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Phantom thieves  作者: 鮫田鎮元斎
第七章 運命の導き
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STEP57 最後のピース

元に戻りました

 弾丸は、サラの頭を貫いた。

 その瞬間、襲撃者はどこからか取り出した救命器具を装着させ、彼女の命をつなぐ。


「それと――そこの男、余計なことをするのなら命を対価になさい」

「おーこわ」


 コードマスターは両手をあげて降参の意を示す。


「この場に偶然居合わせてしまった幸運な皆さま。あなた方の身柄は連盟政府が責任をもって預かるのでご安心を!」


 襲撃者が合図をすると、武装した軍団が侵入してきて生き残っていた者達を連行していった。


「余計なことを――!?」


 デビーが手袋を外した瞬間、首を掴まれたのを感じた。


「うっ……!」

「じっとしていなさい――さもなくば、しばらく死んでもらいますよ?」


 彼女は全身から可能な限り放電をしたが、そもそも効かないのか形勢が変わることはない。


「議長殿の、差し金ですか……っ!」

「――お兄様の考えに懐疑的なのですね。もともと裏家業をやっているようだし、改造してもらおうかしら?」


 どうしてそれがばれている!?

 顔も、声も、何も出さずに遂行してきたというのに。


「特別捜査官に、法は適用されないはずです……!」

「知らない、そんなこと……じゃ、おやすみ――」


 首を掴む手に力が籠められ――


 サクッ!


「――ったぁぃっ!!」

「へへっ! あんたも運が悪いね」


 襲撃者の腕には真新しいトランプが突き刺さっていた。そして拘束から抜け出したデビーはけん制に電撃を放ち、距離を取る。


「俺様が適当に投げたトランプが、偶然、腕に刺さっちまうんだからな」

「くっ……この――」

「さ、逃げようぜ。お姉さん」


 深追いをする気が無いのか、襲撃者は刺さったトランプを引き抜いた。

 目的は、ちょっとした違反を行った捜査官の制裁ではないのだから。


「思っていたより、根性あるじゃない……サラ」


 連盟政府が唯一入手できていない秘宝、ブラディオニキスの回収。そして、センターオブユニバースの入手。すべては兄の為。

 そのためには、かつての仲間にも手をかける。

 今のエミリアには、そうするように命令されていたのだ。



















☆☆☆


「――まさか、正体不明のボスが、あんたみたいな美人さんだったとはな」

「そちらこそ、連盟のシステムに侵入したハッカーが、ギャンブル狂いのナルシストだったとは思いませんでした」

「けっ!」


 表だって行動しないため、互いを知っていても実際に会ったことは無かった。


「それで、見つかったのですか? 脱出船は」

「あるにはある、が……果たして、乗せてくれるか――っと、こうしてる場合じゃねぇ! 急ぐぞ!」

「私に命令しないでください」


 二人は隠れ場所から飛び出し、甲板へ向かう。

 人っ子一人いない、恐らく大多数の人は政府管轄の船に収容されているのだろう。

 甲板に続く廊下には、赤黒い血の跡がある。そして、身だけの日傘と柄に錐の付いた物が落ちている。


「ひと悶着あったみたいだな……」

「最強の暗殺者も、人だった、ということですか」

「知り合いか?」

「ええ、まあ……」


 デビーはそれを拾い上げ、お守り代わりに持っていくことにした。


 血の跡を追っていく、甲板につれて、新しさが増してきている。

 そして、扉を開くと、そこにはホバリングしているシャトル。それに搭乗している人物も見える。



「っ走れ!」


 今にも格納されそうな梯子に飛びつき――































☆☆☆


【バイタルサイン、安定してきました。ですが意識の戻る気配はありません】

「そうか……」


 報告を聞いて、ネロは安堵した。

 少しずつ力の抜けていく体を抱えていて、不安に駆られていたのだ。

 サラを見捨ててきてしまっていたが、M.I.C.の言う通り、何の連絡もせずに消息を絶つような性格でないのだ、悪いが少し待ってもらうほかない。


【! マスター、侵入者です】

「……っこんな時に――」

【? いえ、誤作動だったようです。反応が消失したので】

「んなわけあるか……上手く隠れたんだろ」


 可能性があるとすれば、シャトルに乗った時だ。

 あの時、気が動転していて何かの侵入を許してしまっていたかもしれないのだ。

 警戒心を高めていると、医務室のドアが開いた。



「よぉ――ちょっとわりぃが、相乗りさせてくれないか?」


 怪しい笑みで、男は不思議な提案をしてきた。












「俺様はアストラ――コードマスターって言った方が有名だな。こいつは――」

「指でささないでください……私はデビー・ドロシー。連盟政府の特別捜査官です、今のところは」

「で、その二人が何の用だ?」


 エミリア専用のソファに座ったコードマスターは、外を示していった。


「連盟の連中に追っかけられててよ、一緒に逃げちゃくれねぇか?」

「シャトルは貸すから勝手に逃げてくれ」

「そうもいきません、アスール周辺から出航する船には現在、検問が張られているようです。一蓮托生、というやつです」


 さすがは連盟の特別捜査官。情報を得るのが早い。


【彼女の言う通り、検問が展開されていますね】

 

 ネロはそれを聞き、思い切り舌打ちをした。


「言っておくが、まだ仲間が船に――」

「捕まったぜ、そいつ」

「……は?」

「連盟政府の刺客に襲われ、恐らく連行されています」

「…………道理で連絡が取れないわけだ」


 今、自由の身なのはネロのみ。

 この状況で、いったいどう動けばいいのか。

 その中で、さらに最悪な情報を告げられる。










「そして、クルーズ船を襲った犯人は――連盟政府指定犯罪者のエミリア」


 時が、止まったように感じた。

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