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パートナーは誰ですか??  作者: 海歌月
迷い込んだのはアイドルの世界
7/19

7.歩き回って見つけたもの

 ユニットを組むことになって数日。わたしとUsagiは1つの問題について悩んでいた。


「「ユニット名……どうしよう……」」


 ユニット名が決まっていない。お互い、知り合ったのは最近で、趣味や特技もお互いにまだ理解しきれていない。共通点を探すのが難しいのでヒントも無い。


「……はぁ。」

「マネージャーが準備してくれたお披露目ステージまで……あと1週間しか無いのに……」

「うーん……むむむ。」


 悩んでいると、聞き覚えのある声が聞こえた。


「あら、RiaにUsagiさん?」

「……あ、Annette。」

「こんにちは。知り合い?」

「はい。同期で、年齢が一緒なんです。」

「この前は、バーチャルではなく普段の姿で会ってみたり、仲良くさせていただいてる友人です。」

「「ねーーっ。」」

「そうなのね。」

「ふふっ……あのね、Usagiさん。Riaね、あなたとユニットを組めて、空を飛びそうなくらい喜んでるけど、あなたの大人っぽさに合わせるために、ちょっと背伸びしてるのよ。」

「言わないで!」

「あら、事実でしょ?」


 いたずらっ子な笑顔でAnnetteは「ごめんあそばせっ♪」と言って逃げるように去っていった。


「絶対悪く思ってない……」

「ふふっ、可愛い子ね。」

「相談にも乗ってくれるし……いい友人ですけど……」

「あら、そういう人がいるってことは、良いことよ?」

「……もう、それよりユニット名です。早く考えないと。」

「うーん……それはそうなんだけどさ。一旦休憩しない?」

「そうですね。」

「あ、そうだ!事務所の外、歩いて回ってみようよ。気分転換になると思うの。」


 Usagiからの提案で、バーチャルシステムの中の街を歩いてみることになった。バーチャルシステムの中には異世界……?のようなものが広がっており、その中でお仕事やパフォーマンス、買い物もできる(買い物は注文すると後から配送される仕組みらしい)。わたしはまだ、それを見て回ったことがなかった。


「そういえば事務所メインで、街の中歩いたことない……」

「バーチャルの世界は、駅みたいな建物があって、そこから転移とかもできるし……スクーターやスケートボードはあるけど、自転車や自動車はないの。転移はゲームみたいにパッと移動できるわけじゃ無いけど、カプセルホテルみたいに1人用の空間で着くまでのんびりできるのよ。」

「行ったことあるんですか?」

「うん。バーチャル空間に興味があるからね。……あそこは『デザインパレス』。デザイナーが仕事をしてる建物。……あっちはカフェで、あっちはアイテムショップ。」

「……すごい!案内されて、まるでツアーみたい。」

「ふふっ、私も楽しくなってきたわ。」


 気分転換の中で、バーチャルの街ツアーを楽しみ、わたしたちは事務所に戻ってきた。初めて歩いたので、新鮮に感じて、また行ってみたいと思った。


「ああ、楽しかった。デザインパレスでドレスの試着もできて、アイテムショップは応援グッズもたくさんあって……楽しい空間だったなぁ。」

「楽しんでもらえてよかった。」

「Usagiの道案内……面白かった。」

「ふふふっ。Usagiの道案内って……不思議の国のアリスみた……い?」

「……あれ?Usagi?どうかしたんですか?」

「不思議の国のアリス……Ria……Usagi……歩き回って……楽しい空間……ワンダーランド……あっ!」


 突然、Usagiは何かを考えはじめた。ボソボソと呟き、その後、閃いたように声を出した。


「ワンダーランド……ユニット名、『Wonder☆Land』はどう?」

「『Wonder☆Land』?」

「Wonderって言葉には素晴らしいっていう意味がある。みんなに素晴らしい空間と時間を提供するっていう意味を込めて。あと、なんか私たちの名前、アリスと白うさぎみたいだから……」

「……それ、いいです!」

「なら、決まりかな?」

「はい!」

「よし、早速マネージャーに連絡っと……」


 不思議なバーチャルの世界で、歩き回って、素晴らしいものをたくさん見つけて……そんな中で、ユニット名も決めることができた。

 

 そして数日後……


「皆さん!こんにちは!!」

「私たち……」

「「『Wonder☆Land』です!!」」


 ユニットのお披露目ステージで、わたしたちは集まってくれた観客に、ユニットの名に恥じない……いや、ユニットの名に相応しいくらいの素晴らしい時間を提供し、たくさんの拍手と歓声を貰った。


 ー・ー・ー


「……Ria、いいなぁ。」


 招待され、ステージを見に来ていたAnnetteは呟いた。


「わたしも、ユニット組みたい……いや、組めるようにわたしも頑張らなくちゃ!!」


 手をグッと握って、Annetteは真剣な顔でステージを見つめていた。

 ……誰かに向かって決意を述べているような表情だった。


「……待っててね。茉姫!」


 ー・ー・ー

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