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なろうラジオ応募作品(1000文字以内短編)

目の前の王太子殿下は本当に私の幼馴染なのでしょうか?合言葉で確かめてみました。

作者: 江古左だり
掲載日:2025/12/19

『なろうラジオ大賞7』参加作品です。

作中キーワードは『合言葉』『ホットケーキ』『舞踏会』

 戸惑いました。

 私の目の前にいるのはセドリック王太子殿下、御年(おんとし)18歳。この舞踏会の主催(しゅさい)です。


 銀の髪に豪奢(ごうしゃ)なお召し物がよく似合っていました。


 私はこの場へ『特別招待』されたのです。


『殿下は心から楽しみにしておいでです』と招待状にありました。


 私はピンときました。王太子殿下は『リック』なのではないかと。


 辺境伯の一人娘である私には友達がおりませんでした。同じくらいの年の子がいなかったのです。


 お父様がある日男の子を連れてきました。

 痩せた赤毛のみすぼらしい子。


「リックだよ。イザベラ。仲良くしてあげなさい。ただしこの子の存在は私達の秘密だ」


 不思議には思いましたが、初めてのお友達が嬉しくて仕方ありませんでした。


 私達はたちまち仲良くなりました。森を駆け回り、ソファーの上で一緒に本を読みました。


 雪深いこの地に何日閉じ込められようと互いがいれば平気でした。


 リックが特に喜んだのはホットケーキでした。ふんわりと丸く膨らんだそれにバターを溶かし、特産のシロップをかけるとたまらない。美味しかった。


 でもそんな日々は長くは続きませんでした。


 雪の夜、ベッドで体をゆすられました。

「起きて。イザベラ」

「リック……どうしたの? 夜中よ」

「お別れなんだ」

「えっ」


「追手が来た。僕殺されるかもしれない。行かなきゃ」


 去ろうとする袖を必死に掴みました。


「合言葉を決めましょう!」

「合言葉?」

「どこで会ってもお互いがわかるように秘密の言葉を……」



 そのまま離れ離れになったのです。


 間諜(スパイ)を疑われ長い間逃亡生活をしていた王妃と王太子が名誉を回復。王宮に戻ったのは今から1年前のことでした。


 目の前の王太子殿下はあの時のリックなのでしょうか?

 あまりに違いすぎる見た目。髪は染めていたのでしょうが、堂々たる体躯(たいく)がリックと重なりませんでした。


 私は賭けをすることにしました。


 屈伸礼(カテーシー)のあと殿下に声をかけたのです。


「ホットケーキ」


 ざわつく貴族たち。戸惑う殿下。


「合言葉ですわ。覚えていらっしゃいますか」

「覚えているよ。でも」

「でも?」

「……あのときは子供で」

「合言葉の続きがなければ『リック』と認めませんわ」


 照れたように(うつむ)くと(まばた)きを一つ。殿下は私にだけ聞こえる声でそっと(ささや)きました。


「…………大好き」


『ホットケーキ』『大好き』それが私達の合言葉です!


 殿下は私を強く抱きしめました。私も抱きしめ返しました。もう誰にも2人を引き裂かせやしない。リック! 会いたかった!

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【なろうラジオ5ノミネート】『5年がかりで専業主夫を目指す僕ですが年収2000万のバリキャリ女子だって落としてみせます』

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【なろうラジオノミネートお礼SS】

『【ヒロイン視点】年収2000万のバリキャリ女子ですが無職学生に落とされてしまいました。』

【江古左だり1000文字以内短編】

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まさかまさかの混浴温泉に心は千々に乱れてしまう。

『社員旅行の下見に片思い中の先輩と来たけれど、温泉旅館が混浴だった』

― 新着の感想 ―
あきゃーーーー(//∇//)♡ まさかこんな甘いオチだとはっ!! もう、もう… ご馳走様でしたー!!
拝読させていただきました。 セドリック、大変な労苦を乗り越えてきたのでしょう。 そして、立派な男になって、愛しの女の子を特別招待したら、恥ずかしい合言葉を言えとwww これはこれで試練かもw
 これは優しいお話ですねえ。絶対に私には書けない小説です。  合言葉を言いたいけど恥ずかしがってなかなか言えないリックとそれを言わせるイザベラ(キリッ ←こんな擬音が浮かびました)がいいですね。 …
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