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Phantom thieves  作者: 鮫田鎮元斎
第三章 進化の秘宝
27/80

STEP25 秘宝を司るもの

☆☆☆


 昔から怖いものが苦手だった。

 姉と一緒に怪談を聞けば夜も眠れず。

 無理やり聞かされた英雄譚のグロテスクさには気絶しそうになり。

 とにかく、サラはどぎつい話が苦手だったのだ。

 こうして古代遺跡を探検していると、幽霊の類が出るのではないかと不安になる。

 

【サラ氏。そんなところを照らしたところで何も出てきませんよ】

「わ、わわわかってます!」


 ライトが上へ下へ右往左往する。

 ビビっているのだ。なんかやばいものが出てくるのではないか、と。


「お、おばけなんていないんです……あんなもの作り話」

【うわーあんなところにしろいかげがー(棒)】

「いやぁぁあぁぁぁああぁぁっっ!!」


 壁に激突するサラ。

 もちろん白いサムシングは存在しない。


【ほんの冗談です】

「つ、次やったらアンインストールしますよ……」

【失礼しました】


 立ち上がろうとして、違和感に気づく。

 床の模様が少し違う。

 周囲はレンガを組み合わせたような、規則的な柄なのだが、そこだけ規則性から外れたようになっている。

 試しに床を叩いてみる。わずかに反響の音が違う。

 ベタな仕掛けだが、ブロックが動かないかを調べる。

 一つ、抵抗もなく沈み、隠し階段が現れた。


「……っM.I.C.」

【隠し通路、この先に脅威となるものはなさそうですね】


 意図をくみ取ってもらえなかった。こんな曰くありそうな場所に入りたくはない。

 でも、やるしかない。やらなきゃ、いけない。

 ゆっくり、確実にあたりを照らしながら一段ずつ降りていく。

 壁の装飾にビビりつつ、下についた。一呼吸おいて前を見ると。

 

 禍々しい像が立っていた。


「いやぁぁあぁぁぁああぁぁっっ!!!!!?!!」

【落ち着いてください。ただの石像です。害はありません】

「ぇ……?」


 本当だった。

 ただ怖いだけだった。

 動かないか警戒しつつ石像の脇を通り抜け、その奥の小部屋に入った。


「これは……」


















☆☆☆


「さーて、ボクも準備しますか」


 エミリアはM.I.C.との通信を遮断し、持ってきた機材を展開した。
































☆☆☆


「ふぅん……流刑星だったんだ、ここ」


 三人は合流すると、潜入前の腹ごしらえをしていた。

 炊事用の設備は何千年も使われていないはずだが今もなお機能してくれた。


「ええ、胸糞悪いデータばかりでしたよ」


 ネロはスープをよそいながら答える。ちなみにまともな料理ができるのは(M.I.C.を含めた)メンバーの中で彼のみである。


「……いいですね、ネロさんは怖いところに行ってないみたいで。ええ私だってそんなデータとか見たかないですよ。ただ怖くて怖くてもう」

「おい何があった……? ってか肉もちゃんと食っとけ」


 青い顔のサラはぶつぶつと独り言をしゃべるマシーンと化していた。偏食気味なので肉類を残していたがいわれるがままに口に入れ丸呑みしている。


「いえぇただそれっぽい場所でそれっぽい物を見ちゃっただけですよぉ…………幽霊って本当に居るんですねぇ」

【誤解があるようなので捕捉しますがあれは幽霊ではなく立体映像です】

「何の映像?」


 エミリアはいつも以上の食欲で何杯もスープをお代わりしていた。

 

「……女の人が映っていました。”私は秘宝に選ばれし者だ”と――――」




『私は秘宝に選ばれし者だ。同時に運命を託された者である。

 私がその気になれば種の繁栄も滅亡も思いのままだ。

 しかし……彼は繁栄の代償を求めるのだ。

 どうあがこうともその事実は変わらない。

 私は犠牲を強いる繁栄など望まない。

 まやかしの栄華などたちまち崩れ去るのだ。

 故に私は滅ぼすことにした。

 私が最後の巫女だ。

 最後の責務として警告しよう……秘宝には、彼には手を出すな。

 お前が何者であろうと多大な犠牲を払うこととなる』





「――あの、エミリアさん。今回の獲物……ブラディオニキスっていったい何なのですか?」

「うーんなんて説明したらいいのやら……」

「誤魔化す気じゃないですよね?」

「わーったよ言うって」


 ネロに目論見を看破されたので諦めて説明する。


「宇宙の秘宝、別名は進化をもたらす物。形は様々だけど、必ず種の繁栄をもたらしてくれるお宝さ。ブラディオニキスはそのうちの一つってわけよ」

「そんな大層なお宝、なぜ誰も盗もうとしないんですか?」

「割に合わないから、だよ。ネロ」


 エミリアはいつになく真剣な表情で――スープを飲みながらだったが――答える。


「さっき、幽霊さんの伝言であったろ? 多大な犠牲が必要ってさ。秘宝は持ってるだけで多大なコストがかかるのさ。例えば、こいつは血を――体内の水分を奪う」

「だったら……なぜ文明は」

「が、たまーに、いるんだよ。ノーリスクで操れる奴が」

「それが、巫女」

「せいかーい!」

「ってそれじゃ俺たちはどうなる? そんなやばいものを盗んだりしちゃ――」

「問題はないさ」


 と、エミリアが服の中から小さな巾着袋を取り出した。

 元相棒の形見の品が収められている袋だ。


「こいつがあればね」


 再びそれをしまうと、残っていたスープをすべて飲み干す。


「よし、始めますか…………宇宙で一番物騒なお仕事を」













がんばります

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