表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生した俺のスキルは荷物運び(重さ無効)ですが、 ダンジョンでは最強でした  作者: 奈香乃屋載叶(東都新宮)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/10

第2話 登録用紙と外れスキル

 ギルドの建物は、石造りの落ち着いた建物だった。

 思った以上に役所っぽい感じの。

 大抵酒場に併設されていると思ったが。とはいえ、隣の建物が酒場のようだ。

 入ってみると、多くの人々が依頼を受けるために賑わっていた。

 壁には依頼が貼り出されていて、それを人々が見ているようだ。

 奥には受付があるのか、数人の女性が対応していた。


「あの、依頼を受けたいのですが」


 俺はとりあえず、受付の女性に話しかける。


「登録はお済みでしょうか? まだでしたら、登録を先に行ってください」


 その返答があった。

 確かにそうだよな。


「では登録を」


「はい、こちらにお書きください」


 俺はとりあえず必要事項を記入していく。

 書類は何とか読めた。

 日本語じゃないのにな。

 出身、この世界で生まれたわけじゃないから書けないよな。


「身分証明はお持ちですか?」


 女性はそう訊いてきた。

 そんなものあるわけない。いや、財布の中に免許証ならあるが、出してみようか。有効期限内だが、果たして。


「何ですか、これ?」


 とりあえず見せたら、女性は怪訝な顔をしてきた。

 やはりか。

 文字も読めていないだろうな。


「元いた場所で使っていました」


「読めませんが。年代もおかしいですし。ただこの、貴方の顔だけはそっくりですね」


 免許証と俺の顔を見比べながら、そう話した。


「とりあえずこれは、身分証明にはなりません」


 そうだよな。

 日本語だらけの、このカードがこの世界で身分証明になるわけない。

 より全く別の場所だって分かった。


「登録は出来ないのか?」


 身分を証明できないなら、不可能だろうか。

 仕事も不可能なのか、って思った。


「仮登録でしたら、このままでも可能です。そんなに多くの報酬が貰えるわけではありませんが」


 良かった。

 その”仮登録”だったら、何とかなるのか。


「じゃあその仮登録を」


 登録しないよりはマシだ。

 仕事が無くて野垂れ死ぬよりはな。


「分かりました。では、残りの部分もお書きください。分からないところは”不明”でも良いですので」


「ありがとうございます」


 とりあえず残りの部分を埋めていく。

 年齢と出身は”不明”にしておいて。


「これで大丈夫です。児島新大(コジマアラタ)さんですね」


「はい」


 俺は頷いた。

 名前は嘘をついていない。


「ではスキルを確認します。皆様に行っていることですので、ご安心ください」


 すると女性は道具を使った。

 道具は光って、文字が表示される。


《荷物運び》


 受付は一瞬だけ止まった。

 その後、何事も無かったかのように視線を落とす。


「運搬ですね。雑務向けです」


 すぐに女性は事務作業に戻って、登録を進めていった。

 明らかに外れだったって顔だな。

 それにしても荷物運び、か。

 元の世界でしていたのと似ているじゃないか。

 まあ、良いか。あのリュックで多少は実感しているし。


「では仮登録は完了です。で、登録者向けの依頼はあちらです」


 淡々と女性は話を終わらせた。そして、場所を指さしただけ。

 実感は無かったが、これで登録されたんだな。

 俺は指さされた方向を見ながら、向かっていく。

 後ろでは別の男性もいたから。外れないとな。剣を持っているみたいだが、強いのだろうか。


「どれどれ、仮登録でも色々あるな」


 清掃やよくある警備、倉庫や運搬、それに採取など……。

 多岐にわたるな。何個かは元の世界でバイトとして普通にあるものだよな。

 一日だけの短期っていうのもあるし。


「け、剣聖ですか!?」


 依頼を見ていたら、受付の女性が驚いたような表情をしていた。

 はっきりと、俺とは態度が違っている。

 近くに居た人も、登録を受けていた男性を見ていた。


「ガチャ、当たりかよ」


 俺はそう呟いてしまった。

 だって次の人物がそんなスキルを持っていたら、呟きたくもなるって。

 外れの後に大当たりだからな。

 とはいえ、そこまで嫉妬とは思わなかったけれど。

 剣が使えるわけでもないし。


「良かったら、あちらの依頼を見てください。きっと貴方が活躍できるものばかりですので」


 はっきりと受付の女性は、俺が見ている仮登録者向けの掲示板とは別方向を指さしていた。

 これは絶対高額だな。

 見る気は無いが。


「おっ、君は前で受付をしていた人だね。名前は?」


「コジマアラタです」


 早速剣聖の男性が、こっちに話しかけてきた。

 並んでいたから話しかけたくなったのだろうか。


「ふうん、コジマね。俺はセーシェンだ」


「よろしく」


 握手を交わすわけでもないが、簡単に。


「君は荷物運びだってね。大変だね」


「まあ、頑張りますから」


 とりあえず、当たり障りのない返事をすることにした。


「これからダンジョンを探索するからさ。活躍を見ててな」


「ああ。応援している」


 とりあえず、形だけ。

 それ以上は何も言わないことにした。

 変に油を注いでも、無駄だからな。

 セーシェンはそのまま行ってしまった。


「さてと、これにするか」


 俺は荷物の運搬を受けることにした。

 受付へ行って、承認を受けることに。


「今からでも出来たりしますか?」


 現在お金を持っていない。

 いや、持っているけれども使えそうにない。

 だからせめて、今日の宿代だけでも確保したかったのだ。


「問題ないです。人手はいつも不足していますので」


 受付は平然と言っていた。


「じゃあ受けます」


 即決だった。


「はい。では遅れないように行ってください」


「分かりました」


 という事で、俺は異世界で初めての仕事を受けることにしたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ