表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

18/19

青景の屋敷

源平合戦、壇ノ浦の戦いで祖母二位の尼に抱かれて関門海峡に沈んだと言われていた安徳天皇が、じつは生きていた!源氏の落人狩りは凄まじく平家の生き残りを探索していく。命を助けてくれた漁師の少年ハヤテとともに生きていく。平家再興を願う人や「を捨てて潜んで生きよ」という人など、いろいろな人と出会う。でも、育ててくれた侍女伊勢の言葉に縛られてしまうのが悩み。源平合戦で死んだと思われている安徳天皇、実は生き残って隠れています!「逃げ上手の若君」目指しています。


ふたりの女はサワとミサと言う名だった。

サワはおっとりしており、

ミサははっきりしていた。


わたくしたち、親父さん親子を入れて16人。

ふたりの後ろをついて行った。


「まず、土間でございます。

この水がめに水を汲み、

そこのかまどで飯を炊きます。

火の神はあそこにいらっしゃいます」

かまどの上の方にお札が貼ってある。


「ああ、でも、勘違いしないでください。

でも、今は米はどこにもありません。

戦のどさくさで持ち去られてしまいました。

雑穀がありますので、この村ではもっぱら雑穀を食べています」

サワの話はゆっくりだ。


「汁や煮物などもここで作ります。

寒い時期ですし、里芋やら大根やらの煮物になります。

大根は切り干し大根にします。

里芋の茎も食べられます。

美味しいですよ、皆さん」

ミサはとても早口だ。


「お客様は正面の玄関から入っていただきますが、

身内の者はもっぱらこの土間から屋敷に入ります。

お履物はここでお脱ぎください。

この板に腰かけて、ゆっくり脱いでくださいね」


土間には板や腰掛けがあった。

広い板の台があり、土間で草鞋をはいたままでもご飯が食べられる。

半分は板敷きになっており、

履物を脱いでくつろぐこともできる。

一度に10人はご飯を食べられそうだ。


ミサとサワが履き物を脱いでそろえ、

屋敷に上がっていった。

手に持った燭台にろうそくをつけて

皆の足元を照らしている。


わたくしたちはサワとミサについて行った。

「ここが大広間。そちらが仏間。

神棚はあの高いところにございます。

あちらがお供の方の小部屋。

そして、あちらが奥になります。

おかみさんがいらしたときは、ここにいらっしゃいましたが、

戦で親方さまが行ってしまわれてからは、

お里にもどっていらっしゃいます。

領主さまのお荷物は、あちらの納屋の二階にあります。

納屋にはいろいろな武具や農具を置いてありましたが

もちろん今は何もありません」


ふたりが村に帰るというので、

弥六おじさんが送って行った。


男たちは大広間で休むことになった。

じいさまが言った。

「わしは夜中に目が覚める。そして、小便が近いんじゃ。

みんなを起こすのは申し訳ない」

それで、じいさまは奥の部屋で休むことになった。

みなは荷物を小部屋に入れて、

大広間で横になって休んだ。


「やっと天井のあるお部屋で眠れるね」

わたくしはハヤテと目を見合わせて笑った。


わたくしはすぐに眠りにおちた。

何よりも眠りが欲しかったのだ。


ドンドンドンドン

ドンドンドンドン

「地頭様はいらっしゃるか?」


外で声がする。

弥六おじさんが出た。

「平家の落人狩りをしている。

平家の者はいないか?

お主らかくまってはおらぬか」


あの声は、牛小屋で聞いた2人組の男だ。

弥六さんが相手をしてる。

「そんな者はおりませぬ。

こちらは源頼朝様から任命された地頭さまであらせられるぞ。

夜分に失礼であろう」

「おお、そうであったか。

それでは、同じ源氏のお仲間ですな。

一夜の宿をいただけませんでしょうか。

あなたさまがいらしゃる前は、ここは源氏の重要な職務をしている役人として、この屋敷をお借りしていましたからな」

「よかろう」


怖かった。平家の落人狩りのおじさんと同じ部屋で眠るのだ。

もし気づかれたら、すぐに斬られてしまう。

ハヤテを誘ってじいさまの部屋に行った。


じいさまが言った。

「よしよし、夜の便所の折には付き合ってくれ」

ハヤテに言ったったんだと思う。

だけど、わたくしがすぐに返事をした。

「わかったよ。じいさま、

夜はわたくしを起こしてください」


こうして初日の夜は更け、

新しい生活が始まることになった。



まだまだ修行中のさとちゃんペッ!です。「逃げ上手の若君」を本気で目指しています。★やリアクション、コメントをいただけると、嬉しいです。感想もぜひ!よろしくよろしくお願いします!!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ