6.パートナー!!
ステージは大成功だった。
「すごく楽しかった!」
「はい!わたしも!」
Usagiさんとのステージは、歓声が大きく拍手も鳴りやまなかった。
「ここまでうまくいくなんて……あなたのパフォーマンス、もっと見たいって思えたわ。」
「ありがとうございます。」
「……なんか一回じゃもったいないなぁ。せっかく息ピッタリで楽しく歌える人を見つけたのに……あ、そうだ!ユニット!ユニット組んでみない?」
「ユニットを……」
「ええ。あなたとなら、アイドルとしての最高のパートナーになれると思うの。マネージャーは、どう思う?」
驚いて言葉が出ないわたしを置いて、Usagiさんはマネージャーさんと話し始めた。
「うーん……いいんじゃない?RiaさんのダンスはUsagiの歌を引き出して、UsagiもRiaさんのこと、よく見ていたわね。」
「うん、なんだか初めて一緒のステージに立ったとは思えないの。Riaに声かけてもらえたのが、今となってはいいきっかけだったかもね。」
すごく褒められてる……
お世辞でもうれしいなって思った。
「また一緒に歌いたいな。最初はちょっと意地悪みたいに言っちゃったけど……ふふっ、私ね、あなたのファンになったのかも。」
「……」
Usagiさんの顔を見ると、少し照れたような顔で、心から楽しい、嬉しい、という感情を感じる気がした。
それを見たわたしも嬉しかった。そして、もしそれが冗談だったとしても、伝えたいと思った。
「あのっ。」
「ん?」
「ユニット、もし検討していただけるのなら組んでみたいです。期間限定でもいい、お試しでもいいです。」
「……」
Usagiさんは驚いた顔をして、その後、笑顔で答えを聞かせてくれた。
「組むなら、期間限定でもお試しでもないよ。」
「……!」
「わたしは中途半端なことは嫌だから。」
「……はいっ!」
「……そう。それなら、ちゃんとしないとね。」
そう言うとUsagiさんは一歩下がり、わたしに向けて手を差し出した。
「Riaさん。」
「はい。」
「私と、ユニット組んでいただけますか。」
「……!喜んで!」
わたしはUsagiさんの手を取った。
「ふふっ、それじゃあよろしくね。Ria。」
「ふえっ?!」
「ユニットのパートナーになったんだから、やっぱり呼び捨てで呼んで……って嫌だった?」
「嫌じゃないです……ちょっとびっくりして……」
「そっか。ならRiaも、私のことは呼び捨てで呼んでね。」
「えっ?!ええっと……」
「ほらほらっ?」
「う……Usagi……」
「うん!よろしくねRia!」
これが、わたしたち2人がパートナーになった瞬間だった。
ー・ー・ー
「へぇー。Riaちゃん、Usagiとユニットを……」
「はい。Usagiのマネージャーから申請があり、今後は2人のマネージャーを務めるそうですよ。」
「……そう。」
少し薄暗い社長室で、秘書と社長が会話している。
……その手にはマネージャーからの申請書と、新しいユニットの申請書があり、社長業務としてそれに目を通していた。
「……あたしもRiaちゃん狙ってたのに。」
「いつの間にか、アイドルの1人をちゃん付けして呼ぶようになってるし、なんか狙ってるし……」
「麻里、一応あたし社長なんだけど。」
「ソウデスネー。」
「……っ!社長なの!」
「はいはい。目が悪くなりますから、部屋の電気つけますよ。」
「あ、バカっ!ちょっと怪しい社長の設定なのに!」
「どうか、その変な設定はお捨てください。あと、これから申請のチェックと入力するので、見終わったら返してください。」
「はーい。」
秘書である麻里に部屋を明るくされ、仕事のしやすい部屋にされた社長室で、少し嬉しそうに、悔しそうに、社長Floriaは微笑んだ。
「どんなユニットになるんだろうな。」
「ところで社長、本日中に片付けて欲しい書類が……」
「……え。」
ー・ー・ー