STEP8 作戦開始
久々なので話の整合性が合ってないかも。変なとこあったら教えてくださいね。
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「将軍閣下にご報告いたします!」
伝令兵は敬礼しながら告げる。
「王女、及びエミリアの一味は生存域にて消息を絶ちました!」
「何? 捜索班はどうしているっ!?」
「それは……」
「いや、いい。それより国境の警備を強化しろ」
国の主街区は高台にある。
なぜなら、低地には有毒ガスが充満しており全てが不能域に指定されているからだ。
生存域から戻るには必然的に国境の関門を通らざるを得なくなる。
つまり国境警備を強化することは妥当である。
――普通なら。
「ハッ!」
伝令が退出すると、将軍は軍用の秘密回線を開く。
『お呼びでしょうか?』
「例の件はどうなってる?」
『万事順調であります!』
「うむ、そうか」
将軍はほくそ笑んだ。
あと少しで長年の野望が達成される。
全宇宙を支配するという夢を!
彼はステレオタイプな悪党だった。
しかも知恵が圧倒的に足りていなかった。
故に“腕力で言うことを聞かす”しか方法が思いついていなかった。
要するにそういったことをするのである。
「よし、あと少しだ……」
☆☆☆
「――残念ながら遅すぎなんだよなぁ……」
エミリアは王宮中に仕掛けてきた盗聴器で将軍達の会話を盗み聞く。
崖を登った後、幸運にも落ちていた端末を発見でき母船へと帰還することに成功していたのだ。
「どちらにせよ関係ないけどねぇ……」
「相変わらず、性格が悪い、ですね」
ネロは生存域の有毒ガスで喉が傷付いていたのど飴を舐めていた。
「いやーそれほどでも」
「褒めてない」
「――あの……着替え、終わりました」
あの服のままでは恥ずかしいということでサラは着替えを行っていた。彼女が選択したのはエミリアが“箱入り娘のお嬢様”に変装するときに使うロングのワンピースであった。
胸回りは残念な事になっていたが、それ以外はよく似合っていて、本物のお嬢様――正体はお姫様だが――に見えた。
「ん、じゃ作戦会議を始めようか」
エミリアは二人に座るよう促し、自身はテーブルに付属した端末を起動させる。
「まず――将軍の計画を挫く方、ネロくんはメイドとして王宮に潜入してもらおうかな」
「何でメイドなんだよ……」
「ボクが見た――じゃなくて、王宮の中を自由に動き回れるからさ。それに軍の連中は女に餓えてるはずだ、上手くやれば――」
「わかった、やってやるよ」
「ん、よろしい。で、ボクはサラ姫として王宮に戻る。こうすればキミの貞操は守れるしこっちも色々やりやすくなるしな」
「でしたら……私はどこに行けばよろしいのでしょう?」
「――もう一度国へ入る。その時に宿を取って拠点にするから、そこで仕事のお手伝いをして欲しいんだ」
と言ってエミリアは新しい携帯端末を取り出す。
「キミのハッキング能力を最大限に活かして欲しいんだ」
「えっ……それは…………その」
「軍の動向から連中の計画が分かるかもしれない、上手くやれば愛するお兄様の行方も分かるかもしれない。生きてるなら消息を掴めるかも知れないだろ?」
「うっ……」
サラは躊躇った。幼い頃、軽い気持ちで行ったクラッキングを今は亡き母に叱られた時のことが頭に過る。
言われていることは十二分に理解できているがそれ以上に恐怖心が勝るのだ。
「でも――」
「迷ってるならこう考えてみればいい」
ネロが口を挟む。
「今から行うことが最善かどうか、ってな」
「……それは――」
「良い結果をもたらす行為ならそれは最善、俺はそう思うけどな」
「…………」
彼女はしばし考えを巡らせる。
自分にとっての良い結果――それは王家の存続と将軍の排除。その為に必要なのは手段を選ばず情報を仕入れて受け渡すこと。
「……お母様…………私を、お許しください」
「決まりだな」
躊躇いながら、エミリアが差し出した端末を受け取るサラ。
「必要な機械は揃ってるから欲しいのは持っていってな。んでもって、サラちゃんにはもう1つやってほしいことがあるんだ」
「な、なんでしょうか?」
「一般人になりすます訓練さ。なに、小一時間あれば終わるから大したことないさ」
「…………必要でしょうか?」
「もちのろんだよ。浮世離れした感覚のオヒメサマがボロ出しまくってバレるってのはテンプレだからな」
「うっ……分かりました」
「(――その間にこっちの作戦も練っておこう)」
「(わかりました)」
サラを資料室に連れていく際、ネロに耳打ちをしておく。
「――作戦開始、だな」
エミリアは久々の高難易度ミッションに胸を高鳴らせていた。