8.アイドルになれていないアイドル
ユニットとして活動を始め、少しずつお仕事も増えた。
……そんな中、突然Annetteから相談があると、連絡を受け、待ち合わせをすることになった。
「……で、相談というのは??」
「あの……私もユニット組んでみたくて……」
「おお?!ユニット?!誰と?!」
「それがね……」
少し困ったようにAnnetteは状況を説明してくれた。
彼女がユニットのパートナーとして組みたい相手、それは同級生であり、一緒にオーディションを受けて一緒に合格した親友……だということ。しかし、その相手は合格して所属するための書類は出したものの、それ以降に事務所へ来たことがなく、ほとんど……というか全くアイドル活動をしていないらしい。
「……え?アイドル活動をしていない?事務所にも?来てない??」
「うん……」
「怪我とか……病気とか??」
「ううん。」
「……それ以外だと、なんだろう??」
「その人のお父様が……かなりの心配症で、行ってはダメだと止めているの。」
「でも、その子と組みたいんだよね?」
「うん。」
「……」
Annette、彼女が普段通っている学校は、礼拝堂もあるような由緒正しきお嬢様学校。そこの同級生となれば、お嬢様であることは普通にある。……ちなみにAnnetteも、豪邸とかには住んでいないけど、わたしよりもお嬢様だ。
そんなお嬢様学校に通う親友と一緒にアイドル活動をしたいという。しかし、その人の父親がかなりの心配症で過保護なため、普段の行動は執事と共にすることになっている。事務所に行こうとすれば、これまた過保護な執事に止められるらしい……
「もう、過保護にも程がある……」
「執事って……なんかスケールが違うね。」
「普通は執事と行動なんてしないわよ。細い道とか人が密集してる道なんて通らなくても、買い物して遊んで帰れるもの。高校生になったら執事なんてついて来ないのに。」
「……で、その執事も過保護?」
「そうね。」
「……手強い。」
「でしょ……?」
「でも、話聞いただけだとわからないことも多いね。執事がどんな人か……とか、アイドル活動したい意思があるなら直接聞いて力になりたいし、聞きたいこともあるし。」
「そうね。だったら、会ってみればいいわ。明日、会ってみない?」
突然、明日会ってみないかと言われたが……
「いいの?」
「いいわよ。それに、あなたのステージを見て「友達になったなんてずるい!あたしも話したいのにっ!」って怒られてしまったから……ふふふっ。」
「なら、お邪魔しようかな。」
「よかった。明日、学校が終わったら待ち合わせね。」
「うん。」
アイドル活動が始められていないアイドル……
ユニットを組むときに応援してくれたAnnetteのためにも、力になりたかった。だから、今度はわたしがAnnetteを応援してユニットのために協力する番だと思った。
「Annetteのためにも、アイドル活動がしたいその人のためにも、全力で頑張ろう!」
「おー!」