表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Logos Infectus  作者: tym
1/17

断章1 二重の部屋 La Chambre double

挿絵(By みてみん)



「はあ……、はあ……」


昏い闇の真ん中に少女が座っていた。


「はあ……、くっ……」


そこは何処か暗い部屋のようだ。

部屋には簡素なベッドだけ、ドアには外側から鍵がかかっている。

窓ひとつなく、今が昼なのか夜なのかもわからない。


「……っ」


闇は深い。

闇の漆黒とコントラストをなすように、彼女の服は白い。

その純白を黒い点々が汚していく。


それは彼女の血だ。


チキチキチキチキ


彼女の手には安っぽいカッターナイフ。

それがこの部屋で彼女に与えられた唯一の玩具だった。


彼女はその玩具で自らを傷つける。

何度も、何度も。

まるで、何かへのあてつけのように。

文字通り自暴自棄に。


もしかしたら、彼女はその行為になにがしかの快楽を見出したのかもしれない。


「はあ……、はあ……」


ここは世界から隔絶された場所。

誰も彼女を助けてなどくれない。

誰も彼女をここから連れ出してくれない。


「痛い、痛いよ……」


誰にも、彼女の声は届かない。

それでも、いやだからこそ彼女は呟く。


「誰か……、たすけて……」


これは、ひとつのユメ。

過去、あったかもしれない事実の

将来、起こりうる未来の。


……ふと、思う。


――あるいはこの血染めの少女は、

今も何処かで、誰かの助けを待っているのかもしれないと。


2,3日以内には更新できると思います

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ