第一話 目覚め
………………
「…い、……」
………誰かの声がする……
「…い、………か?」
……誰だ?………
「おい、大丈夫か?」
誰かの声が聞こえたので目を開けてみるとそこには白髪の爺さんがいた。
辺りを見渡す限りいっぱいの緑が目に入った。森の中か?
「おお、目を覚ましたか」
「…誰…?」
「儂か?儂は……ハンニバルというただの老いぼれじゃよ。お主は?」
「俺は……」
自分の名前を思いだそうとしたとき、頭に激痛が走った。
「…っ……」
「…!?大丈夫かお主?」
「……ああ」
「そうか。………なぁお主、そんな恰好ではあれじゃし儂の家に来て話さんか?」
そういわれ自分の体を見るとなんと真っ裸だった。
「……………分かった」
自分の名前も、この場所がどこかも、何故俺は寝ていたのかも何もかもがわからないが、とりあえず服が欲しかったのでこの爺さんの家に付いていった。
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木々をかき分けながらしばらく歩くと小さな小屋が見えた。
小屋は随分古い見た目をしていてこんなとこに住んでんのか?と疑うくらいにはボロボロだった。
小屋の中は埃臭いが意外と質素な作りをしていた。
「ちょっと待っとれ」
爺さんはそう言うと棚をガサガサあさり、大きな服を出して俺にくれた。
ほこりっぽいなと思ったがこの服しかないのでしぶしぶ着た。
爺さんは「ほれ」と言って水をくれた。
(悪い人ではなさそうだ)
「どうじゃ?落ち着いたか?」
「ああ…」
「そうか。色々聞きたいことはあるが…まずお主は誰じゃ?」
「……分からない。思い出そうとすると頭が痛くなるんだ」
「…そうか。じゃあ何故あんなところで寝てたんじゃ?」
「………分からない」
「お主はどこから来たんじゃ?」
「…………分からない」
「お前さんの親の名前は覚えとらんか?友達とか偉い人の名前でもいいぞ」
そう言われて頭の奥を覗いてみると何かおぞましいものが見えた。
(なんだこれ?……暗闇?)
「何か見えるけど……分からない」
「うーーむ。困ったのう…」
この質問の中で分かったことは俺は何も知らないということだけだった。
俺は誰でここはどこで何をして何故ここにいるのか……。
だめだ。何も思い出せない…。
それに何かもっと大事なことを忘れているような気がする。
「お主……ほんとに何も覚えとらんのか?」
「ああ…」
それから互いに考えていたが先に口を開いたのは爺さんだった。
「ああ、そうだ」
「近くに都市があるんじゃがそこに行く気はないか」
「都市?」
「そうじゃ。儂は事情があって面倒を見ることができんから近くの都市におる儂の知り合いに頼んで世話を見てもらおうと思うんじゃが………どうじゃ?そこなら何かお前さんのことも分かるかもしれんぞ」
「……」
突然こんなことを言われて動揺したが何もわからない状態でただ待つよりも俺は自分が何なのかが知りたい。俺のことはその都市にいけば分かるのだろうか?…いやそんなこと考えても分からないし、
探ってみるしかないか。それにこのハンニバルという爺さんも悪い人ではなさそうだし…よし。
「…分かった。行くよ」
「決まりじゃな。明日には出発するから用意…といっても何も持っとらんか。とりあえずもう日が暮れるから寝ておれ」
「分かった。ありがとう、じいさ…」
「ハンニバルでいいぞ」
「じゃあ…ありがとう、ハンニバル。これからよろしく」
こうして俺の冒険が始まった。
初めましてラーメンひよこです。自分がずっと空想していた面白い物語を書いていきたいと思いこの作品を作ることにしました。自分は初心者なのでミスや訂正がたくさんあったりするかもしれませんが温かい目で見守ってもらえれば幸いです。自分のモチベーションに合わせて投稿するので投稿日は不定期です。(気長に待ってください)コメントを貰えるとモチベーションが上がります。(誹謗中傷はNG)どうぞよろしくお願いします。