第三話 ウェスタリカ
ハンニバルと別れた後、キノは森を抜けて草原を歩いていた。ハンニバルによるとウェスタリカは大きな石壁に囲まれていて商売が盛んにおこなわれている国らしい。キノは門に向かいながら地図を見ている。だが…
(分からん…)
ハンニバル製の地図の適当さに悩まされていた。適当だなあの爺さん…。
考えていても分からないしとりあえず街に入ることにした。石の門をくぐると人も家も外より格段に増え街が活気にあふれていた。街を歩きながら辺りを見回してみるが知らないものばかりだ。
(なんかいい匂いもするな………はっ!だめだだめだ、先を急がないと)
あちらこちらに気になるものがあって目を引かれるが我慢して進むことにした。
誰かに地図を見せて場所を聞いてみようと思ったので、果実を売っている怖い顔のおじさんに聞いてみることにした。
「ちょっと、そこの人」
「へいらっしゃい。ん、なんだ子供か」
「ちょっと聞きたいことあるんだけど」
「客じゃねぇなら失せな」
「ちょっとでいいから聞いてよ」
「はぁ。なんだ?早く済ませろよ」
「この地図のところまで行きたいんだけどこれがどこか分かる?」
「ん?なんだこのへたくそな地図は。これは……貴族の家じゃねぇか!おいガキ、こんなところに何の用があるんだ?」
貴族…?なにか特別な人なんだろうか?
「まぁ……ちょっと事情があって……」
「まぁ深くは聞かねぇけどよ、ここに行くんなら気ぃつけろ。最近いろいろ物騒だからよ」
そう言うと怖い顔のおじさんは事細かに道を教えてくれた。
「ありがとう」
「おう」
そういって意外と親切だったおじさんと別れた後、人通りを抜けさらに奥に入っていくとまた石の壁と門が見えた。門をくぐるとさっきよりも大きくて綺麗な家が立ち並ぶ通りに出た。ここは道や人がピシッとしていてなんだかさっきいたところとは別の国のようだ。そのピシッとした人たちからはなんだか嫌な視線を感じる…。これは早くトーマスのもとへ急いだほうがよさそうだ。そう思いキノは足早にトーマスの家に向かった。
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(ここか…?)
ずいぶん時間がかかってしまってたどり着いた頃には日が暮れかけていた。トーマスという人の家は今日見てきたどの家よりも大きく威圧感を放っていた。(何をしている人なんだろう)と思いながらキノは敷地内に入る。
「どなたですか?」
と女の人に声をかけられた。……何か怪しまれてるかも。
「トーマスって人に用があるんだけどどこにいるか知ってる?」
「二コラ様ですね。私から二コラ様にお伝えしますので内容を教えてください」
「えっと…直接話したいんだけど」
そう言うと怪訝な顔をされた。不審者だと思われているのだろうか。
そういえば上手くいかなさそうな時は自分の名前を出せってハンニバルが言ってたな。
「ハンニバルから頼まれてきたんだけど」
そう言うと女の人は何かを理解したのか
「承知しました。では私についてきてください」
と言ってくれた。どうやら案内してくれるようだ。
投稿が遅れました。というか遅れたとかそういうレベルじゃないですね。二話を投稿したのがちょうど二年前とかになりますし…申し訳ないです。遅れた理由というか言い訳をするならあれからモチベーションが死んでしまってしばらく手を付けることができてなかったなぁ…という感じです。これから少しずつ更新していけたらいいなと思っているので楽しみにお待ちください。(モチベーションが続く限りは!)それでは!