!



俺は今、アルマさんに連れられる形である人に会いに行くところだ。いや、人ではなく妖怪だ。

この地底の主であり今向かっている地霊殿という建物の主である覚妖怪に何故か呼ばれてしまった。理由はよくわからない。アルマさんにも聞いてみたがこの人もよくわからないそうだ。


「あの人は気分屋だからさ。何考えてるかわからない」

「そ、そうなんですか...」

「俺とパルスィ以外にはな...」


アルマさんとパルスィさん以外にはわからない? それってどうゆう意味だ。会えばわかるのだろうか。

先ほどの橋から旧都と呼ばれる地上でいう人里とみたいな場所を抜け、歩くこと数分。旧都で見かけた建物とは違い少し洋風な感じが加わった大きな建物が見えてきた。

どうやらあれが地霊殿という建物のようだ。玄関の前に行くと誰かが扉を開けて出てきた。


「あれ? 兄貴おかえり」

「ああ、ただいま。さとり様いるか?」

「いるけど...どうかしたの?」


地霊殿の中から現れたのは上向きと下向きの矢印が描かれた少し短めのスカート。背中には逆向きに結ばれたリボン。前髪は赤く染まり、ところどころが白く染められた黒髪のショートカット。そして、アルマさんと同じくツノが生えた少女。

アルマさんを兄貴と呼ぶあたり、妹なのかな? なんとなく雰囲気似てるし。


「なぁ兄貴。そっちの間抜け顏誰?」

「ま、間抜け顏...」

「ああ、こいつは新月黄泉。最近、紫に連れてこられた外来人だ。新月少年こいつは義妹の...」

「鬼人正邪だ! 覚えとけ人間!」

「え...あ、はい...」


堂々と名乗ってきたけどなんかバカにされたことでもうどうでも良くなった...。

というかやっぱり妹だったんだ。なんか性格似てないなぁ...。


「悪いなこいつは天邪鬼なんだ。素直に相手に気持ちを伝えられないんだ」

「そ、そうなんですか...」

「そうゆうことだ。じゃあ兄貴。あたしはイラとリティア達と遊んでくるよ」

「ああ、よろしくな」


そう言われて俺たちが来た道を元気に走っていく後ろ姿はどこか嬉しそう。もしかして、ブラコン...?

あ、そういえば。


「アルマさんって悪魔と人間のハーフですよね?」

「ん? そうだぞ」

「でも、妹さんは天邪鬼ですよね?」

「ちょっとややこしい関係でな。正邪と俺は血の繋がりはない。だが、俺の中にはちょっとだけ天邪鬼の血が流れてるんだ。それでなんの偶然かその血が色濃く出てさ。結果、正邪が妹になったわけだ」


なんか軽く端折られた気もするけど。つまり義理の妹ってことか。いいなぁ...美人の奥さん。可愛い双子の子供。そして、ツンデレでブラコンの義妹。なんて羨ましい人なんだ...!!


「なんかまた嫉妬してるようだが...ほら行くぞ」


色々とモヤモヤしながら地霊殿の廊下をアルマさんについて歩いていると少し豪華というか歩いている時に見かけた扉とは雰囲気が違う扉の前でアルマさんは歩みを止めた。

どうやら目的の部屋の前に着いてしまったようだ。微妙に心の準備ができてないです。ああ...どうしよう...会った瞬間に襲われないだろうか...!


「さとり様。連れてきましたよ」


アルマさんがドアをノックして中にいる主に声をかけるが返事がない。だが、まるで返事が返ってきたかのようにドアを開けて入るように促された。


「し、失礼します...!!」


中に入ると椅子の上にぱっと見、幼い少女が座っていた。ピンクに近い紫色の髪でショートカット。体の周りには触手がついた目玉が浮いていた。いや、何あれ...なんか怖い...

ジッと俺のことを見つめてる気がする。それと椅子の上の少女も見つめ...いや睨んでる。絶対睨んでる。紫色の目で俺を覗き込むように睨んでる...!


「さとり様...あまり心を覗かないであげてください」


あ、やっぱり心を覗けるんだ。


「いや...癖とかじゃなくて...」


......アルマさん誰と喋ってるんだろう。一人で喋ってるけど...目線的に目の前の覚妖怪を向いてるが...まさか...心で通じ合ってる!?


「お前...今変なこと考えただろ」

「え! なんでわかるんですか!?」

「さとり様が教えてくれた...」

「やっぱり心で通じ合ってるじゃないですか!!」

「はぁぁ...さとり様...めんどくさいから口で喋って...頼むから...!!」


ため息を吐き、やれやれと言わんばかりに両手を広げて首を横に振った。感情を読めない俺でもわかる。今、アルマさんは絶対に怒ってる。横目でチラッと顔を覗いてみたけど血管が浮いてた。おお...怖い怖い...


「さて、お初にお目にかかります人間。私は古明地さとり。この地霊殿の主です」

「お、俺は新月黄泉です」


古明地さんの紫色の瞳は見ているだけで吸い込まれそうになる。なんというか...怖い。


「はぁ...人間。私が怖いですか?」

「え? は、はい...怖いと言えば怖いです...」

「......正直ですね。少しは誤魔化そうと思わないのですか?」


あ、あれ? アルマさんに正直に言えって言われたから正直に言ったのに...逆効果? アルマさん! 話と違うよ!!

アルマさんを睨もうとチラッと目線を動かす。だが、様子を見る限りアルマさんも想定外であった様だ。いや、悪い意味で想定内だったのか? すっごい呆れてる。


「自分から聞いといて何を言ってんですか...」

「だって...こんなに可愛い子を怖いと言ってるんですよ!!」

「自分がそんな雰囲気を出すのが悪いんでしょうが!!」


な、なんか喧嘩してる。でも意外だな。アルマさんがここまで声を荒げるとは。凄い温厚で気分屋なイメージが強かったけど、どうも違いそうだ。

もしかして、意外にやればできる人だったりする?


「大体ですね...私のような可愛げがあり、気品さも併せ持つ少女を怖いというのはどうかと思います!」

「知ったこっちゃねぇよ!!」

「ひどい! 女の子には優しく接するべきじゃないですか! 人間あなたもそう思うでしょう!?」


俺に振るの!? 一番答えにくいことを振らないで欲しかったよ!!

いやまあ...確かに古明地さんは可愛いと思うけど。優しく接するかどうかは結局その人の第一印象で決まっちゃうんだよなぁ...。

と、考えているというか思っているとプルプルと古明地さんの手が震えていた。


「結局あなたも外見で判断するんですね!! 私は見損ないましたよ!」

「え? え? え!?」


なんでそうゆう解釈になるの!? というかまた心覗かれたし! こっち何を思っても筒抜けとか嫌なんだけど!

古明地さんはギャーギャー何かを物申し、俺は色々と頭を抱え込んでいるとアルマさんが脅しをかけるような低い声で言った。


「さとり様。いい加減にしないと子供達と遊ばせませんよ」


アルマさんのその言葉に駄々っ子のように暴れていたさとりさんは動きをピタリと止めた。


「わかりました。やめます」


こうもあっさりと止めるものなの!? どんだけ子供と遊べなくなるのが嫌なんだ。


「イラとリティアと遊べないなんて生きてる意味がない!!」

「断言しちゃったよ!!」

「気にするな新月。この人はこうゆう人だから」

「な、なんか....思ってた人と違う...」

「うるさい人間ですね。トラウマ埋め付けますよ?」


何この人!? なんか俺にだけあたり強くないか!? 人間嫌いなのはアルマさんから聞いたけどここまで酷いの!?


「全く...心の中までうるさい人間...」

「か、勝手に心を覗くのはどうかと思いますよ!」

「やめとけ新月少年。この人に何言っても無駄だ」

「《けど、誰にだってプライバシーというものがある》ですか」

「だから勝手に見ないでくださいよ!!」


もうなんなんだこの人は!

覚妖怪っていうのはこんなにも失礼な妖怪なのか!? 心を読むのが癖かどうかは知らないがそれでもマナーと言うものがあるだろう!


「本来ならあなた達のような汚れた心を持つ生き物は覗きたくなんてないですよ」

「勝手に覗いておいて散々な言い分だな!?」

「通過儀礼と言うものですよ。こうでもしないと腹を割ってお話しできないですし」

「だからと言って覗いていいわけでは無いからな!」


息切れを起こすほど叫んだ俺は膝に手を置き大きく呼吸をした。その時にアルマさんが俺の背中をさすってくれた。とてつもない優しさを感じたよ。あの幼子と違ってね...!!

その間、アルマさんは古明地さんと何かを話していたがよく分からなかった。だって心で会話してんだもん。見つめ合ってたからなんとなくそうだろうなぁ...と思った。

会話が終わったのかな。アルマさんが顔に手を当てて疲れたような顔をした。


「はぁぁ...新月。お前もう帰っていいぞ...」

「え...どうゆう意味ですか?」

「こうゆう意味ですよ......!」


古明地さんの声は俺の心の奥に突き刺さるほどの殺気と怒気を含んでいた。

その理由はよく分からないが俺は恐る恐る彼女の方に視線を移した。そこで目に映ったのは第三の目が黒く染まって黒い炎が噴き出し、古明地さんの目も黒く染まっていた。

な、なにあれ!?


「お前...さとり様怒らせただろ...!」

「い、いやいや!? 俺なにもしてないじゃないですか!!」

「何もしてなくとも何かあの人の怒りに触ること思ったんじゃねえか...?」


古明地さんの怒りに触れるようなこと...いやそんなこと言ってない......あっ...!


ーーーその時にアルマさんが俺の背中をさすってくれた。とてつもない優しさを感じたよ。あの幼子と違ってね...!!ーーー








《あの幼子と違ってね...!!》







あ、やらかした。


「アルマさん。幼子とつい心が滑っちゃいました」

「うん。お前死んだな」

「そんなあっさりと現実を突きつけないでくださいよ!!!」

「自業自得」

「そんなぁぁぁぁぁ!!」


河城......俺もうお前に会えないかも...!


次回「新月少年死す」


お楽しみに!

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