プロローグ
大まかに5部からなる長編ファンタジー小説になります。
タグに不快感を感じる方は、読むのを避けて下さい。
警告タグの残酷描写は軽い物ばかりなのでご心配なく!
僕は、合格発表の掲示板を眺めながら、こんな事を考えた。もしあの日、あの時、あの場所に僕が”召喚”されていなかったら僕の進路は今とどう変わったんだろうってね。
自分の受験番号を見つけてもあまり感慨が湧かないのは、特別奨学生としての入学が決まっていたからなんだろうな。ただ、半年近い受験勉強という苦行は僕にある程度の自身を与えてくれた。相変わらず情け無い男だけど、少しは進歩していると思う。
「弘樹君、どうだった?」
「うん、合格だよ」
僕に話しかけてきた彼女に笑顔で返事を返す。彼女も僕があちらへ行かなかったらどうなったんだろう? 少なくとも僕の”彼女”になっている可能性は”ゼロ”なんだよね。
「ねえ、さっきからどうしたの? ぼーっとしちゃって……」
「ちょっと考え事さ、あの事がなかったらどうなっていたかなってさ。君にとってあの事は良い事だった? 悪い事だった?」
「うーん、分からない…かな?」
彼女にとっては”あの事”と言うより”あの事件”は良い思い出だけとは言い切れないから当然かな。まあ、彼氏の立場としては複雑だけどね……。
まあ良いさ、これからの僕達の人生がどうなって行くかは、僕達次第なんだろうからね!
+ * + * + * +
このシングリーフを作り出した”創造主”は自らの一部を切り離して、”精霊”と呼ばれる種族を作り出した。”創造主”は、精霊達にこのシングリーフを委ね新たな世界の創造に向かった。
そして幾許かの時が流れた後に、”創造主”が再びこの世界を訪れると、”創造主”は意外な事態に直面する事になる。自分の一部だった者が栄えているだろうと思っていたその世界が、荒廃のみを感じさせる世界に変わり果てていたのだ。
この世界を埋め尽くす程に増えていた精霊も、1つの大陸に何とか生き残っているという状態になっていたのだ。”創造主”は生き残りの精霊に何が起こったのか尋ねたが精霊自身にも衰退の原因は分からない。
”創造主”は”一者”たる自分と精霊たちの違いを考え、精霊達に”友人”を用意する事にした。別の世界に作り出した”人間”に精霊と交信する力を与え、シングリーフに住まわせる事に決めた。
前回の失敗に懲りた”創造主”は人の中に自分と交信出来る素養を持った者を紛れ込ませたが、やがてその巫女の悲鳴を聞くことになった、いや、なってしまった。
”創造主”が次の世界の創造を終えて、シングリーフに戻るとそこには人間達が滅びを迎えていた。”創造主”にとっても予想外だったが、精霊と人間の相性が良過ぎたのが原因だったのは直ぐに判明した。
人間は精霊の力を使い繁栄したが、精霊が求められるままにマナを生み出した事で精霊の力が濃くなり過ぎ逆に人間の生存には適さなくなってしまったのだ。
”創造主”は自分の過ちに気付いてはいたが、滅び行く子供達を見捨てる事が出来ずに最後の手助けをする事にした。再び自分の一部を切り離して精霊の力を相殺する力を持った竜族を作り出した。
竜族の安定を見届けた後に、創造主はシングリーフを去って戻らなかった。とある”モノ”だけを遺して……。
~~~ シングリーフ創世記より ~~~
第一章部分を書き終えたので、連載をはじめようと思います。
どの位の読者さんの目に留まるか不安ですが、頑張って書きますのでお付き合い下さい。