第5話 正式登録
数日後、俺はいつもの時間にギルドへやってきた。
ほぼ毎日依頼をこなしているからな。
目的は倉庫系の依頼。
他の荷運びでも良いが。
今日も同じ仕事を探すだけ。
「さて、これで良いか」
俺は依頼を受けるために、列へ並んだ。
今日は混んでいるのだろうか。
列に並ぶと、受付が一瞬だけこっちを見た気がする。
どうしたんだろうか。
仮登録だから、何か言われるのかと思った。
やがて俺の順番になってきた。
「児島さん、ですね」
「ああ」
受付の女性は、俺の名前を口にした。
(覚えられているのか?)
そう思えてきた。
「こちらなら、今日中に終わると思います」
今までだったらそう言われなかった。
ただ『こちらです』って言われるだけ。
「そう思っている」
「では頑張ってくださいね」
そして依頼を受けていく。
受付を離れていったら、噂話が。
「あいつ、最近よく呼ばれているな」
「倉庫の方、回しが楽らしい」
まるで便利な存在みたいだな。
でも、頼られているだけマシかもしれないが。
就活で不採用になって、必要ないって言われているような状態だった時よりも、良いかもしれないから。
だけど剣聖が消えたから、人手が足りないだけだろうか。
そう思うしかない。
「児島さん」
出る直前、俺を呼び止める声が。
行ってみると呼び止めたのは、受付の女性だった。
「はい。どうしたんですか?」
「現在児島さんは、仮登録ですが。よろしければ正式登録を行ってもよろしいでしょうか」
正式登録。
どういうことなんだ。
身分証は一切持っていないのに。
「いいんですか?」
「はい。倉庫等での依頼実績から、信用が出来ていますので」
こなしていったら、こんなのがあるだな。
面白い。
確かに仕事だって毎日ミスすることなくしていたら、信用されるし。
「じゃあお願いするよ」
「分かりました。今後はより報酬が多めの仕事も、出来る可能性がありますので」
俺は仮登録から正式登録へと移行したのだった。
でもほぼ毎日こなしているだけだが、こんなのがあるなんてな。
「ありがとうございます」
「いえ、今日の依頼も頑張ってくださいね」
弱い微笑だったものの、女性は表情を変えていた。
「勿論です」
俺はギルドを出ていく。
今日の依頼をこなすために。
倉庫での依頼は、最近に比べて運ぶ量も距離も長かったものの、問題なく、リュックを使ってこなせた。
やはり軽いな、リュック。
体力もついてきたのか、リュックに入れるまでもこなせるようになったし。
慣れてきているな。ここでの生活に。
「それにしても、正式登録か」
もっと先の話かと思っていたが、早いうちになるんだな。
受付の女性だって、態度が変わっていたし。
とはいえ、変わったのは俺じゃない。
たぶん、周りの方だ。




